見出し画像

ヤクルト1000とシロタ株の整腸剤:整腸剤の解説(4)


ヤクルト1000はなぜ睡眠の質が向上するのか

かぜ薬や解熱鎮痛剤同様に「整腸剤」も多種多様の商品が販売されています。その中でも興味深いのが乳酸菌飲料でおなじみのヤクルトが販売している整腸剤です。

あの世界に名だたる「乳酸菌シロタ株」を整腸剤として毎日服用できるのです

ヤクルトの整腸剤はヤクルト1000を始めヤクルトを毎日飲んでいるヤクルトファンなら、普段飲んでいない人よりもより高い整腸効果が期待できるかもしれません。

その前に、ヤクルトをあまり詳しくない人のために「ヤクルト1000」と「機能性表示食品」について解説します。

1.機能性表示食品の「機能性」とは何か
ヤクルト1000はヤクルト本社が臨床試験のエビデンスなど科学的根拠を基にして、健康の維持や増進に役立つ「機能性」を販売前に消費者庁に届け出た機能性表示食品です。

ヤクルト1000の機能性とはもちろんこの2つです。

ストレス緩和と睡眠の質向上

その他にも機能性として届出が受理されると次のような表示ができます。

・ぼやけやかすみを軽減し、くっきり見る力を改善
・体脂肪やウエストサイズを減らす
・ひざ関節の違和感を和らげる
・高めの悪玉コレステロールを下げる
・身体を動かすときの脂肪の代謝を高めて体脂肪を減らす、など

どれも興味深くて思わず手に取りたくなるキャッチコピーばかりです。しかし、このような身体の機能性を表示するためには「科学的根拠」が必要です。

2.ヤクルト1000の睡眠の質が向上する科学的根拠
ヤクルト1000は睡眠の質向上の科学的根拠として二重盲検プラセボ対照臨床試験による「眠りの深さ」と「起床時の眠気」を公開しています。

二重盲検プラセボ対照臨床試験とは2グループに分けられた被験者も医師やスタッフもそれがヤクルト1000か偽物(プラセボ)かわからない状態で行う試験です。

眠りの深さ


起床時の眠気


このグラフを見れば、睡眠に関してヤクルト1000とプラセボでは明確な違いが出ていることがわかります。このデータは販売前のものなのでヤクルト1000が世に出る前のものです。

3.ヤクルト1000はなぜ睡眠の質が向上するのか
乳酸菌の主な活動場所は小腸です。乳酸菌は小腸で次のような働きをします。

・免疫細胞の活性化
・消化吸収を助ける
・乳酸菌が産生する乳酸で腸管内を弱酸性にして悪玉菌の増殖を防ぐ、など

他方で睡眠を司るのは脳の「視床下部」です。小腸から遠く離れた視床下部に乳酸菌シロタ株はどのように作用するのか。ヤクルトの担当者が言うには、

100ml1000億個という高菌数高密度のシロタ株が交感神経に作用したのではないか

担当者自身もはっきりしたことはわからないそうです。

しかしストレス緩和も睡眠もどちらも「交感神経」が関わっています。交感神経の高まりを抑えることがストレス緩和と睡眠の質向上の鍵であり、シロタ株の100ml1000億個がそれを可能にしたことがデータによって裏付けられています。

一方で通常のヤクルトは65ml200億個のシロタ株です。これを5本飲めば1000億個になるのでヤクルト1000と同じ効果が得られるか、といえばそうはならないそうです。重要なのは、

100ml1000億個の高菌数高密度のシロタ株

高菌数高密度とシロタ株という条件が合わさって初めて「睡眠の質向上」が実現します。

4.ヤクルト1000の欠点
ヤクルト1000は従来の整腸作用に加えてストレス緩和と睡眠の質向上が加わった夢のような乳酸菌飲料ですが、欠点(?)ともいえる懸念点もあります。

ヤクルト1000の糖質は14.1gでコーラ100mlの糖質11.3gを超えている

乳酸菌をおいしく飲むためには大量の糖分が必要です。しかも乳酸菌は1~2日で排出されるので乳酸菌の効果を享受するには毎日飲む必要があります。

長所を取るか、短所を避けるかの選択です

答えは簡単でヤクルト1000を飲むのなら他の糖質を控えればいいだけです。お菓子やアイス、ジュースを抑えれば毎日の習慣としてヤクルト1000を飲むことができます。

ヤクルトが販売する整腸剤とは



成分分量、働き(1日3包中)
・ビフィズス菌BY株150mg
主に大腸で働いて乳酸や酢酸を産生し、整腸作用をあらわします
・ガゼイ菌シロタ株150mg
主に小腸で働いて乳酸を産生し、整腸作用をあらわします

成分について、ビフィズス菌BY株はミルミルに含まれているものを、ガゼイ菌シロタ株はヤクルトに含まれているものと同じ菌を同時に摂取できることがヤクルトBL整腸薬の特徴です。

菌数は1包ビフィズス菌とガゼイ菌合わせて70億個なので、15歳以上は1日3包210億個となります。

1日菌数210億個なので「ストレス緩和」と「睡眠の質向上」までは期待できず、整腸剤本来の働きである「整腸作用」に期待することになります。

ヤクルトが誇る2つの菌、乳酸菌シロタ株とビフィズス菌BY株の相乗効果はどこまで高まるか、口コミを見るかぎりでは効果は出ているようなので普段ヤクルト製品を飲んでいる人はこの機会に試してみてもいいかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?