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11話見た!アニメ史に残る圧倒的な神回に全俺が泣いた!!!【プリキュア5】

はっきり言っておく。11話は死ぬぞ。神様に寿命と引き換えに傑作を作ったとしか思えない。

今回の話で一番良いと思ったのはテーマを「理解できない人間をどう許すか」を持ってきたところなんだよね。誰だって気になるよね、人間をどう許すかって。
しかも、それが、モロに人と人の個性や価値観や能力がぶつかるところで差が生まれてしまう学校。
逃げ場がないところなんだよね。

夢原のぞみはテストの点数が18点だったところから話が始まるんだ。

四人は彼女のために勉強会をする。

水無月かれんは学校イチ頭が良いんだ。だから教え方もバツグンに上手い。
夏木りんにはスポーツを例えにして数学を考えてみてそうするとこうなるでしょ?って言うんだ。自分の関心あることだから夏木りんは一発で把握しちゃうんだ。

勉強を教えられても全く理解できない夢原のぞみ

ところが夢原のぞみはいくら教えられても全く分からない。
かれんが「どこが分からないの?」と聞くと、

「分からないところが分からないーーーーーー(泣)」

これって誰しも経験あると思うんだよ。どう分からないかを説明できちゃうってある程度把握してるからこそできる事なんだよね。
でも本当に分からない。把握すらできない。砂漠の真ん中でボーッと立ちすくんでる感じ。分からないところが分からないってそういう事だよね。

かれんも必死で教えようとするんだけど夢原のぞみは上手く理解できてない。周りとドンドンお葬式みたいな空気になってきて「これじゃプリキュアをやってる場合じゃないわね」って言われちゃうんだ。

夢原のそみは勉強とプリキュアは関係なくない?って返すんだけど「勉強すら真剣に出来ないようじゃプリキュアは無理じゃない?」グゥの根もでない。
春日野うららからは「ナイトメアは4人で何とかしましょう」とも言われてしまう。

とうとう夢原のぞみは発狂しちゃうんだ(笑)。ナッツハウスからウサイン・ボルト並みに走って脱獄する。夏目漱石がイギリス留学して発狂して帰ってきたって有名な話あるじゃない?それと似てると思うんだよ。
出口がないから辛いんじゃないんだよ、出口があるとかないとかもうそれすら分からない。そんなときこそ辛いんだよね。

彼女は初めて自分の後ろめたさをココに語るんだ。ここがめちゃくちゃ良いんだよ。元気に振る舞う夢原のぞみの裏側には実はとてつもない悲しみが走っていたってことなんだ。

「九九や漢字を覚えるのに人の倍かかった。みんなが出来る事が私はうまく出来なくて 私才能ないの。」

彼女は過去を喋るんだ。わざわざ彼女の小学生の頃の教室が出てくる。びっくりでしょう?台詞でサラっと流せるところを、ちゃんと絵で見せるんだよ。見ててこっちまで共感して胸につららブッ刺さってきたよ。

学校って出来ないことを出来るようにする場所じゃないんだ。出来るかどうかを確かめるところなんだ。だから「出来ない」の壁にブチ当たったらベジタリアンが焼き肉パーティーに連れてこられた気分。
悪いことしてないのに取り残された気持ちにさせられるんだよな。

どうしても自分ができるかできないかって事が目に見えて分かる場所が学校じゃん?
比べたくなくても自分で自分を周りと比べてしまう。すごい残酷な場所だと思うんだよね。

そこでココが言うわけ。
「のぞみの気球は、今、地上で空気を入れているところかな」

くぅ~!!!アンタが一番かっこいいよ!

ココ「可能性という気球だよ。いろいろなものを見て、聞いて、感じて。学ぶ事で気球は膨らむ。テスト勉強はのぞみの気球をより膨らませる為のひとつの方法だよ。将来の夢が出来たときに、より高く飛べるようにね」
のぞみ「私の気球、とべるかな?」
ココ「それはのぞみ次第だ。素晴らしい未来が待ってるよ。」
のぞみ「・・・」
ココ「回り道をしても、時間がかかってもいいんだよ。」

こんな事を言ってくれる先生に出会いたかった。

「君には本当に、心から感謝している。でもね、のぞみにとって一番大切なのは、のぞみの未来だ。君の未来には無限の可能性がある。だから他にやりたい事がもし見つかったら、僕の夢よりも優先させていいんだよ」


死にました。死去しました。私の心を奪い去りました。この男は!
ココは自分の故郷を復活させる夢を持ってる。ココの夢を叶えるのが私の夢なんだと夢原のぞみは一話で語ってるんだよね。

ココは彼女に感謝しながらも別の夢が見つかったならそちらを選ぶべきだと言うんだ。これってなかなか言えることじゃない。
夢って言い方を換えると「呪い」なんだよね。
ココの夢に囚われたらそれってもう悪い夢なんだよ。

だから「僕の夢より優先させていい」の一言は彼女の心がたとえ変わったとき、それを許す言葉なんだよね。

こんなのココを好きになるしかないじゃない!


最終的には四人もさすがに言い過ぎたと夢原のぞみに謝るんだ。
そして時間が飛んで次のテスト。放課後に彼女はバッと自信満々に答案を皆の前に出す。すると38点の文字。かれんは「マジで…、あれだけ教えたのに」ってなるんだ。

そしたら夏木りんが「良いじゃないですか。すぐにはできませんよ。ゆっくり待ちましょう」って言うわけ。すげー良いんだよな。
かれんは笑顔で「そうね」ってなる。

のぞみも成長してるんだけど、これかれんも成長したんだよね。人を許すことができるようになった。
平たくいうと、自分の望み通りに人がならない事をダメだと思わなくなったんだ。

つまり、「時間」っていうものを考え方に入れたんだよね。

大事なのは今すぐ目に見える結果ではない。時間っていう軸さえ持てば今この瞬間だけの結果に心が左右されない。
思い通りにならなくていい。
いつか何かの結果につながればいい。

これは全人類が見るべき話だよ!!

ヨロシク!



第 11 話 『のぞみとココの熱気球』 2007/04/15
脚本:成田良美  演出:岩井隆央  作画:飯島秀一  美術:行信三 長恵美子 

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