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本当はよくわかっていない大人のために。子供でもわかる確定申告、キホンのキのはなし。【PR】

※この記事はアドビ「僕と私の確定申告」企画の一環として制作しています。



大人って本当に大変である。仕事をして、自分の食い扶持を稼いで生きていかなくてはならない。ましてや仕事をして稼いだら確定申告をしなければならない。

確定申告。ともすれば仕事をするよりはるかに難しい。昨年『大人だって泣いたらいいよ 紫原さんのお悩み相談室』というタイトルの本を出したが今、他でもない、私が泣きたい。目前に迫り来る確定申告、したくない。本当にしたくない。正直、確定申告、と口に出すのも怖い。

専業主婦として過ごした結婚生活に終わりを告げ、働き出して以来、どうもやらないといけないらしいと小耳に挟み、正しいのか正しくないのかわからないまま、半ば一か八かの賭けのように、直感にまかせた確定申告をやってきた。e-Taxなるものを使い、出てきた選択肢の中から当てずっぽうでボタンを押して、どうもこれらしいという数字を入力する。でもこの数字が何で、何のために求められているのかは、正直わからない。毎年使っているのに、去年はたどり着けた項目に、たどり着けない年もある。

申告書類を出してからしばらくは、毎年、生きた心地がしないまま暮らしている。果たしてあれで合っていたのだろうか。何か思わぬ落とし穴を見落としていたが故に、突然黒ずくめの人たちが、怖い顔で家の中に踏み込んできたりはしないだろうか。タンスの中をひっくり返したり、床板を剥がしたり、炊飯器の中を開けたりしないか。テレビやパソコン、エアロバイクなんかを問答無用で持って行ったりしないか。突然逮捕されたりしないか。子供の頃に見た映画のせいか、後ろめたいことは何もないはずなのに、何かが常に後ろめたい。

しかし私も今や四十歳である。社会人デビューが遅かったことを考慮したって、さすがに大人として確定申告が何なのかくらいは知っておきたい。ましてや昨年息子が成人し、多少なりとも稼ぎ始めた今、息子に基本的な確定申告知識を、大人の先輩として、教えなければならない。しかしぼんやりした知識のままでは教えることができない! 確定申告はついに私だけの問題ではなくなってしまったのである。

そんなとき、私の頭にある一人の友人の姿がよぎった。現在、都内で会社員をしている彼女、通称”ビフテキちゃん”は、何を隠そう元国税専門官。初めての人に会うたびに「企業のみなさんの税金を取り立てる野蛮なお仕事をしていました。焼いた肉が好きだから”ビフテキ”です」と澱みのない笑顔で前職とあだ名の由来を語る。彼女ならばきっと、私を怒ることも、私の家を粗探しすることもなく、確定申告について教えてくれるだろう。子供たちに一から十まで説明できる立派な大人になるために、私は意を決して、ビフテキ塾の門を叩いたのであった。

”もうけ税”の額を決める確定申告

「ビフテキ先生、お礼に焼いた肉をたくさんご馳走するので、大人になりたての人間にもわかるように、確定申告について教えてください」

 そんな唐突な打診を「はいはい〜」と二つ返事で快諾してくれたビフテキ先生。彼女はかつて税務署に国税専門官として勤務していた。国税専門官とは、四年制大学を卒業したのち、さらに税務大学校で税金について学んでから業務に就く人たちだという。そんな彼女に真っ先に聞かねばならなかったこと、それは。

紫原「ビフテキ先生、そもそも確定申告って何ですか? なんでやるんですか?」

最低限のプライドを守るために書き添えておくと、私だって少しは知っている。ぼんやりとは知っているのである。でも、次世代を担う若者たちにも分かりやすくするためにあえて聞いていると思ってほしい。本当はそうでなかったとしても、そういうことにしておいてほしい。

ビフテキ「大前提として、私たちは“儲かったら税金を払う”ことになっています。所得税に限らず、全ての税金はそうなっていると言って良いでしょう。その上で確定申告とは、個人が1月〜12月の“もうけ”を確定し、所得税がいくらかになるかを税務署に申告するために行うものです」

紫原「なるほど。つまり確定申告は、もうけた人が全員が納めなければならない“もうけ税”の金額を決める作業、ってことですね?」

ビフテキ「そういうことです。会社員は基本的には会社が代行してやってくれるので、年末調整というものをすれば確定申告の必要ないことが多いです。ですが、フリーランスの方や、会社員であっても副収入がある方は、確定申告をしなければなりません

すでに払っている”もうけ税”と”真のもうけ税”

紫原「それにしたって“もうけ”の額なんて、全員が請求書と領収書だけ出せば分かりそうなものですけど。確定申告はどうしてあんなにごちゃごちゃしてるんですか?」

ビフテキ「そうですね、それを説明するにはまず、“もうけ税”の一つである“所得税”について説明していきます。所得税には、“源泉所得税”と、“申告所得税”の二種類があります。紫原さんが原稿を書いたとき、報酬として受け取る原稿料からはいつも“源泉所得税”が天引きされて支払われていると思います。

紫原「そういえばそうです!」

ビフテキ「……そうでしょうね。これは、紫原さんの“もうけ”から納めるべき基本的な“もうけ税”を、発注者が代わりに税務署に納めてくれているからです」

紫原「ということは、私は確定申告を待たずして、すでに“もうけ税”を納めている……?」

ビフテキ「はい、すでに納めています。源泉所得税というのは、確定申告の時点で“すでに払っているもうけ税”なんです。ひとりひとりがもうけを得るたびに税務署に税金を納めに行っていたら手続きが大変ですよね? なので、発注者や企業が代わりに納める義務を追っているんです」

紫原「そうだったんだ……!」

ビフテキ「ですがここで重要なのが“もうけ”の額です。たとえば原稿を書くために電車に乗って取材に行ったり、本を買ったり、パソコンを買ったり、事務所を借りたり。“もうけ”を得るためにお金、つまり経費がかかることがよくありますよね。ですが、紫原さんが原稿料として受け取る“もうけ”には、このように仕事をする上でかかる経費などは計上されていません。ですから確定申告では、もうけるために必要だった経費やその他諸々を除いた、紫原さんの真の“もうけ”を算出することになるのです」

紫原「私の、真の“もうけ”を……!」

ビフテキ「真の“もうけ”がわかると、改めてその金額に合った、紫原さんの所得税の金額が決まります。これが“申告所得税”なんです」

紫原「つまり“申告所得税”というのは、“真のもうけ税”ということですね?」

ビフテキ「そうです。そして確定申告で算出した“真のもうけ税”の額が、“すでに払っているもうけ税”(=源泉所得税)より大きければ追加で“もうけ税”を納める(=納付)必要があり、逆に小さければ、“すでに払っているもうけ税”から、多過ぎたお金を返してくれる(=還付)、ということになるんです」

真のもうけ税(申告所得税)>すでに払っているもうけ税(源泉所得税)→追加で払う(納税)
真のもうけ税(申告所得税)<すでに払っているもうけ税(源泉所得税)→お金が戻ってくる(還付)

所得控除は真のもうけを小さくするアイテム

紫原「払い過ぎたものを返してくれることもあるなんて、税務署も怖いばかりじゃないんですね。少し誤解していたかもしれません」

ビフテキ「取り過ぎて戻さないなんて、さすがにそんなヤクザなことはしませんよ。お金は大事ですから。それに“真のもうけ”から税率が決まるということは、“真のもうけ“が小さくなればなるほど、払わなければならない“真のもうけ税”も小さくなるわけですが、このために色々と特殊アイテムも用意されています。これがいわゆる“所得控除”と呼ばれるものです」

紫原「所得控除は“アイテム”?」

ビフテキ「はい、そう考えることもできます。マリオはきのこを食べると大きくなりますが、確定申告での”もうけ”は、控除アイテムを使うと小さくなります。たとえば医療費控除。これは、その年にかかった10万円を超えた分の医療費を、“もうけ”から除外することができるというものです。また同じように、その年に払った生命保険料の一定金額も、“もうけ”から差し引くことができます。こうやって、生活にかかるさまざまな費用を、控除アイテムを使って“もうけ”から除外していくことで、余分なものを削った“真のもうけ”が出現します」

紫原「なるほど。ガッポガッポ儲かっているわけではない私たちなんか、そうしてもらわないと生活できないですからね。そう考えると、確定申告があれほどごちゃごちゃしているのにも理由があるんですね」

ビフテキ「そうなんですよ。ただそれにしたってe-Taxはもっと使いやすくなっていいと思いますけどね」

紫原「ですよね」

確定申告の基本用語まとめ

確定申告:もうけた人が納めなければならない“もうけ税”の額を決める作業
所得税:”もうけ税”
源泉所得税:確定申告の時点ではすでに払っている”もうけ税”
申告所得税:”真のもうけ税”
所得控除:真のもうけを小さくする各種アイテム

領収書はデータ化してとっておこう

紫原「ビフテキ先生のおかげで確定申告のことがあらためてよく分かりました。本当にありがとうございます。お礼にこちらの焼いた肉をお召し上がりください」

ビフテキ「ありがたく頂戴しま……あっ、紫原さん。この肉を買った際の領収書はもらってきましたか? 紫原さんは、この原稿を仕事として書くためにビフテキに取材しましたね? そしてこの取材に必要な肉を買ったのだとすれば、これは交際費等の経費として計上できる可能性があります。来年の確定申告でこの肉代を“もうけ”から除外するためには、肉代を払ったという”証拠”として、きちんと領収書を取っておきましょう。その際、感熱紙などは時間が経つと文字が消えるので要注意ですよ」

だとすると、時間が経って領収書の文字が消えたり、バッグの中でクシャクシャになったり破れたりする前に、領収書をデータ保存しておくのがよさそう。モバイルアプリAdobe Scanで領収書を撮影しておけば、すぐにPDF化して、クラウドにデータで保存が可能。さらにAdobe Acrobatオンラインツールの「PDFの結合」機能を使えば、過去の領収書のPDFを1枚にまとめられます。

領収書の写真をスマホで撮影して保管しているなら、Adobe Acrobatオンラインツールの「JPEGをPDFに変換」機能が便利です。スマホのカメラロールに溜まっている写真を1枚のPDFにまとめてすっきり管理できますよ。

領収書をPDFで保管するときに気になるのが、PCの容量圧迫。そんな悩みも「PDFの容量圧縮」機能でファイルサイズを小さくしておけば解決です。

やらなければいずれにせよ損をする確定申告


ビフテキ「確定申告を嫌がる人も多いですが、もし還付金が戻ってくるのに
確定申告をしなければ損をしてしまいます
し、逆に納税額がある場合にはペナルティが課され、申告が遅れれば遅れるほど納税額が割増になってしまいます。ですから必要な人は期限までに確定申告をやりましょう」

紫原「……はい、がんばります。ただ、今分かったような気になっても、e-Taxを前にすると途端にわからなくなるんですよね。こういうときってどこに問い合わせたらいいんですか? なるべく怖くない人に教えてほしいんですが」

ビフテキ「国税局電話相談センターですね。紫原さんのように理由もなく税務署を恐れている人は多くて、電話をしただけで、目をつけられるのではとか、怒られるのではとか思う人が結構いますが、別に電話をかけたからといって意地悪されませんので安心してください。私の知る限りでは、個人からの質問の窓口には優しい人が多かった印象です。中の人は何よりもまず、確定申告をしてほしいと思っていますから、わからないことは遠慮なく相談してください」

本当の戦いはこれからだ!

かつて自動車学校に通い始めたばかりの頃、世の中の大勢の人が、あんなにも当たり前に運転しているのに、運転免許取得ってこんなに難しかったのか……!と強いショックを受けた。毎年、確定申告と向き合うたびに、あのときの気持ちを思い出す。これをこともなくやってのける人々がいるのか!? 畏れと、後ろめたさと。

しかし今回、ビフテキ塾で学んだ私はついに、この最初の壁を越えることができた。今や、確定申告の最低限の構造を理解していると言って良いだろう。すでに成人した息子と、これから大人になる娘にも、これで堂々と仕組みを説明することができる。早くも全てが終わったような清々しさを感じているが、実際に確定申告に着手するのはこれからである。あなたもきっとそうだろう。各種アイテムを駆使し、真の”もうけ”を見つけ出す私たちの本当の戦いは、これから始まるのである。……待ってろ、e-Tax!


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