小説を書く。その28【BL小説】
注:こちらは『その27』の相手側からの視点になります。
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「あっちぃ~」
異常な暑さに耐えられなくて、俺は制服の首元をぱたぱたと仰ぐ。肌に張り付いていた布地が離れて少しはマシになるが、依然として暑いことには変わりない。
学校の教室にはエアコンがついてるのだが、なんせ騒がしい。だから俺は親友を誘っていつも中庭で昼飯を食う。
冬は冬で寒くて仕方ないのだが、やはり俺は中庭で飯を食う。
よく、付き合ってくれてんなあと思う。
ペットボトルを傾けながら、隣で弁当を広げ、箸が止まったままの親友を訝しげに眺める。
ああ、もしかして。
「ん」
と今自分が飲んでいたペットボトルを差し出してみる。
「え?」
何故か箸を取り落とそうとする。
「いや……喉渇いてんのかなと」
わたわたと取り乱したように差し出したものを受け取る。何故か飲み口をじっくりと見つめている。あれ? 水が欲しかったんじゃないのかな。
「あ……ありがとう」
あ、よかった。よけいなお世話じゃなかった。俺はほっとしたように口元を緩めた。
俺のわがままに付き合ってくれんの、こいつくらいだよな。
二年になって初めて話すようになったけど。こんなに気の置けない相手は会ったことなくて、一緒いて楽しくて、なんだか安心して。
ペットボトルをぎゅっと握って水を飲む姿をみていたら、なんだか、急に。
――こいつのことをもっと知りたいと思った。
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