見出し画像

この猛暑に対して私たちはどうするべきなのか。

先週末の6月25日から急にうだるような暑さ。連日、熱中症に注意するニュースや電力ひっ迫のニュースが飛び交っています。我が家でも、日中はもちろんのこと寝る際にも空調をつけないと過ごせません。なるべく無駄が無いよう適切にそして最適化しながら利用しています。

フィードバックループ

しかしながらそこで気になるのが、「暑い」▶「空調を使う」▶「エネルギーを消費する」▶「排熱(短期的影響)」および「温室効果ガス(長期的影響)」▶「また暑い」、というフィードバックシステムが働いてしまう点。暑いという現象から難を逃れるべくしていることが、いつの間にか自分もその現象に加担してしまっているという状況。まさに「私たちは被害者でもあり加害者でもある」という状況です。

今回の猛暑は、太平洋高気圧が北へ強く張り出していることから起こっており、それを引き起こしたのは「ラニーニャ現象」。気象庁でも6月10日の時点ですでに監視速報が出ていました。ラニーニャ現象とは、エルニーニョ現象の逆で、東太平洋赤道付近の海面水温が平年より低い状態が長期間続く現象とのこと。ラニーニャ現象が起こると日本付近では、夏季に太平洋高気圧が北に張り出しやすくなり、気温が高くなる傾向にあります。

このラニーニャ現象がではなぜ発生するのか?気候変動問題と関係あるのか?というのは科学には様々な見解が存在するようですが、前述した通り「暑いので空調をつける」という行為は、エネルギー源が100%再エネ電力で排熱もかなり抑えられていない限り、少なからず気候危機に対して負の影響を与えると考えられます。


今こそ対症療法ではなく根本療法を

もちろん、熱中症にならないように最低限利用することが必要ですが、それは対症療法的であり、この状況に対していよいよ私たちは長期的な視点をもった対策を真面目に考える必要があると感じます。

思えば私が小さい頃は、確かに暑い日もありましたが、「空調をつけないとやっていけない・・!」という日はそこまでありませんでした。学校も空調がないところが多かったと思いますし、この30年ほどでやはり夏はどんどん長く暑くなっていると体感します。

言い換えると、昔は「暑さに対して余裕があった」けれど今は「暑さに対して余裕がない」とも言えます。この「無いときつい・・!」という状況はますます加速化していくかもしれません。本当に今やらないと、あと10年後には今よりもっと厳しい状況が待っているかもしれません。

フィードバックループから抜け出すために

私たちが「被害者でもあり加害者でもある状況」、フィードバックループから抜け出すためには、「暑いから適度にエアコンを使いましょう」といっているだけでは解決しません。

気候変動の界隈では、その原因に対して解決する方向性を「緩和策」、発生した状況に対してうまく対応することを「適応策」といいますが、この両方に適切に取り組む必要があります。(エアコンは適応策の一つです。)対処療法的な負のループから抜け出すためには、「適応策」だけでなく「緩和策」にも注力しなければなりません。

ここでは、ステークホルダー別に、必要と思われる策をいくつか案として挙げたいと思います。

国がすること

まずは何といっても「エネルギーの脱炭素化」でしょう。化石燃料依存から脱却して再生可能エネルギーを基本とした国づくりをしてほしいと思います。また、この4月に住宅省エネ法案が閣議決定されましたが、こうした「省エネや脱炭素化に寄与する製品の基準化」もぜひ様々な点で進めていただきたいところです。


自治体がすること

2050年カーボンニュートラルに向けて「ゼロカーボンシティ宣言」なども活発になってきてきます。その手段は様々で再生可能エネルギーの普及やスマートシティのように街の構造から考えるものまで様々ですが、私が個人的にお願いしたいことが、「木を植える」ことです。特に住宅街やビジネス街など人がいるところにこそ木を植えてほしい…!

木を植えることによる長期的な「炭素固定」も素晴らしいですが、何より即効性のある「暑熱緩和効果」です。

樹木の遮熱緩和効果(引用:環境省)

基本的に「車優先の街のデザイン」から「徒歩優先の街のデザイン」にしたら、これは達成できるのではないでしょうか。最近当選された杉並区の岸本さんの公約にも書かれており、樹木を取り入れた街づくりが都市部でどんどん進むことを願います!


市民がすること


空調を適切に使う、省エネ基準を満たしたものを使う、といったことは行うとして「再エネ電力に契約を変える」もぜひ取り組んでいただきたいところ。

そして、長期的な視点に立つと市民の役割は非常に大きいです。なぜなら、温室効果ガスが発生を構造的に見ると、全体の約6割が家計消費に由来しているからです。産業を揶揄する声もたびたび聞かれますが、それは結局BtoCとして行き着き、私たち一人ひとりに商品やサービスを提供するために行われている、といえます。

そこでライフスタイルを変える必要がありますが、国立環境研究所がわかりやすいメニューを示してくれています。

引用:国立環境研究所


そもそも、なぜ温室効果ガスがこんなに出るライフスタイルをしてしまってきたかいうと、「働け」「生み出せ」「作れ」「売れ」「使え」といった、消費生産主義によるライフスタイルを構築してきてしまったから、ともいえます。

これからは、GDPを指標とする「生産性を目的としたライフスタイル」から個人の幸福などを指標とする「充足性を目的としたライフスタイル」を本気で考えることも、私たちにとって重要です。そしてそれは、前述した「歩く街づくり」に繋がるものだと考えています。

おわりに

私たちは空調というシステムがありますが、自然にいる動物はどうしているのだろう?とふと思います。暑くなる前のころ、巣立って行ったツバメたちは元気かな、と。

私たちの住む世界が、他の動物や生き物にとっても生きやすい、そんな世界を創れるといいな、と思います。


サポートいただきありがとうございます。