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ホームビデオ

義父から分厚い封筒が届いた。中にはDVDが2つ。夫が子供のころから義父が撮りためていたホームビデオの一部を編集したものだった。赤ちゃんの夫、弟とケンカする夫、誕生日を祝ってもらう夫、テニスをする夫、などなど私が知らない夫と家族の歴史が詰まっていた。かわいくて、大笑いしながら見た。

手振れしまくる画面の中に、日常から旅先まで、子供たちの様子がたくさん収められていた。スマホで簡単に動画が撮れる今とは違うから、重くて大きいビデオカメラを持ち歩いて、子供の姿を追いかけたんだろうなあ。

うちにもホームビデオがたくさんある。実家に帰ったついでに父がたくさん撮っていたビデオを母がDVDに落としてくれていたのを再生してみた。若い父が3歳の私のほっぺたをぷにぷにとつついているビデオがあった。そうそう、よくそうやってほっぺたをつつかれてたなあと父の大きな手の感触を思い出した。3歳の私に語りかける父の声は、大人になってからも、最後までずっと、父が私に話す時の声色と同じだった。

子供のころは知らなかった親の視線を画面越しに追体験しながら、どれほど大切に育てられてきたかを感じる。久しぶりに動く父を見た。

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