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#246 人の意識は変えられない。でも、意味付けなら変えられるかもしれない
竹内義晴の「これからの働き方」――この番組はこれからの働き方、組織作り、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点で、ゆるゆるとお話をしていく番組です。この番組が面白かった。あるいは、参考になったらフォロー・コメントなどしていただけると嬉しいです。
今日のお話
今日はですね。「人の意識を変えることはできないが。意味づけだったら変えることができるかもしれない」という話をしてみたいと思います。
実は数日前に、ある企業の人事の方からご連絡をいただいたんですよね。その内容を一言で言えば、若い世代とベテラン世代(50~60代)の方々に「意識のギャップがある」と。
もともと、ホームページからお問い合わせいただいた話の内容は、世代間ギャップに関する内容だったんですけど、よくよく話を聞いていくと「意識の話」だったんです。
社会が変化していく中で
いま、社会が変わろうとしています。そのなかで、ビジネスの形態も変えていく必要がある業界もあると思うんですよね。
たとえば、いままでだったら、みんなが普通に使っていたけれど、時代の遍歴や技術の変化とともに、使われなくなっていくものってあるじゃないですか。
いま、ふと浮かんだのがポケベルです。以前はみんな持っていたけれど、時代の変化の中で携帯電話に置き換わっていき、使われなくなりました。こういったものって、あるじゃないですか?
その場合、社会の変化に合わせて仕事の内容を変えていく必要があると思います。
このような、仕事や業態を変えていくことに対して、先の、ある企業の人事の方によれば、若い世代の方は比較的やる気もあるし、「変えていこう」という意識もあるんだけど、ベテラン世代の人たちが「なんで、そんなことやらなくちゃいけないんだ」といった形になりがちなのだそうです。
なので、本当は、ベテラン世代の人たちも、改善意欲を持って取り組んでくれたらいいな……と。
というわけで、組織の中では、若い世代とベテラン世代の間に、このような「意識の差」があるので、そのような講演をしてほしい、というお話だったんです。
意識を変えるのは、無理
この話を最初伺った時に、最初に思ったのは「いやー、困ったな」と。なぜならば……
僕が普段、組織作りやコミュニケーションギャップ、世代間ギャップについてお話ししているのは、「コミュニケーションギャップがあるのは、そもそも対話が足りていないからだ」と。
「最近の若い世代はこうだ」とか、「最近のおじさんたちはこうだ」とか、このような形で、つい、世代をまるっとくくって捉えてしまう。その結果、「自分たちとは行動とか、考え方が違う」「何を考えているのか、よくわからない」みたいになりがちです。
一方で「そもそも対話をしていない」「話をしていない」という状況があるから、「まずは、話をしよう」と。「対話をしよう」と。世代間ギャップは「わからない」んじゃなくて、単に「話していないだけ」という、そんなお話をしながら「じゃあ、実際にどうやって話を聞いていけばいいのか?」……講演では、このような話をさせていただくんですよね。
つまり、「コミュニケーションの話」だったらできるんですよ。
だけど、今回のような、ベテラン世代の「意識の変革の話」は、できないな……って思ったんですよ。
もしも、社員の方々の意識の変革をするには、経営層の方々が「今後、〇〇になっていくであろうから、□□のように行動を変えていく必要があるよね」みたいなことを言い続けるしかないかも……なんて、その場でお伝えはしたんです。
「言いづらいことを講演者に言わせる」のはアリだけど
話はずれますが、この番組の243回目で「「自分たちでは言いづらいことを、講演者に言わせる」のもアリ」というお話をしました。
これ、「アリ」だと思うんですよ。自分たちで言っても、なかなか受け取ってもらえないこと。それを第三者から言ってもらう、言わせることで「そうか」と。「いま、社会はこうなっているのか」と。「だったら、自分たちも変わっていかないといけないかもしれないな」みたいな。
第三者が伝えることで、インパクトというか、衝撃みたいなものを、ひょっとしたら与えられるかもしれません。
でも、人の意識を変えるっていうのは、そんなに簡単なことじゃないと僕は思うんです。なので「意識を変えることは、正直、僕にはできない」と。
できることがあるとしたら、「いま、社会の状況がこういう風になってるから。変わっていく必要があるかもしれないですよ」みたいなことは、言えるかもしれない。でも、だからといって、「これから、やべぇぞ」と。「そんな状況だと、食っていけねぇぞ」と。「生きていけないぞ」と……みたいに煽り立てるのは好きじゃない。
だから、ベテラン世代の意識を変えるような話は「できないな」って思ったんです。
意識を変えることはできない。でも、意味づけなら変えられるかもしれない
一方で、人事の方からベテラン世代の方々の話を聞いた時に、「仕事にはすごく一生懸命だ」と。「いままで培ってきた技術を、次の世代に伝えていきたいという意欲は持っている」と。「だけど、若い世代との間のコミュニケーションがないから、なかなか伝えられない」と。
このお話を伺って、「それだったら、話せるかもしれない」って思ったんですよね。
つまり、「意識を変える」のではなく、「意味付けを変える」のです。
つまりどういうことかというと……
「みなさんが持っている技術を、次の世代にいま、伝えることができないと、今後おそらく、会社は困ったことになります。なので、ぜひみなさんの技術を、次の世代に伝えてほしい。そのためには、まず、若い世代とのコミュニケーションギャップを縮めることが必要だから……」
っていう。
ベテラン世代の方々が、若い世代の方々とコミュニケーションをとる目的や意味。そういったことだったら、多分、伝えることができる。そんな話をしようと思いました。結果がどう出るかは分かりませんが。
でも、この番組で再三言ってきているように、今後、人口減少社会になっていく中では、若い世代だ、ベテラン世代だと言っている場合ではないんですよね。しかも、何もしないままベテラン世代が退職していくと、技術の継承がされないまま辞めていくという状況が、今後起こり得ます。
そうなると、技術的な部分でも、あるいは、仕事に対する意識的な部分でも、変えていいものと変えちゃいけないものって、あるじゃないですか?
その、「変えてはいけないもの」を伝えていく必要は、あると思っているので、そういったものがちゃんと継承されるように伝えられたらいいな。
というわけで、今日は「意識を変えることはできないけども、意味付けだったら変えることができるかもしれない」というお話をしてみました。今日の話はこれで終わります。じゃあね、バイバ~イ!
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