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行けなくなった旅のかわりに「旅の本」を紹介する

みなさん、こんにちは。烽火書房の嶋田と言います。4月30日に、初の書籍『Go to Togo』を刊行するひとり出版社です。
この本は、トーゴという国を旅したことから、人生が動き出した青年の物語です。著者の中須俊治くんと、「この本を読んで、トーゴに来てくれる人が増えたらいいな」とか話していましたが、まあ、いまのコロナの影響があって旅なんてとんでもないという状況になってしまいました。


著者の中須くんも7月にはまたトーゴに行く予定でしたがそれもなくなりました。同じように旅ができなくなった人も多いんじゃ無いかなあと思います。だからせめて、行けなくなった旅のかわりに「旅の本」を紹介したいと思います。旅そのものも楽しいですが、旅の本にもいろんなタイプのものがあって、結構読むと楽しいんです。これが。

<観光ガイドブックを超えた観光ガイドブック / 川島小鳥『愛の台南』講談社>

台南は台湾の南にある都市。大都会の台北とはまた違って、風情あるエリアです。著者の川島小鳥さんは写真家さんですね。「かわいくて詳しい台南ガイドブック」とありますが、この本、普通のガイドブックじゃありません。ガイドブックといいながら「読みやすく行きやすい」観光本ではなく、とにかく雑多なものがまとめられています。
ポートレート写真や旅のエッセイやカルチャーのコラムなどなど……。こういったものと織り交ぜられながら、美味しいお店やご飯などが代わる代わる紹介されていきます。青一色とか赤一色で印刷されたページも登場して「とにかく美しい写真とレイアウト」からは逸脱しまくりです。AMAZONのレビューを見ると、「ご飯が致命的に美味しくなさそうな写り方」とか「とにかく探しづらい」という声も結構見かけます。確かにネットで調べる観光情報とかきっちり整理されたガイドブックと比べると、読みづらすぎるんですけど、「台南行ってみたい」と思わされて実際台南に僕が行ったのは、そもそもこの本を読んだからだったりします。
カバーの裏面が地図になっていて、僕はこの地図に色々書き込みながら、台南を歩きました。

<行き先を選ぶための図鑑 / 加藤庸二『原色日本島図鑑』新星出版社>

一時期、僕は「離島」に興味がありました。大学生のときサークルの合宿が離島だったからかもしれません。たまに離島に行きたくなります。けど、離島を探そうとするといわゆるバカンスな南の島ばかりが目に入ります。当然そういうところも好きですけれどね。
でもそうじゃない小さな親しみの湧く離島に行ってみたいと思って、この本を買いました。この本は、日本にある離島を網羅的に紹介している図鑑です。離島と行っても観光離島ばかりじゃなくて、数人が住んでいるだけの離島もあれば無人島も紹介されています。
どういう歴史があって、文化が育まれてきたかが書かれていて、最後にリストとして民宿の数(あるのかないのか)や人口などが掲載されています。一つ一つ島を見て行って、「タコが美味しいのかここは、いいな行ってみたい……けど民宿ないのか」とか吟味しながらトラベルプランを考える時間がとても楽しい一冊です。

<その土地のことを網羅的に知ることができる本 / 『高野山を知る一○八のキーワード』講談社>

Insight Guideという講談社のシリーズで「直島」とか「長崎」もあります。このシリーズの特徴はとにかく網羅的に情報が載っていること。とはいえそれはお店情報とかご飯の情報ではなく、その土地そのものの情報だったりします。
この「高野山」では、まず70ページほどにわたって「真言密教」のことが語られていきます。「真言」とは何か、「曼荼羅」とか何か。次にようやく「高野山」の章に入ったかと思えば、そのあとには「空海の足跡」「山のくらし」と続いていきます。僧の一日を知れたり、精進料理や数珠のことにも詳しくなれます。
高野山にも行った記憶はありますが、この本をまだ知らない子どもの頃だったので、きっとこの本を読んだ人のほうが高野山に詳しいに違いありません。実際に旅して感じることと、背景や文化といった知識を得ること、このふたつが組み合わさったときその旅は完成するのかもしれません。

<お土産としてのガイドブック / 『KATHMANDU』lonely planet>

カトマンズ、ネパールの首都です。昨年ネパールに遊びに行って、そのときあまり参考になる面白いガイドブックがなかったのでとくに何も持たずに旅に出ました。しかし、旅の本の面白さは「行く前」だけのものではありません。帰ってきてからも楽しめるのが「旅の本」です。
しかも海外とかだと、そもそも日本にあまりガイドブックがなかったりもします。「地球の歩き方」とかマジで便利な本はそれはそれであったりしますが、それ以外だとなかなかありません。でも現地だと、一冊や二冊は見つかるものです。
この本はカトマンズの文化や人々のことを写真とともに紹介してくれている本で、書かれている内容は先ほどの「高野山」の簡単版と思えば良いかもしれません。ただ英語で書かれています。出版されたのはネパールではなく、英語圏の国からのようです。内容は正座して辞書を開かないと僕にはわかりません。ただ写真も豊富で、知らなかったことや見たことあるものが登場するので、見ているだけで楽しいです。
自分へのお土産に、ガイドブックを現地で買って持って帰る、というのもとても嬉しい「旅の本」の楽しみ方かもしれません。

<旅の理由はなんですか? / 『全国旅をしてでも行きたい街の本屋さん』GB>

最後に紹介するこの本は「旅をしてでも行きたい」本屋さんが掲載された書店図鑑。皆さんの旅の理由はなんでしょうか。「観光名所に行く」「美味しい食べ物を食べる」「スポーツとか遊園地で遊ぶ」とかこのあたりが一番多い理由だと思います。
けれど、まだまだ旅をする理由はありますよね。「現地の知り合いを尋ねる」とか「写真を撮りに行く」とか。建築が趣味の人は「誰々の建てたあの建物を見に行く」とかが旅の理由になったりするようです。
僕は美味しい食べ物が主な旅の楽しみだったんですが、ここ数年は、この本を読んで行きたい本屋さんに目星をつけていたりします。「旅の理由」は色々あると気づかせてくれた一冊です。余談ですが僕はお土産Tシャツを集めるのが趣味なので、Tシャツ探しも旅の楽しみだったりします。

行けなかった旅行の代わりに

ここまでいくつかの本を紹介してきました。いまは、外出はほとんどできませんが、オンラインでやっている本屋さんもそれなりにありますし、ぜひ行きたかった場所や、かつて行ったことがある場所の本をぜひ買ってみて、楽しんでもらえたらなと思っています。
一生に一度はアフリカに行ってみたいなという人はぜひ、僕が頑張ってつくった新刊『Go to Togo』も手にとってもらえたら嬉しいです。

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