#9 嫌われた監督｜鈴木 忠平
当時のチームの担当記者が、様々な選手やスタッフの視点も交え、落合監督の内側に迫るドキュメンタリーです。ジャンパーの背面いっぱいにあしらわれたドラゴンが、テレビの前の私には非常に印象的でしたが、周囲との隔絶のメタファーだったのではないかと妙に納得しました。輝かしい成績は、あらゆる意思決定において勝利至上主義が貫かれた結果でしたが、「嫌われる」ことは、監督にとって些細な代償にすぎなかったのかもしれません。洗練された文章と構成が臨場感を醸し出し、ページをめくる手が止まらなくなる長編でした。少なくとも野球ファンは必読の一冊です。
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