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#34 他者と生きる リスク・病・死をめぐる人類学|磯野 真穂

文化人類学・医療人類学が専門の磯野真穂さんの近著です。
著者は医療現場でのフィールドワークを多くされており、
本書では抗凝固薬が処方される診察室でのやりとりが紹介されます。

飲むメリットが大きいこと。
飲まないデメリットが大きいこと。
飲むメリットが飲むデメリットを上回ること。

この3つの手触りのない実感が患者の中でうまれないと継続的な服用は難しく、
その実感を生み出すにはレトリック〈もっとも切実な物事をもっとも正確に表現するための修辞法〉が効果的だといいます。

リスクの捉え方はひとそれぞれの物語の中で解釈されます。
一様な説明では十分でないことが多く、いかに自分ごととして捉えてもらえるように説明するかが、医者の腕の見せどころだよな〜と改めて感じました。

読み応えのある新書でおすすめです。

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