私の仕事
私の仕事は司法書士。弁護士や行政書士と同じ法律専門職、いわゆるサムライ業の一つである。司法書士に仕事を頼んだことがある人はどれくらいいるのだろう。
どんな時に司法書士を頼む?
ほとんどの人はマイホームを買う時に初めて司法書士を依頼する。しかし、頼んだことを忘れてしまう人も多い。マイホーム購入には、売買契約、ローン契約、保険契約などの契約行為に始まり、引越や新居の準備などなど様々な手続が必要だ。登場人物も多い。おそらく人生でベストテンに入る忙しさの中で出会う司法書士のことを覚えていないのも無理はない。マイホーム購入の場合、本人が依頼する以前に、不動産仲介業者や金融機関が司法書士を用意することもあり、探す必要もない。出会いのインパクトもないから、司法書士に会ったことがないですね、という方も多い。マイホーム購入後しばらく経つと司法書士から権利証が届くはずだ。これで一安心。マイホーム取得の経緯は司法書士の手によって法務局の登記簿にきちんと記録されている。誰からいつ買ったのか、夫婦共有で買ったならその割合、ローンを組んだならその金額、利息まできっちり登記簿に記載され、公開されている。
司法書士の探し方
ではマイホームを買った後、登記手続が必要になるのはどんな局面だろう。①住宅ローンを完済し抵当権の記録を抹消する時②売却する時③財産分与や贈与をする時、といったところだろうか。そして相続。これはマイホーム購入者が亡くなると必ず発生する。本人は亡くなっている訳だから司法書士を探さないといけないのは相続人、つまり家族や親族となる。最近相続登記の相談件数がぐっと増えている。
相続登記を依頼する時
相続の手続は多岐に渡る。最近は身近な人が亡くなった際の手続を一冊にまとめた本が多く出版され、その本を持って依頼に来る方もいる。司法書士を頼むべきかどうか、頼むとしたらどのタイミングがいいのか聞かれることが多い。
相続登記の前に確認ポイント3つ
依頼者に必ず確認するのは次の3つ。
①相続税の可能性があるかどうか。あればまず亡くなって10カ月以内の相続税の申告が優先。申告と納税を済ませてからゆっくり登記の順番で大丈夫。
②故人のマイナスの財産のチェックが出来ているか。借金があると分かっていれば相続放棄は亡くなって3カ月まで。期限がありかつ短い。相続人が同居でない親族の場合は、借金の存在を知らない、気付かない場合もある。知らずにプラスの財産だけ相続してしまうと放棄そのものが出来なくなる。
③相続人全員が協力出来るかどうか。ここが弁護士と司法書士の分かれ目。相続人全員が協力出来る、揉めていない、話し合いが終わっている場合は司法書士に依頼して書類を作成し、その結果を登記簿に反映する手続だけで終了する。しかし揉めていて決着がつかない場合は、弁護士の先生の出番となろう。
どこの司法書士に頼むべき?
司法書士は必ず事務所を構えている。最寄りの司法書士に相談するとしてどこを基準に探せばいいのか?遺産の所在地?それとも故人の最後の住所地?答えは依頼するあなた。あなたのいる場所を基準に最寄りの司法書士を探そう。全国の不動産登記情報はすべてオンラインで繋がっている。全国どの土地も建物もインターネットで登記情報を見ることが可能だ。どの司法書士に頼んでも全国の不動産の申請ができる。遠く離れた実家の不動産であっても最寄りの司法書士に依頼できる。司法書士は依頼者や関係者の本人確認をすることが義務付けられているから、直接会って相談でき、書類の受け渡しがスムーズに運べる司法書士が一番便利だと思う。
相続登記はお済みですか?
司法書士の業界は長らく相続登記の促進活動をしているのでどの先生も快く引き受けてくれる。あれ、忘れてたかも?心当たりのある方は最寄りの司法書士、または司法書士会へご相談ください。
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