見出し画像

#99 つまるところ「越境学習とは何か?」

竹内義晴です。この番組は組織づくりやコミュニケーション、キャリアデザインなどの人材育成、複業やテレワーク、拠点ワークといったこれからの働き方について、ゆるゆるとお話をしていく番組です。この番組が面白かった、あるいは参考になったらフォロー、コメントなどいただけると嬉しいです。

今日もですね、岩手県気仙郡住田町からお届けしています。なぜ、岩手県に来ているのかといったら、ラーニングワーケーションと呼ばれる越境学習というプログラムの運営側として参加しているからです。

このプログラムは3泊4日の行程なんですけども、今日が最終日で、今日この後、陸前高田に移動して津波伝承館とかを見学した後に、ボクは新潟に帰る……というような、行程になっています。

今日お話は、つまるところ「越境学習とは何か?」

今日はですね、この越境学習が今日で終わるということもあって、総じて「越境学習とは何ぞや」とか、あと「それによって得られるものは何か」についてお話をしてみたいと思います。

「自分ごと化」した4日間

ボクはこの4日間、参加者というよりは運営側として関わってきました。

住田町には何度か訪れているんですけれども、来訪するにつれて、地域のみなさんと話したり、参加者のみなさんと話したりする中で、特に参加者のみなさんは毎回毎回違うので、それぞれの課題感――課題感とは、職場とか会社全体の課題感もそうでしょうし、あとは一人ひとりのとらえ方もそうですが――いろんな話を伺うにつれて、それらの課題を「自分ごと化」することが多いです。

特に、業種業界のことはあえて触れませんけれども、参加されたみなさんの、それぞれの職場の中で起こっている課題とか、それをどう改善していこうか? って思っている話とか、リアルな現場の話を聞くことによって、ボクが日常的に課題だと感じていることに対して、「いままで考えていたことって、その角度から見ると、まだまだ配慮が足りなかったな」とか、「まだまだ甘い部分があったな」といったことを感じることがすごく多かったです。

時間と場所を共有するから、得られるもの

あとは、3日間、今日で4日目ですけど、1日目を過ごしていたときって、当然なんですけど、参加されたみなさんはすごく緊張してたんですよね。「どんな4日間になるのかな」みたいなものもあるでしょうし、「初めて会う」みたいなこともあるでしょう。

けれども、昨日の夜は、懇親会を開いたり、おしゃべりしたりしたんですけど、「3日間でここまで仲良くなれますか?」っていう感じに、みなさん楽しそうに過ごされていて、やっぱり同じ時間を共にするっていうことも大事だなと思いましたよね。

いま、リモートで働くことができる方も、以前と比較すると増えてはいると思いますが、時間と場所の制約がない働き方の恩恵も、もちろんいいと思います。

一方で、会うからこそ、見るからこそ、話すからこそ、感じられる「何か」があるような気がします。

「分かりやすいもの」を求められがちなビジネスの世界で

仕事の成果を考えるときに、ボクらはとかく、測りやすいものや、分かりやすいものを求められることが多いと思うんですよね。

それは、数字的なものであったり、あるいはスキルみたいなものであったり、「これを学習すれば身につきます」みたいな。「こうすれば、ああなる」、あるいは「ああすれば、こうなる」みたいなことに普段頭を使うことが多いし、仕事とかビジネスっていうのはどっちかっていうと、そういう類のものだと思います。

一方で、実際に世の中で生活していると、必ずしも分かりやすいことばかりではなくて。その、分かりにくいことって言えば、たとえば、人間関係みたいなものもそうかもしれないし、あるいは、簡単に解決できないことを「どうやって解決していくか?」みたいな取り組みもそうかもしれませんけど、「そんなに簡単じゃないよね」っていうことってすごく多いと思うんですよね。

越境学習で得られるもの――工業社会から創造社会に変化しているいまの時代に

「いままでの社会」のような――いや、「いままで」というよりも、「少し前の」っていう言い方をした方がいいかな――たくさんモノを作って、消費をして豊かになる社会の時は、「スキルを身につける」とか、「数値を目標にする」みたいな、わかりやすいスキルや目標が大事だったと思います。

一方で、いまのようなさまざまな課題がある社会の中で――社会の課題っていうのは、会社の課題でもありますが――「こうすれば正解です」というものがない環境の中で、「どうやって、その課題と対峙し、解決していくか?」というのは、言ってみれば、そんな簡単じゃないわけですよね。

そんな、簡単じゃない会社・社会の中で、どうやって「物事を解決していくか?」って言ったら、さまざまな課題を乗り越えている人たちの話を聞いたり、その一端をちょっと経験してみたり、みんなで議論したり、そういうような営みの繰り返しで解決していくしかないんじゃないかな? とボクは思うんですよね。

そういう意味でいうと、越境学習っていうのは、スキルとか、「ああすれば、こうなる」っていうものではない何かを得るための学習のプロセスである、ということなのではないかと思います。

こういう言い方が正しいのかどうなるかわかりませんが、「地方で暮らす」とか「地域で暮らす」みたいな、その営みにあるものが何かというと、ある種の「覚悟」だと思うんですよ。その、覚悟っていうのは何かって言ったら(もちろん、引っ越すことだって簡単にできるし、そこに「住む」と決めているのは自分自身なのかもしれませんが)、そこで生活するというのは、なかなか移れない事情があったりする。

そういった、移れない事情がある中で、そこで営んでいくためには、ある種の覚悟をもって、さまざまな課題を解決していかなければならない。

いままでの、消費することで豊かになるみたいな社会、あるいは、人口がどんどん増えていく社会だったらそんな考えなくても良かったのかもしれません。でも、人口がどんどん減っていって、さまざまな課題がある中では、その、目の前の課題に対して対峙していく必要がある。そういった営みが行われているのが、ボクは地方とか、地域なんじゃないかなと思います。

加えて、特に岩手県の場合は、震災とどう対峙してきたかというところに、学びのプロセスがあるのではないかなと思います。

というわけで、今日はやや堅苦しい話になったかもしれませんが(笑)、とかく、分かりやすいものに対して「これを身につければOKだ」、あるいは、ある問題に対して「この課題を詰めば、解決します」といったことが求められがちだし、そういう言い方をしてしまうのが、ビジネスの世界だと思いますが、そういったものではなく、なかなか答えが見つからない課題をどう解決していくのか?

そのためには、目の前に起こっている事実と対峙して、それを解決していくしかない。その、解決していくプロセスとはどういったプロセスなのか……それを、疑似体験するのが越境学習だと思います。

この後は、それぞれの職場に戻って、自分の課題と対峙をしながら会社を良くしていったり、社会を良くしていったりするのが越境学習だと思うので、ボクも新潟に戻ったら、また目の前の現実と対峙したいと思います。覚悟を持ってですね。

じゃあ、今日の内容はこれで終わりにします。バイバイ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?