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#81 何もしない|ジェニー・オデル

やる気のなさそうな装丁(失礼)が目を引きます。
おかげでヘッダーが書影にみえません。

資本主義に基づく注意経済への抵抗として「何もしない」をいかにするかについての本です。
生産性という近代的概念が、実際には生態系の自然な生産力の破壊の枠組みになっていると指摘したうえで、非商業的な活動や思考、ケアのためにもっと時間を使おうといいます。

「慣れ親しんだ世界とは異なる規模と速度で知覚することを促す芸術作品は、異なる領域内で注意を自在に操る方法を教えてくれる」と、「何もしない」処方箋のひとつとして、芸術にふれることを挙げています。

注意散漫になりがちな日常生活のなかで、自分とは関わりが薄そうなことに注意を向けてみる。偶然の出会いから新しいアイデアが生まれ、それが現状の突破口になったりする。でもゆとりがないと注意の切り替え自体が難しい。
そんなことを考えました。

「注意経済に抵抗するためのゆとり」を本書では〈余白〉と表現しています。
装丁に込められた思いを理解しました。大変失礼しました。


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