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ぴりっと冷静で、人に熱い気持ちを注ぐ経営者マインドに泣けた。 2013年7月5日

 ビジネス書の

 あとがきで泣いたのは

 これが初めてです・・・

 最近、いつも以上に
 涙が出やすくなっているのは
 自分でも認めます。多分、歳なんです。

 でも、「たかが」ビジネス書で
 それも本文の途中で、散々泣き散らしながら
 最後の最後の「あとがき」と「謝辞」
 に涙腺決壊って、我ながら、どうなんでしょうか…。

 必要以上な涙もろさに呆れかえりますが
 それでも、やっぱり熱い気持ちになる良書です。

 株式会社DeNAのファウンダー
 南場智子さんの顔をテレビ越しに見たとき
 「あ」と思いました。

 この人には虚勢がない。

 曲がりなりにも
 地方都市の中小企業の経営者を数多く見てきて
 男女関係なく、人の顔には
 「虚勢がある人」と「ない人」の
 2種類があることを学びました。

 その経験と直感で
 彼女の顔を見たとき
 「あ」と思ったのです。

 全国放送のドキュメンタリーで
 今をときめく成長企業のトップの仕事ぶりを紹介する番組で
 なんとも気負いなく、物腰柔らか。

 でも、多分、この人
 相当の苦労人
 と見たのです。

 そういう人にピンと来るのは
 私がそういう人が好きだからにほかならないのですが。

 女性経営者って
 有名無名にかかかわらず
 ちょっと肩に力が入っていて
 良い意味でも悪い意味でも虚勢を張るタイプが多いと感じていたので
 (おそらく、私の偏見ですが)

 南場さんをテレビで見たとき
 えらく肩の力が抜けきった人だなぁと
 印象的でした。


 そして、数年が経ち
 突然の社長退任。理由か家族の看護のためとは
 これまた、随分、経営者としては勇気ある決断だなぁ
 と傍から思ったものです。

 そんな、気になる女性経営者ナンバーワンだった
 南場さんの著書が出ると知り、すぐに購入したのが
 「不格好経営 チームDeNAの挑戦」
 です。

 帯には、「たおやか」という言葉がぴったりの
 南場さんの笑顔の写真。

 私もこういう顔の人になりたい、と憧れます。

 今では球団を持つ大企業に成長したDeNAですが、
 創業から現在に至るまで
 傍から見ればドラマチックで面白いけど

 当事者にとっては
 とんでもない苦境の連続という過程と
 それに立ち向かうチームDeNAの七転八倒ぶりが
 淡々と綴られています。

 私が涙したのは、人に関する記述の部分が多かったです。

 「何かやらかした人たちに対する対応は、
  その会社の品性が如実に表れると感じる」

 この一文、「会社」を「人」に置き換えられます。

 この一文の後、公正取引委員会の立ち入りを受け
 苦境に立つ南場さんを、「ちょっと一杯」と誘い
 「こんなことで勢いを止めるな」と力強く励ます
 大手ゲーム会社の社長とのエピソードにうるうる。

 南場さんの退任後、会長になった創業メンバー
 春田氏に対し、

「アホな私」を支えてくれた二人羽織の相棒と評し

「(経営に関する)ちょっとした鬱憤も春田の部屋に飛び込んでぶちまけ、
 (中略)
  いろんな気持ちの機微を安心して全部開けっぴろげにできる相手が
  いたおかげで精神の安寧を維持できたと思っている」

 のくだりで、
 「そう! そういう、仕事のことが全部話せる
  異性のパートナーの存在って絶対大事!」
 と、またしてもうるるる。

 ちょっと私自身が感情移入し過ぎですね。
 失礼しました。

 でも、一番泣けるのは
 次のような南場さん、そして彼女が育てた人材による
 仕事に対する心持ちです。

 ・成長はあくまで結果である。
  給料をとりながらプロとして職場についた以上、
  自分の成長に意識を集中するのではなく、
  仕事と向き合ってほしい。それが社会人の責任だ。

 ・DeNAでは、「誰が言ったかではなく何を言ったか」
  という表現を用いて
  「人」ではなく「コト」に意識を集中するように
  声を掛け合っている。

 ・“選択”に正しいも誤りもなく、
  選択を正しかったものにする行動があるかどうかだけだ 
  と信じています。

 ・私たちチームDeNAは評論家でもなく行政官でも政治家でもなく、
  事業家集団だ。
  なぜ、なぜ、と議論するのは他者に任せ、
  ピカピカの成功事例を自らの手でつくることに邁進する。

 好きだなぁ、こういう仕事に対する姿勢。

 本書を読みながら
 何人か、今すぐこの本を手渡したいと思った
 経営者や経営者予備軍の友人の顔が目に浮かびました。

 南場さんの
 ぴりっと冷静で
 人に熱い気持ちを注ぐ経営者マインドは
 とても柔軟で自由だと感じました。

 そこに虚勢はみじんもない。

 彼女のようなリーダーのもとへ
 そのマインドに反応する優秀で、かつ多様な人たちが集まり
 本当の意味で自由で闊達で健やかな
 企業やチームが、できていくのでしょうね。

 む~、南場さん
 とっても魅力的です。

南場 智子 著「不格好経営―チームDeNAの挑戦」

VOL.1985 2013年7月5日配信 メールマガジン あとがきより)




 
 





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