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医学生のための読書案内

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記事一覧

#85 腹痛の「なぜ?」がわかる本|腹痛を「考える」会

まず、著者名をみて、「なぜ?」となります。 つぎに、版元をみて、間違いないとなります。 そして、読んでみて、これまでの診療を反省します。 痛みを内臓痛、体性痛、関連痛に分けてとらえ、 病態を考えてアプローチしようというのが本書のコンセプトです。 やっぱり解剖生理がだいじですね。 さいごに、胆石発作の9割は持続痛です。よろしくお願いします。

#72 ビジネスエリートになるための教養としての投資|奥野 一成

お金の勉強を始めた初期に読んだ本です。 投資に対するスタンスを考える上で非常にためになりました。 ただ著者が投資信託会社社長で、扱っているのがアクティブファンドなので、そこは差し引いて読む必要がありそうです。 iDeCo(またはDC)やNISAをこれから始めようと考えている人や、既に始めているけどなんとなく運用している人などにおすすめです。

#71 金持ち父さん 貧乏父さん|ロバート・キヨサキ

世界的ベストセラーです。 お金の稼ぎ方だけでなく、働くことへのマインドセットについて触れられているのがその所以でしょうか。 キーワードは恐怖と欲望。 恐怖と欲望が、作られた幻想にすぎないお金を実体のある本物と信じこませ、労働意欲を駆り立てる。だから恐怖と欲望をコントロールできなければ、いくら稼いでもお金の奴隷のままである。それに抗うためには「学び」が必要だ。 自分自身がお金に囚われているという前提を認識できた点で価値ある一冊でした。

#70 みんなが欲しかった! FPの教科書3級|滝澤 ななみ

お金の勉強にFP受験がおすすめです。 と前回の著者、両学長が言っていたので3級を取得しました。 本書(毎年5月改定)を読んで過去問をやっておけば難しくありません。 試験は年3回開催されるので気が向いたときに勉強を初めて受験できます。 受験しなくてもお金の勉強の入門として一読の価値ありだと思います。

#69 お金の大学|両@リベ大学長

今回からお金シリーズです。 社会人になって数年してからお金の勉強を始めましたが、もっと早く知っておけばと思うことも少なくありませんでした。 学校でも家庭でもお金について勉強する機会が乏しかったのが残念なところです。 本書は125万部も売れてしまっている「お金の教科書決定版」です。 私はYoutubeから入りましたが、書籍を読んで必要な箇所をYoutubeで補うのがよいかもしれません。 とりあえずワンルームマンション投資だけはやめましょう。

#56 Shrink〜精神科医ヨワイ〜|月子

精神科つながりで今回は精神科医が題材の漫画です。 コロナパンデミックでメンタルヘルスに不調を抱えた方も増えるなか、プライマリ・ケアにおけるメンタルヘルスケアもますます重要なテーマです。 おもしろいし普通に勉強になってしまいます。 個人的には5巻のパーソナリティ障害の話がよかったです。 全国自治体図書館関係者のみなさ〜ん、購入ご検討ください。 *** 過去の漫画回をはっておきます。

#55 偽者論|尾久 守侑

前々回、前回の流れで今回は尾久先生。 精神科医でありながら詩人でもあり、若くして医書も詩集も出されています。 これまたとんでもない。 「表面上はうまくやっているけど、『自分は本物ではなく、偽物である』という虚無感を拭うことのできない、現代のパーソナリティを持つ人々のこと」を偽物クラスタと名付けて、その特徴について論じられています。 あー私まさにこれではという読後感でした。 これまでにない物語調の医書で新鮮な読書体験となりました。 なにせ文章が面白い。 他の著作も読まねばな

#52 リエゾン|ヨンチャン

久しぶりの漫画です。 主人公は児童精神科医。 1巻の巻末の参考文献リストの数をみて感動しました。 誠実に取材をされているのでしょう。 リアリティが高くて普通に勉強になってしまいます。 全国の学校図書館に所蔵されるべき作品ではないでしょうか。

#40 フラジャイル|恵 三朗・草水 敏

今回は初の漫画回。 病理医を題材にした、ストーリー・絵ともに素晴らしい作品です。 最新の22巻で、専門医試験での中熊教授の挨拶にえらく感動してしまいました。 もうこれで完結したような読後感でしたが、まだ続くようで今後も楽しみです。 公立図書館にも所蔵されるべき作品だと思います。よろしくお願いします。

#25 医師・医学生のための人類学・社会学|飯田 淳子・錦織 宏

前回、前々回は人類学、社会学関連の本を紹介しました。 今回は、私が人類学、社会学という学問の存在を知るきっかけとなった本です。 一筋縄ではいかない事例を、医師・文化人類学者・社会学者がそれぞれの視点から検討していく形式になっています。 実際の臨床現場で遭遇する悩ましい事例が多く取り上げられており、非常に勉強になりました。 最新の医学教育モデルコアカリキュラムでは「医療に関連のある社会科学領域」の項目が新たに盛り込まれ、いまの医学生は医療人類学・医療社会学も勉強することにな

#24 はみだしの人類学|松村 圭一郎

著者の松村先生の存在は『働くことの人類学』というPodcast番組で知りました。 本書は人類学の入門書です。 薄くて読みやすく、人類学って何? という方の最初の一冊としておすすめです。 「つながり」と「はみだし」によって「わたし」がつくられる。 人類学は、他者を理解し、そして自己を理解するための手かがりを与えてくれる学問なのではないかと思います。 COTEN RADIOでも人類学について取り上げられていました。 対人援助職の必修科目だと感じるのは私だけでしょうか。

#23 シャガクに訊け!|大石 大

今回は小説。 大学の学生相談室を舞台に、社会学部(シャガク)の教員と補佐の学生が、社会学の知識を使って様々な相談に応えながら展開される物語です。 目次を貼ります。 1限目 ラベリング理論 2限目 文化人類学 3限目 認知的不協和の理論 4限目 スケープゴート 5限目 準拠集団 6限目 服従 7限目 自己成就的予言 補講 ステレオタイプ ストーリー自体もおもしろく読めますが、社会学の入門書としても読めます。 大学の生協とかで勢いよく売れてほしい一冊。 おすすめ

#21 サクッとわかるビジネス教養 地政学|奥山 真司

COTEN RADIOのウクライナ回で、「地政学」という分野を初めて知りました。 まずは入門書をと思い手にとったのがこちら。 イラストが豊富で、「歴史弱者」の私にもかなりとっつきやすい内容でした。 最近は意識的に触れないようにしていますが、ニュースに対する解像度も少し上がったような気がします。 地政学ってなにそれおいしいの? という方におすすめの一冊です。

#14 ポストコロナ期を生きるきみたちへ|内田 樹

コロナによって世界は大きく変わりました。いや、コロナ前から確実にあった変化が、より深刻さをまして露呈しました。 本書は、ポストコロナ期を生きる若者に向けた、アラサーからオーバー70まで総勢20名の識者らによる若者へのメッセージ集です。 想定読者は中高生とのことですが、大学生・社会人にとっても学ぶ点は多いです。ここから気になる識者の著作を追っていく読書案内としても活用できます。 「コンテンツ化する大学」における学びとは何かを論じた増田聡さんのパートより一節引用しておきます。