漫才

「体の色を1つだけ変えられるとしたら、どこを変える?」

青い手の少年は言った。

その青は、そこらじゅうの光を反射し、眩しく、とても鮮やかだった。金属のような、光沢のある青で、いつか見たスポーツカーの色に似ていた。

少年の腕には一切毛がなく、代わりに、綺麗な手錠があった。その手錠もやはり、光を反射していた。

「4色問題って知ってる?塗られた地球側の気持ち考えたことある?」

私は、少しうるさいな、と思いイヤホンをした。何も曲は流してはいない。今の状況に合う曲が、私にはわからなかった。少年は話すのをやめ、仰向けで寝始めた。私はイヤホンをポケットにしまい、右手をじっと見つめ続けた。

それからしばらく時間が経った。少年はひどくうなされているようだった。私はそのうなり声が外国の曲のように聞こえ、それが不快で仕方なかった。少年の口を閉じようとすると、下から何かがせりあがってきた。2本の柱の間には中華包丁のような薄い鉄板がぶらさがり、その下にある板には首を入れるための穴が空いている。これがギロチンと呼ばれているのを私は知っていた。そして、わからないことばかりの、この空間で何をするべきかようやくわかった。

少年の腕をそっと持ち上げ、ギロチンの穴に差し込むと、うなり声はぴたりと止まった。運動量に見合わない汗を、私はいつの間にか掻いていた。穴からはみ出る青い手は咲く場所を間違えた花のようで、私の汗がそこに落ちた。

「これは間違ったことではない……」

レバーを引き、ギロチンの刃が音を立てて落ちる。その衝撃は地面を伝い、私の額の汗を揺さぶった。

青い手は重力に従順で、だるま落としのように地面に落ちた。少年は目覚めて腕を押さえ、その場で絶叫する。

腕の断面から、勢いよく血が流れ、青い手にそれが降り注がれた。私はこの様子をしばらく見続け、そのあとに何かうまいことを言おうと思った。青い手は徐々に赤くなる。時間が経ち、血が乾くと、以前よりも濃い青色になっていた。

「もう少し血が赤かったら青い手は紫に見えていたでしょうね」

少年は既に疲弊しきっていた。枯れた花のようにうなだれ、死ぬのは時間の問題だった。

私はギロチンから少年の腕を抜き、自分の右腕を差し込んだ。ためらう間もなく刃を落とし、右手は私から独立した。地面に落ちた右手は、甲がしわくちゃになっており、少年と私を笑っているように見えた。

少年の青い手を拾い、その断面を、まだ血が噴き出ている自分の手首の断面に合わせた。私はこうして、青い手のおっさんになった。

それからふと、少年の質問を思い出す。

ー体の色を1つだけ変えられるとしたらどこを変える?ー

「体の色か…1つだけ変えられるなら、おへその色を変えようかな、緑色にでも」

すると少年は最後の力を振り絞ってこう叫んだ。

「いや、手の色変えとるやないがぁ゛ぁ゛ぁ゛い…!!」

続けて彼は言う。

「もういいよ…」

私と少年はいなくなり、ギロチンは地面に吸い込まれていく。

取り残された私の右手はさらにしわくちゃになっていた。

小さい頃からお金をもらうことが好きでした