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やきもの(陶芸)の頭脳戦 1

やきものには3つの戦いがあります。
1 作る
2 詰める
3 焼く

うちの窯は薪窯。
窯詰めはとても大切になります。
窯にただ詰めるだけはダメなんです。
火の走り、温度、湿度、灰のかかり方、作品の数、重ね方、混み具合…
考えることはたくさんあります。
完全に頭脳戦(笑)
第2ステージ頭脳戦編のはじまりはじまり

窯詰め=作品の将来を決める

炎の出る窯(薪窯、灯油窯、ガス窯)は火が出ます。
当たり前のことですが、
これがなんとも厄介で面白い。
気温、湿度、風、薪…いろいろなことに左右されます。
薪窯の場合、一度窯に火を入れたら止めるという選択肢はなくなります。
窯のどこにどのように作品を詰めたかは、かなり重要。
特に焼き締め陶は、釉薬をかけないため
火に運ばれた薪の灰が景色(みどころ)になります。
子どもたち(作品)に託す未来をきちんと考える大切な時間。

窯詰めはひたすら神経をすり減らします。それは、
作品が一番壊れやすいのでピクピク
棚板が重くて手がプルプル
前かがみの作業で足がガクガク
それに加えて
窯の中での位置で、子どもたち(作品)の将来が7割決まる
と思うとピリピリします。
窯詰めの姿は、身内以外には到底お見せできるものはありません(笑)
ノイズが入ろうものなら、まるで阿修羅さん。
完全に別人だとよく言われます。

窯中の立ち位置=作家の思い

窯には個性があります。
陶芸家ごとの窯にそれぞれクセが違います。
窯が設置されている場所
窯の形状
使っている薪の種類…
火に影響するものはたくさんあります。
窯の個性=作品の個性=作家のアイデンティティというところでしょうか
もちろん窯焚きのセオリーは存在しますが、
窯の個性は、蓄積された経験というデータでしか把握できないのが
辛いところ。同じに詰めても同じものはできません。
これまであそこに置いたらこうだったなぁ、
だから火の流れはこうだろう、
ならこれはここに置こうか
みたいに傾向を経験から読み取って詰め詰めします。
頭の中のアーカイブから古い記憶を呼び起こし、
仏僧のようにブツブツと念仏を唱えるように独り言ちたり、
オーケストラの指揮者のように火の流れを手でシュミレーションしたり、
とにかく怪しい。
後で動画を見て、恥ずかしくて隠れる場所を探しました(笑)

長くなってきたので今回はここまで。
次回、今回の窯詰めをご報告します。

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