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「彼女と僕のいた場所」

「マリッジ・ストーリー」の脚本・監督のノア・バームバックが24歳の時に脚本を書き、監督を務めた作品。Wikipediaにはコメディと書かれているけど、全然コメディじゃない。大学を卒業したものの、大人になりきれずに悶々とする、情けない男たちが描かれている。

主人公グローバーの彼女ジェーンは小説で賞を取り、卒業と同時にプラハの大学へ留学してしまう。一緒に行こうと誘われるものの、グローバーは踏ん切りがつかず、別れてしまう二人。卒業後、グローバーは仕事もせず、元ルームメイトたちとバーや大学のパーティで時間をつぶす、大学時代と変わらない日々を送る。プラハにいるジェーンからは時々、留守電にメッセージが入るが、いつの間にかその連絡も途絶え…。

印象的なセリフの多い映画だったのですが、ラストもよかった。空港のカウンターの女性のセリフ、"Well, you can always go tomorrow.(いつでも行けるわ)”が切なかったです。グローバーはきっともう、プラハには行かないんだろうな。

原題は"Kicking and Screaming"。蹴ったり叫んだりして駄々をこねる、と言う意味で、大人になることを全力で嫌がる主人公たちにピッタリのタイトル。邦題の「彼女と僕のいた場所」は原題とは全然違いますが、もう今はどこにもない青春の在りかを指すようで、とても良いタイトルだと思いました。

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