見出し画像

第6講 説明(論説・評論)文の基本構造

難しい?実は単純な基本構造

皆さんこんにちは。
田中(国語の先生)です。

今回は嫌いな人も多い説明(論説・評論)文(以後「説明的文章」と呼称します)の説明となります。

そもそもなんで嫌いな人が多いのでしょうか。
よく生徒にその理由を聞くと
・「つまらない」
・「興味ない」
・「難しい」

などの声が聞こえてきます。
特にその理由は学年が上がるほど顕著です。

4年生ぐらいのときは、
「説明文?好きだよ。だって、答えが書いてあるんだもん!」と笑顔で話してくれます。
そうです。5年生の前半ぐらいまでなら説明的文章も「具体的」・「身近な」テーマなのでとっつきやすいですよね。
それが5年生の後期ぐらいからどうでしょう。急に抽象的な内容が増えていくではありませんか。
高校受験でも同じ。日本語で書いてあるのに、書いてある言葉の意味は不明。
「物心二元論?」「概念?」「コスモス?」
もう意味が分からない!!
って感じなのではないでしょうか。

確かに大人が読んでいても意味がよくわからない説明的文章は多々あります。どことは言いませんが、1万字以上もある超長文の説明的文章を50分問題付きで読ませる苦行をさせる入試もあるぐらいです。
ですが、きちんと点数を取る方法はあります。
そのためにもまずは説明的文章の構造をきちんと押さえましょう。


①説明文って何?


そもそも説明文とはどんな文章なのでしょうか。
説明文とは読んで字のごとく

(何かについて)説明(している)文(章)

のことを指します。
説明している内容については多岐にわたります。例えば、
・キノコの生態
・カブトムシの生態
・天気について 
などです。(上記のようなテーマにもパターンがあるのですが、それはまた今度)
ちょうど『科学のアルバム』というシリーズの本がありますが、あそこに書いてある文章はまさに説明文です。
私もそこからテスト問題を作成したことがあります。

このように説明文とは
(何かについて)説明(している)文(章)なので、その内容も単調なことが多いです。
身近なモノ(物や現象)について説明されていることが多いので、非常に読みやすいのが特徴です。
また、書いてある内容もわかりやすく、答えも見つけやすいのが特徴です。
この後説明する、論説(評論)文とは違い、筆者の主張もそれほど多くはありません(筆者の主張が完全にゼロなのは家電の取り扱い説明書ぐらいです)。
だから、こちらは読み方の基本(第1講の内容+今後説明していく内容)がわかっていればそれほど難しくないです。
問題は論説(評論)文です。

②論説文って何?


さて、問題というか、苦手としている人が多いであろう文章の論説(評論)文です。
そもそも論説文とはどんな文章なのでしょうか?
論説文とは、

論(=筆者の意見)+説(何かについての説明がされている)文(章)

の事をさします。
「あれ?説明文に似ている?」と思ったあなたは鋭いです。
基本的には説明文に筆者の意見(論)が色濃く追加されただけの文章です。評論文も基本的には同じです。
でも、苦戦している人人が多い。なぜか?
それは、「テーマが難しいことが多い」からです。

テーマが難しいとはどういうことなのでしょうか。
毎年見ている論説文でよく出るテーマは以下のようなものがあります。
・文化
・文明
・言語
・メディア
 他
全部出され方のパターンがありますが、内容が具体的な説明文とは違ってテーマの中心となるものが抽象的なものばかりです。
普段なんとなくわかってはいるけれど、興味も持てないし、使われている言葉も難解なものが多いので日本語で書いてあるのですが、読んでいてもよくわからないまま終わってしまうということが起こります。
さらに、筆者の主張もどこに書いてあるのかがよくわからない。
あと、堅苦しいからつまらない。
そんなことを繰り返していくうちに、論説文が苦手になっていくという流れが完成します。
しかし、論説文はパターンがある程度規則的なので、そのパターンがわかればそれほど難しくないのです。
ですが、そのパターンをきちんと説明していない講師の授業を聞き続けていても、論説文の読解は苦手なままです。
「じゃあどうすればいい?」という嘆きの声が聞こえてきそうです。

実は、説明文も論説文も同じ構造で書かれている文章です。
次はその構造についてお話しましょう。

③なんのために書いた文章なの?


さて、構造のお話をしていこうと思うのですが、ここで一つ疑問です。
それは「そもそも説明的文章ってなんのために書いているの?」です。
皆さんは考えたことありますか?
実は、説明的文章の構造を紐解くカギがここにあります。
説明的文章を書く理由ですが、それは第0講でもお話ししたように、「読者に伝えたいことがある」からです。

第0講はこちらから↓


では、その伝えたいこととは何か。
それは、「読者が勘違いしている/気づいていないこと」です。
図解するのであれば
現状=-→一般人にとっては+/気にしない

主張=+→一般人の勘違いを正す/考えてほしい(目的)

といった具合です。

例えば
現代社会は科学の力で物質的に豊かになった(一般的には+)
↓しかし
多くの問題が発生している(一般的には気づかれていない)
→みんなに知ってもらって改善する必要がある

というような流れです。
ちなみ、上記のような文明の発達による現代社会の弊害を「現代文明批判」と言っていますが、詳しくはまた後日。

こう見ていくと「説明的文章って実は単純じゃないか!」と思ってもらえると思います。
そうなんです。
難しい言葉をたくさん使っているから、難しく見えますが、大切なのは
読者(一般論)と主張の対比
です。
そこがわかれば、筆者の言いたいことも見えやすくなってくると思います。

さぁ説明的文章の構造が見えてきたところで、次回は意識してほしいことを説明していきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?