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2021年7月仙台1日目

東北。
関西出身の私にとって東北は韓国や台湾よりも遠い場所だ。
関西にいたころは東北出身の人にほとんど会ったことがなかったと思う。
旅行先としてでさえ、東北に行ったという話はほとんど聞いたことがなかった。
私が初めて東北に行ったのは25の時で、それは韓国台湾香港マカオベトナムタイ、オーストラリアやモロッコに行ったずいぶん後になる。

東京に来て、東北をぐっと近く感じるようになって、日帰りのバスツアーで福島に行った。
大内宿も鳥羽城もすごく良かった。

東京にいると、当たり前に東北出身の人に出会う。
私は突然神秘的な東北に興味が湧いて、東京にいるうちに東北を回らなくてはと思い、
でも車の運転が得意でないので少しハードルが高そうで、でも自然に囲まれた無骨な感じに惹かれている。

30代を迎えるにあたって出不精になっている自分に危機感を抱いて、毎月旅行しようと目標を立てた。
その第一弾に東北の玄関口であり、一番公共交通機関が発達してそうな仙台を選んだ。

仙台は思っているより近くて、思っているより大きかった。
金曜の夜、仕事を早めに切り上げてはやぶさに乗って、眠かったので到着時刻の少し前にiPhoneのアラームをセットして寝た。
仙台駅の到着のアナウンスで目が覚めて、アラームが鳴ってないことに気がついて確かめたら、私は到着のちょうど1時間後に設定していた。
東京から1時間。
地元に帰るより、仙台は近かった。仙台駅は思ってたよりずっと大きかった。
名古屋駅よりも京都駅よりも大きく感じた。
寿司ずんだ餅牛タンのお店が並んでいて嬉しくなる。
駅ナカのお店も20時を過ぎても空いているところが多くて少し東京とは雰囲気が違った。

駅の中でお寿司を食べた。
30を前にして最近お寿司がすごく好きだ。
1番高い550円のお寿司を2貫たべても2000円ちょっとだった。
鮪の頭のところとイカと煮たことぼたんえびが美味しかった。
あら汁が味噌じゃなくておすましでびっくりした。


隣の席では、出張で仙台に来てるらしい男の人が仙台に住んでいるらしい女の人を口説いていて、私は寿司をつまみながらまた一人で知らないところに来たんだなと思った。

お寿司のあとずんだシェイクを飲んだ。
東京で飲んだことのあるものをわざわざと思ったけれどずんだが大好きだからいいやと思ったら、記憶の味とずいぶん違ったし、ずんだの味でもなかった…残念。
そのあとエスパルの地下で買った玉澤総本店のずんだ餅はちゃんとおいしかった。

ホテルは駅から10分くらいのところで、ヨドバシカメラやらニトリやらチェーンの居酒屋やら、東京で数年前から流行っているスイーツショップなんかが並んでいるのを見ながら歩いていたら、地方都市ってクローンみたいだなとちょっと寂しい気持ちになる。
でもこの寂しさって都会人ぶった上から目線の感想だよな。
私が仙台に住んでたら流行りのものは全部仙台にきてほしいもん。

ここまで考えてその最たるものが東京であることに気づいた。
東京ではパリの人気パティスリーの海外一号店的な出店がものすごく多い。
世界中の流行ってるものや新しいものをコレクションしてるのが東京だ。
東京が新しいもの好きだから、ブランド側も初の海外出店先として選びやすくて、どんどん東京に集まってくるんだろう。

東京って屋台街みたいだな。
万国博覧会みたいとも言えるかも。
移民の数は少ないのに、イタリアンも中華もタイ料理もインド料理もスリランカ料理もスペイン料理もギリシャ料理もキューバ料理もモロッコ料理もシュラスコもタピオカもパイナップルケーキもマカロンもある。
しかもあるだけじゃなくて全部のレベルが高い。
海外で見るような高いだけのSUSHIみたいなクオリティの食べ物はあまりない。

そんな東京を日本の他の街は追いかけて、仙台でも早ければ東京に上陸した後1年を待たずして、パリの流行スイーツが食べられる。
そしてその時には多分そのスイーツを食べたことがある数はフランス人よりも日本人の方が上回っていると思う。

イタリア料理や中華に関してはシチリア料理とか山東料理とか、地方の料理まで食べることができる。
料理だけじゃなくて山岳民族の手織りのベストもタイの焼き物も、日本にいたらなんでも手に入る。

すごいことだ。
日本人は自国の文化に誇りがなく、強欲で、手に入れたものは片っぱしから飽きてしまう下品な国民性なのかもしれない。
食べることやお洒落や消費することを常に考えられるというのは平和の究極形なのかもしれない。

最近仕事にやりがいを見出せないし、恋愛からも遠ざかって、友達が結婚したことを言い訳に出不精になり、体重は増え、体にも心にも年齢を感じ、さらに外に出るのが嫌になって、生活に張り合いがなくなっている。
世界には、一人で生計を立てるに十分な収入があり、思い立ったら電車に乗って旅行して、それを日記にして公開する女がどのくらいいるんだろう。

小学校6年生の時に20年後の自分を想像して作文を書くという授業があった。
そのくらいの女子はませているので、結婚して、こどもがいて〜と書いている子が多かった。
私もませている女子の一人として結婚していて、新婚旅行はハワイがいいという生意気なことを書いたのだけど、それは大人っぽい、いけてる自分を演出したかったからで、本音では自分が結婚しなさそうだとなんとなく、でもはっきりと思っていたことを覚えている。

その予感は正しく、でも私は自分が一人を寂しいと思う大人になるとは思っていなかった。
私は大人になって、自由になってから、自分の中に寂しいという感情を見つけて、それとどう付き合っていけばいいのかまだわからない。

ホテルは駅の近さと安さで選んだところだったけど、受付のお姉さんが優しかった。
最近笑顔を見せること、コンビニの店員さんや配達員さんとちょっとしたやりとりをすることすら億劫になってたかもしれない。

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