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【小説】あと84日で新型コロナウイルスは終わります。
~不要不急の手術って?~
「私の中でもずっと迷いがあって、ようやく気持ちの踏ん切りがついて、手術するぞ!ってなったときに新型コロナウイルスで中止でしょ? 気持ちの持って行き場がないし、それに……」
アキナは医師の横で患者さんの言葉に耳を傾けた。
その患者さんは、数年前に下腹部に痛みがあり⚫⚫クリニックを受診したところ、“子宮筋腫”が見つかった。
子宮筋腫は良性の腫瘍だから、患者さんの症状やライフプランによって、患者さん自身が手術の有無を決める。
手術をしない理由は、痛みや症状が強くなかったり、仕事や子育てが忙しかったり、妊娠中だったりと様々だ。
手術をする場合にも、摘出する部位や手術方法に様々な選択があった。
ただ、“良性”ということもあり、コロナ禍では“不要不急の手術”の扱いとなり、中止や延期が相次いだ。
「来年度になると、子どもが高校3年生になって受験生になってしまうから、今年がそのタイミングかなって思ってたんですけど。さらにその先は子どもが大学生になっているはずだから、学費をたくさん稼ぐために仕事もたくさん入れる予定だったのに。こんなことになるなら去年決断すれば良かった。」
この患者さんの場合、子宮筋腫のみを摘出する手術ではなく、再発の恐れがない子宮全摘を考えていた。
学費の捻出やそれに伴う仕事のことを考えると、たとえ良性の腫瘍とはいえ、一回のオペで済む子宮全摘をと考えていたが、彼女だけでなく、ほとんどの女性にとって他の部位よりも決断がいることだった。
彼女も、すでに大きな子どもが二人いて、これ以上の妊娠や出産を望んでいなかったが、なかなか決断できないでいたのだ。
新型コロナウイルスの影響で、不要不急の手術扱いとなったさまざまな手術が中止や延期を余儀なくされているが、それは、その患者さん一人一人の痛みなどの症状の我満と経済的な負担などのライフプランの変更の犠牲を伴っていた。
(ほんとうの意味で、不要不急な手術など存在しないのだ。)
アキナは、次の患者さんを呼びに行った。
新型コロナウイルスが終わるまで、
あと84日。
これは、フィクションです。
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