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【リブリオエッセイ】詩の言葉はすべてを癒す~後藤○○の遺した言葉~

▼2023年11月 ふみサロ課題本
「壁の乗り越え方」さとうりゅうとう みらいパブリッシング

▼本文   

 詩の言葉はすべてを癒す~後藤○○の遺した言葉~

 人生最大の与えられたギフト。それは26歳の時、会社の仕事からの帰宅途中に起こしてしまった人身事故かもしれない。私はシートベルトをしていた為、内出血だけで済んだが、お相手の方はシートベルトをしていなかった為、顔面から流血しており、フロントガラス越しに忌まわしい映像を見てしまった。しばらくの間、トラウマになった。もしかしたら死んでいたかもしれない……そのような想いが何度も何度も脳裏を横切った。今から思い起こせば、あの事故が私の人生を変えた。

 その後の異動と引っ越し。降格と失恋のWパンチ。好きだった人を思いだしては涙を浮かべ、鬱寸前の日々。そんなどん底の中で、私の人生を救ったのは”詩の中に出てくる言葉”との出会いだった。一時期は、詩集ばかり買っていた。一番影響を受けたのは、後藤静香さんが遺したことばの解説本(現在は絶版)だった。詩を書かずにはいられない状態に陥り、世界は一変した。見知らぬたくさんの人達が自作を評価してくれる一方で、好きになった女性からは全く評価されなかった事や、会社からもリストラされてしまった事から私は自暴自棄になり、その後、詩作活動を辞めてしまった。当時30歳、人生は一度リセットされる事になった。

 その反動で、私はモーレツブラック企業戦士として生まれ変わった。ベンチャー経営者が書いた本を貪り読むようになり、毎日14時間率先して働いた。文芸書など読まなくなった。やがて結婚し、子宝にも恵まれた。しかし、その先に私の人生のゴールは無かった。フランスの詩人、ボードレールは「結婚は人生の墓場」という言葉を遺した。誤訳だったと言われているが、相手選びを間違えた場合、それは究極の真実になる。以前は離婚する奴なんて頭おかしい奴だと正直思っていた私にとって、そのような思考はブーメランとなり、自分自身に跳ね返ってきたのだ。

 優れた詩人の言葉は、どん底の人生を救う。離婚後の私は、再び詩人として復活していた。しかし、私の目指す理想像は、世間一般にイメージされるような詩人像とはちょっと違う。私はジャンルに、こだわらない。他人のどん底の人生を救えるような、かつての後藤静香さんが遺したような言霊の紡げるような作家になれてこそ、本の世界にご恩返しする事が可能になると考えているからである。私は死ぬまで魂の作家であり続けたい。心の底から、そう願っている。

※現在は絶版。後藤静香さんの詩は買わなくても、無料でサイトで読むことができます。

▼今回の作品を書いた経緯
 私は以前、ふみサロ以外で、2000文字エッセイで、どん底エピソードを既に、いくつか書いていました。なので、既に書いているものと同じ物は書きたくないと思い、今回は敢えて、どん底エピソードは書かないようにしようと、最初は思っていました。プロットを考えた結果、課題本自体が著者のオススメ本が、たくさん出てくる構成だった為、おススメ本について語るエッセイにしようと、まず最初は考えました。私が繰り返し何回も読んだ本をピックアップしてみると①「人を動かす D ・カーネギー」②後藤静香さんの解説本③中原中也詩集の3つまで絞られました。いざ書き始めてみると、すぐに、全部紹介するのは不可能と気づき、読者に、詩に興味がない人が含まれている事から、中原中也詩集についてアツく語る事はやめる事にしました(泣)。最終的に「起」で「人を動かす」を紹介し、「承」で「後藤静香」を紹介するエッセイを完成させましたが、過去に私は「人を動かす」をオススメするエッセイについては書いた事がありました。しかし「後藤静香」さんについて語るエッセイはまだ書いた事がありません。なので、「後藤静香」さんを紹介するエッセイに変更しようと、方針転換する事にしました。
「起」の部分にあった「人を動かす」を紹介するパートを削除すると、空いた部分に、どん底エピソードを挿入すると全体の辻褄が合うような気がしました。なので、最終的には、あまり書きたくなかったどん底エピソードから始まるエッセイに変わってしまいました。

▼執筆意図
 課題本の中に「人生観が変われば、夢も変わる」という言葉があります。私が初めて詩集を買ったのは26〜27歳ぐらいからなので、それ以前に詩人になりたいなどと思った事は一度もありませんでした。(私が10代の頃になりたかったのは、シンガーソングライターか作詞家でした)本当は、「にんげんだもの 相田みつを」や、清水英雄、坂村真民等についても触れたかった。これらの方々は、自分では詩を書かない方達にもオススメできます。最後のオチは、構想では、後藤勇人先生に触れて終わる案も考えてみたのですが、作品としては締まっている為、結局そこまではしませんでした。(そこまでした方が良かったか???)なお、今月エッセイの冒頭部分は、番外編リンク集の中の「こうして辞めました」篇に詳細を書いています。

【番外編リンク集】
▼後藤静香さんの言葉に触れてみたい方は、以下のリンクで読めます。

▼オススメ本エッセイ(2000文字エッセイ)「人を動かす」篇

▼どん底エピソード(2000文字エッセイ)「こうして辞めました」篇

▼どん底エピソード(2000文字エッセイ)「転職失敗」篇

▼どん底エピソード(2000文字エッセイ)「社内リストラ体験記」篇

▼どん底エピソード(2000文字エッセイ)「ブラック企業入社」篇


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