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#18 空白を満たしなさい|平野 啓一郎

平野啓一郎は、『マチネの終わりに』や『ある男』で、文章の美しさに魅せられてファンになりました。
他の小説は未読でしたが、メルマガで本書の映像化を知り、ゆっくり急いで読みました。

3年前の身に覚えのない死から復活を遂げた主人公が、家族や同僚などとの関わりから、真実を追い求める過程で自分をみつめなおす物語です。
東日本大震災直後に発表された作品ですが、様々な「あたりまえ」の「脆さ」を突きつけられるできごとが続くいま、この作品の価値が高まっているのかもしれません。

平野氏は『私とは何か』で「分人」思考を提出しています。個人の中にはいくつもの「分人」がいて、相対する人に応じて、使い分けているのだといいます。
この考え方が物語中に登場し、また読み返したくなりました。
少しだけ楽に生きるヒントが隠れているのかもしれません。

ドラマは阿部サダヲに期待しましょう。


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