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2020年4月19日 動物性タンパク質を欠いた外食に価値を見いだせる東京の豊かさ

16年前に福岡から東京に出てきて、気取った街に住んで、驚いたことの一つは「キュウリサンドイッチ」が売られていることだった。うちの近所の気取った食品店には惣菜が売られており、キュウリサンドイッチはどうもその店の名物の一つらしい。キュウリサンドイッチは文字通りキュウリだけを挟んだサンドイッチで、そこにはハムも卵も入っていない。私の感覚で言うと、キュウリサンドイッチは何らかのヒューマンエラーによって生まれるもの、もしくは予算的な都合上やむを得ず生まれる社会の闇であって、サンドイッチのバラエティパックに入っていたとすればそれは、主役となるたまごサンドやハムサンドを引き立てるエキストラ、パセリと同等の存在というところだろう。ところが東京の気取った街ではそうではない。キュウリサンドを買い求める人がいるのだ。しかも、名物になるくらい引く手あまた。動物性タンパク質を欠いた外食に価値を見いだせる東京の豊かさに圧倒的な敗北を感じた。

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