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「一人」か、「1人」か、「ひとり」か。今でも悩ましい

他のライターさんが書いた記事をチェックしているときだけでなく、自分が記事を書くときでも未だに悩ましい表記があります。

それが数字です。

オウンドメディアなどではメディアごとの表記ルールに合わせますが、ルールに含まれていないときはどう表記すればよいのか悩みます。

印刷媒体の時は、新聞協会用語懇談会の推奨ルールに従います。つまり、共同通信社の『記者ハンドブック』や時事通信社の『用字用語ブック』で確認します。

ということで、悩ましい例を見てみましょう。

まず「人前」か「人前」か。

「お前もようやく一人前のジャーナリストだな」などと、「いっぱしの者」になったことを示す場合は慣用表現として「一人」を使います。

しかし、「ラーメン1人前を届ける」などのように、他の数字に置き換えて数えることができる単位の直前に置く場合は、洋数字の「1」でも良いでしょう。すなわち「ラーメン2人前、と3人前」のように数字を変えられる場合ですね。

この法則に従えば、同じ「1人」でも以下の様に使い分けることができます。

――
あそこのテーブルで、1人でコーヒーを飲んでいる彼は、あのオーケストラのメンバーの一人だ。
――

前者は数を変えることができるので「1人」ですが、後者は慣用表現なので「一人」となります。

一方、慣用表現は間違えにくいようです。
たとえば「一昨年」を「1昨年」と書く人はあまりいませんし、「二人三脚」を「2人3脚」と書く人もほぼいないでしょう。こちらは楽ですね。

ただ、ある校閲者が指摘していて「なるほど!」と思ったのは、洋数字であれば正確なデータ値に思えるが、漢数字だとおおよその値に思えてしまうので、注意が必要だと言うのです。

たとえば、「その人気店には100人が訪れた」であれば、きっと「100人きっちり」来店したんだという印象を受けますが、「その人気店には百人が訪れたと書かれると、「おおよそ100人来たんだな」と受け取られやすいと言うことです。

したがって、数値を表すときには、正確なデータであれば洋数字で表すのが良さそうですね。

あとは、原則は他の数字に置き換えられるか置き換えられないか。あるいは慣用表現かどうかで、決まってきそうです。

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