見出し画像

Winnie the Pooh (くまのプーさん)

fTitle: Winnie-the-Pooh
Author: A. A. Milne
Illustrator: Ernest H. Shepard

このnoteは、Gutenberug eBookが公開しているテキストと絵を、同プロジェクトの使用条件に即して使用し、note筆者が仮訳を加えたものを使用しています。このnoteの複製、転載はしないでください。商業的目的でない朗読等の他引用等はnote筆者に連絡をお願いします。


Winnie-the-Poohとは、


Winnie-the-Poohは、Alan Alexander Milne(1882/1/18-1956/1/31)による童話。Milneは舞台脚本家であったが、Winnie-the-Poohの作者としての方が名が通っている。

A.A.Milneは、幼少期から言葉の学習に優れて詩を書いていたと言われる。初めて通った学校は、教師で校長を務めていた父のいた学校だった。Milneは物覚えが早く頭の回転が良いため、大人になったときにはつまらない愚鈍な人間になるのではないかと母が心配してたという。両親は、時間割をつくってあまり多くの授業に出ないようにし、空いた時間はできるだけ遊ばせるようにしたが、Milneは授業に出られるようにした方が喜んだという。この学校には、教師としてまだ若いH・G・ウェルズがいた。後に、『タイムマシン』や『世界戦争』などのSF作品を作者であり、Milneとは終生の友、助言者となる。

数学の才も認められ、ケンブリッジ大トリニティ・カレッジに進学し数学を先行する。しかし、在学中は、学生機関紙「Granta」に熱中して、編集者として活躍し、卒業後はロンドンでフリーのジャーナリストとなった。1913年に結婚。1915年から4年間はフランスに従軍し、戦禍で強い衝撃を受けたとされる。1920年にChristopher Robinが誕生する。ぬいぐるみのテディベア、コブタ、イーヨーなどが子供部屋に登場する。


クリストファー・ロビンのおもちゃたち(ルーは紛失)ニューヨーク公共図書館所蔵

テディーベアのぬいぐるみは、クリストファー・ロビンの一歳の誕生日に彼のもとに来ている。ハロッズのおもちゃ売り場で買われたぬいぐるみは、手足が長く、おなかからうなり声がするタイプだった(J.K ファーネル社製のアルファ・テディ・ベア)。このぬいぐるみはクリストファー・ロビンのお気に入りとなり、ときどき洗濯屋に出され、耳や足を縫い付けてもらい、取れた目を付け替えられた。イーヨーは、1021年のクリスマスのプレゼントのロバのぬいぐるみだった。その後、ハロッズのおもちゃ売り場で購入された、カンガとルー、トラー(ティガー)が加わることとなる。フクロウとウサギは、物語には登場するが、ぬいぐるみとしてはなかった。

出版者となったChristopher Robin Milneが子どもであり、Winnie-the-Poohに登場するクリストファー・ロビンの元となっている。ロンドン動物園に言った時に、Winnipegと呼ばれるクマにとても惹かれたことが、この話を書くきっかけになったとされる。

MilneとChristoper Robin

ちなみに、Winnipegとは、Winnieと呼ばれたメスのクマ。第一次世界大戦中の1914年、カナダ人の獣医将校であったColbourn(コルボーン)がカナダOntario州のWhite Riverで、駅に居た男から母親を失ったクマを買い取ったもので、Colbournは、郷土であったWinnipegという名前を付けた。彼は従軍中にWinnipegを大事に育てて、軍の中で人気者となっていた。彼が、ロンドンに赴任となったときもWinnipegとともに海を渡った。彼が、フランスへ赴任となったときに、彼はWinnipegをロンドン動物園に寄贈した。Christopher RobinはこのWinnipegが大好きで1924年以降、何度も動物園に通ったという。

ColbournとWinnipeg

Winnie-the-Poohは、Christopher Robinが5歳半の時の寝物語のひとつであり、J.H.Dowdにより挿絵で1925年12月24日づけの”The Evening News”市に掲載され、翌日ラジオで放送されている。これが第一話となっている。1926年に他の話とともに単行本として出版されている。

『Winnie-the-Pooh(クマのプーさん)』と『The House at Pooh Corner(プー横丁にたった家)』に合わせて20編の物語が入っている。

この本が捧げられている相手は、Her(To Her)であり、文意としてはChristopher Robinの母であることが読み取れるが、父と、母とChristopher Robinの距離感があらわれているようにみえる。当時、子どもは母と乳母に育てられており、子どもと父親の間には距離があったが、このWinnie-the-Poohは、親と子どもとぬいぐるみの世界となっていて、母親はでてこない。

話の舞台となる森は、ロンドンの南東約50キロににある、East SussexのAshdownの森である。その中で、百エーカーの森が登場するが、百エーカーは4.36平方キロなので、ほぼ2キロ四方の広さとなる。石井桃子氏は、百町森と訳しているが、百町はほぼ1平方キロなので1キロ四方の広さとなる。

シェパード氏の手助けを得て自分で描いたと書かれた「くまのプーさん」の舞台


1925年に、Milneは、Ashdown近くのCotchford Farmの森の北方1.5キロ程度のところに別荘を買っており、Christopher Robinを森によく連れて行っている。挿絵はいろいろな人が描いているが、もっともよく知られている、E.H.Shepardのものは、この森の景観に触発されたものである。Shepardは、マツの木や、森中の他のシーンのスケッチのためにアルバータ美術館を訪れている。

文章は、頭韻、脚韻、視覚韻、音韻がリズムを作り遊び心がたっぷりの文体となっている。ときに間違ったスペルも混じるなど、子どもの話であることと、音的、視覚的リズムや感性を加えている。

絵本として出来上がるまで


『クマのプーさん』は、初めから絵本として作成されたものではない。スタートは、1923年1月に『ヴァニティ・フェア』誌の紙面にクリストファー・ロビンが登場する『おやすみのおいのり』という風刺的な詩であった。子供の目からみた、退屈な礼拝の思い出などがつづられており、それは、ミルン自身の経験に根差すものであった。これらは1924年11月6日に出版された『クリストファー・ロビンのうた』に再掲されている。このうたは、小田島雄志、小田島若子の訳本では44編が収められている。

『クマのプーさん』シリーズから見るんだ選んだ数編押しは、大人向けの新聞在位、子供向けの作品集や選集に掲載されている。『パンチ』誌に掲載された詩にシェパードがつけた挿絵を見たとき、ミルンは、今後の自分の作品の挿絵は彼しかいないと思ったという。『パンチ』や『ロイヤルマガジン』の読者層は幅広く、「メシュエン社」が『クマのプーさん』を刊行するころには、ミルンの歌や物語はすでに広く知られていたという。

1923年、児童作家ローズ・ファイルマンがミルンに児童雑誌『メリー・ゴー・ラウンド』に寄港することを依頼する。挿絵をシェパードがつけている。

『やまねことおいしゃさん』メリーゴーラウンド誌に掲載されたもの


ミルンは、「パンチ」誌に作品を掲載することを提案するが、当時の編集長は大人向きの「パンチ」には合わないのではないかと乗り気ではなかった。未発表の誌を掲載したところ、どれも好評をはくした。「テディベア」という歌であったがこれがのちに「クマのプー」として知られることとなる。

『クリストファー・ロビンの詩』の8編は児童向け月刊誌『セント・ニコラス』に掲載された。複数のイラストレーターが挿絵を担当したため、首尾一貫したイメージとはならなかったという。

「パンチ」誌に掲載されたテディ・ベア

『イヴイング・ニュース』1925年クリスマス版に、「A.A.ミルンから子供たちへ、おはなしのプレゼント」という見出しで『クマのプーさん』の物語が初めて登場する。この挿絵は、パンチ社で不定期の仕事をしていたJ.H.ダウドであった。ユーモラスな雰囲気をくみ取った絵ではあったが、ミルンはダウドには物語の世界があまりよく表現できないと感じて、のちにシェパードに挿絵を依頼している。

1926年から『くまのプーさん』のうち6話分が有名な月刊誌『ロイヤルマガジン』に掲載され、シェパードが挿絵を担当した。文章と絵が調和した斬新なデザインとなっている。

『ロイヤルマガジン』に掲載された『イーヨーのお誕生日』1926年8
月56号、348ページ


『クリストファー・ロビンの詩』の初版は5000部印刷されたが、発売初日に完売し、3か月後には再販で4万4千部が売れている。この成功の理由は、『クマのプーさん』が子供だけでなく大人にも受け入れられたといわれる。批評家たちが非常に優れた作品と太鼓判を押し、詩だけでなく挿絵も各々の誌を完璧に表現しており、欠点が見当たらないと評した。

その後、様々に編集された本が出版されるようになった。


クリストファー・ロビンの詩(When We were Very Young,1924)


息子、クリストファー・ロビンが3歳になるころ、子供のための詩を書き始め、それをまとめたもの。その後、クリストファーが6歳のころ、『わたしは六歳(”Now We are Six”, 1927)』という詩集が出ている。両者を合わせて、『クリストファー・ロビンの世界("The World of Christopher Robin")』という本にもなっている。

この詩集の前書きにおいて、Milneは、当初、英国の有名な詩人ワーズワースの作風をまねて、詩の一つ一つにちょっとした注を付けようと思っていたという。

「この詩集の中に白鳥についての詩(実際には『鏡』というタイトルになっている)がでてくるとき、そこで、脚注をつけて、「クリストファー・ロビンは、毎朝えさをやるこの白鳥に、「プー」という名前をつけました。これは白鳥に対してはとてもよい名前でしょう。なぜなら、白鳥は呼んでも来ないときがあります(白鳥はよくそういうことをしますね)。そんなとき、あなたは、別に大した期待をしていなかったことを示すために、「プー」といったとうそぶくことができます。・・・湖の白鳥のことを考え始めると、最初は、かれの名前がプーであることがとても幸運だと思いました。それ以上のことは考えませんでした。・・で実際の詩のほうは、自分が意図していたものとはかなり変わったものとなりました。そして、今、いえることは、クリストファー・ロビンがいなかったらば詩を書いていなかっただろうということです。」

ということで、クマのプーさんの話にでてくる、白鳥にプーという名前を付けたという話は、この前書きにのみ登場し、詩のほうには出てこない。また、37番目の詩『テディ・ベア』は、名前にはプーはでてこないものの、「クマのプー」のキャラクターとなっている。

以下、『鏡』と『テディーベア』を紹介する。約は、ノート筆者がつけた仮訳。元の詩が韻を踏んでいることを踏まえて、可能なところは七五調にしてみた。

The Mirror(鏡)

Between the woods the afternoon
Is fallen in a golden swoon,
The sun looks down from quiet skies
To where a quiet water lies,
And silent trees stoop down to trees.

午後の林に うっとりと
とどくは光 金色に
静かな空の 太陽は
静かな水面を 見つめてる
木々は静かに 枝をまげ
静かな森で 重なって 

And there I saw a white swan make
Another white swan in the lake;
And, breast to breast, both motionless,
They waited for the wind's cares…
And all the water was at ease

そこでみたのは 白い鳥
水面にうつる 白鳥と
胸と胸とを 寄せ合って
波ひとつない 水面では
じっと動かず 風を待つ

Teddy Bear(テディベア)


A bear, however hard he tries,
Grows tubby without exercise.
Our teddy Bear is short and fat
Which is not to be wondered at;
He gets what exercise he can
By falling off the ottoman,
But generally seems to lack
The energy to clamber back.
どんなことでも してみても
運動しなきちゃ 太っちゃう
われらがクマさん 太っちょだ
不思議と思う までもない
自分でできる 運動を
しては椅子から 落っこちて
どうやら力が 足りないな
這い上って 戻るには

Now tubbiness is just the thing
Which gets a fellow wondering;
And Teddy worries lots about
The fact that he was rather stout.
He thought:"If only I were thin!
But how does anyone begin?"
He thought;"It really isn't fair
To grudge me exercise and air."
太っちょなんだ そうなんだ
なんだろなぁと 友達は
思いめぐらす そのことが
とても気になる テディだが
確かに彼は 太ってる
"痩せてたらな”と 思うクマ
だけどどっから 始めよか?
外で運動 しろという?
できるわけない フェアじゃない



For many weeks he pressed in vain
His nose against the window-pane,
And envied those who walked about
Reducing their unwanted stout.
None of the people he could see
"Is quite" (he said) "as fat as me!"
Then, wich a still more moving sigh,
"I mean" (he said)  "as fat as I!"
何週間も 窓に鼻
おしつけてみた むなしくも 
羨んだのは あるく人
太らないように 歩くのを
どの人見ても 見つからない
自分のような 太っちょは
自分のように 太っちょは

Now Teddy, as was only right,
Slept in the ootoman at night,
And with him crowded in as well
More animals than I can tell;
Not only those, but books and things,
Such as kind relation brings---
Ond tales of "Once upon a time,"
And history retold in rhyme.
足置きの上 夜もすがら
寝てるのだから クマさんは
ほかにもたくさん どうぶつと
ほかには絵本と いろいろと
親せきたちの ものもある
昔ばなしも なん冊も
歴史を語る 詩の本も

One night it happened that he took
A peep at an old picture-book,
Wherein he came across by chance
The picture of a King of France
(A stoutish man) and, down below,
these words; "King Louis So and So,
Nicknamed 'The Handsome.'" ! There he sat,
And (think of it!) the man was fat!
それはある夜の ことだった
クマが絵本を 見ていると
偶然みつけた その中に
フランス王の 姿の絵
太っちょ男の 下のほう
ルイ王様とか 書かれてた
ニックネームは ハンサム王
だけども彼は 太っちょだ! 

Our bear rejoiced like anything
To read about this famous King,
Nicknamed "The Handsome." there he sat,
And certainly the man was fat.
Nicknamed "The Handsome." Not a doubt
The man was definitely stout.
Why then, a bear (for all his tub)
Might yet be named "The Handome Cub"!
"Might yet be named." Or did he mean
That years ago he "might have been"?
大喜びの クマさんは
読んでみました 物語り
ハンサム王と 呼ばれてた
けれども彼は 太っちょだ
ハンサム王と 呼ばれてた
けれども彼は ふとっちょだ
それだったらば クマだって
ハンサムクマと 呼べるかも
呼ばれてたかも そんな名で

For now he felt a slight misgiving:
"Is Louis So and So still living?
Fashions in beauty have a way
Of altering from day to day.
Is !Handsome Louis' with us yet?
Unfortunately I forget."
心配になった 少しだけ
ルイ王様は 生きている?
時代で変わる 流行は
日々、いちにちと 変わってる
ハンサム王は 今も居る?
忘れちゃったよ わからない

Next morning nose to window-pane)
The doubt occurred to him again.
One question hammered in his head:
"Is he alive or is he dead?"
Thus, nose to pane, he pondered; but
The lattice window, loosely shut,
Swung open. With one startled "Oh!"
Our Teddy disappered below.
次の朝来て 窓に鼻
こすりつけては 考えた
だいじょうぶかな ほんとうに
王さま生きて いるのかな?
窓にお鼻を こすりつけ
も一度クマは 考えた
窓はかるく 開いていて
急に開いて 驚いた
クマは下へと 消えてった

There happened to be passing by
A plump man with a twinkling eye,
Who, seeing Teddy in the street,
Raised him politely to his feet,
And murmured kindly in his ear
Soft words of confort and of cheer:
"Whell, well!" "Allow me!" "Not at all."
"Tut-tut! A very nasty fall."
そのときやって 来たおとこ
目が輝やいて 太っちょな
落ちたクマを 見つめてた
礼儀正しく 立ち上げて
優しく耳に ささやいた
やすまる言葉 はげましの
やれやれなんと いうべきか  
なんともひどい 落ちかただ  

Our Teddy answered not a word;
It's doubtful if he even heard.
Our bear could only look and look;
The stout man in the picture-book!
That "handsome" King---could this be he,
This man of adiposity?
"Impossible," he  thought. "But still,
No harm is asking. Yes I will!"
クマはなんにも 答えずに
聞いたことさえ 疑わしい
クマはただただ 見るばかり
太っちょおとこだ 本に居た
あのハンサム王 この人が?
わけがないよね でもしかし
聞いてしまおう それならば

"Are you," he said, "by any chance
His Majesty the Kig of France?"
The other answered, "I am that,"
Bowed stiffly, and removed his hat;
Then said "Excuse me, " with an air,
"But is it Mr. Edward Bear?"
And Teddy, bending very low,
Replied politely, "Even so!"
もしやあなたは ひょっとして
王さまですか フランスの?
返事はなんと ”その通り”
帽子をとって かしこまり
「失礼ですが あなたさま
クマの紳士の エドワード?」
そこでクマは ふかぶかと
お辞儀を返した 「そうですよ」

They stood beneath the window there,
The King and Mr. Edward Bear,
And, handsome, if a trifle fat,
Talked carelessly of this and that….
Then said His Majesty, "Well, well,
I must get on," and rang the bell.
"Your bear, I think," he smiled. "Good-day!"
And turned, and went upon his way.
二人は立ってた 窓の下
フランス王と エドワード
ハンサム同士 ちょい太り
話を交わす あれこれと
そして王さま 言いました
わたしそろそろ 帰ります
ベルを鳴らして 尋ねるに
「あなたのクマさん そうですね?」
戻っていった 来た道を

A bear, however hard he tried,
Grows tubby without exercise.
Our Teddy Bear is short and fat,
Which is not to be wondered at.
But do you think it worries him
To know that he is far from slim?
No, just the other way about---
He's proud of being short and stout.
一生懸命 頑張るが
体操なしは 太るんだ
われらがクマは ふとっちょだ
おどろくまでも ないけれど
だけどクマさん 気にしてる?
痩せてないこと 気にしてる?
いやいやそんな ことはない。
誇りにしてるさ 太っちょを。


お話に組み込まれたしかけ


クマのプーの原作は、反復を使ったリズミカルな英語、擬音語、擬態語、子供にありがちな間違ったスペリング等々、そして、ときおりクリストファー・ロビンが質問するなど、さまざまな工夫が入っており、目で読むよりも読んで語り聞かせて楽しむように作られている。これは、ミルンがもともと戯曲作家であり、戯曲は舞台で上演されてこそ完成するという彼の信念を反映したものであろう。


時代的背景

A.A.ミルンは第一次世界大戦(19014-1918年)でフランスで従軍していました。クリストファーロビンが誕生したのは1920年。英国は、第一次世界大戦には勝利したものの、他の欧州諸国ともに、戦費による財政の悪化、物資の不足、物価の高騰で苦しみ、社会主義政党が権力を握るようになります。世界経済の中心は、英国のシティから米国のウォール街に移ります。覇権国英国によるパックスブリタニカが終焉し、帝国主義、そして、パックスアメリカーナへと移行します。

領地では独立の機運がたかまります。1922年に 現在のアイルランド共和国部分がアイルランド自由国として分離独立して現在の統治体制となり、グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国となります。また、大戦で多くの兵士を狩りだされたインドも対等の関係を要求するようになり民族運動が高揚します。

このように、当時の英国は内外で影響力を失い、凋落していきました。他方、人々は自由をもとめて文化的には新たなファッションが入ってきた時代でもあります。女性は髪を短くしてパーマをかけ、スカート丈は膝下に上がります。コルセットでウエストを締め上げることがなくなり、直線的でシンプルなワンピースが流行します。男性も、華麗な装飾がシンプルになり、上着のボタンの数が減って今のスーツに近い服へと変わります。

このような世相が、『クマのプーさん』の背景となっています。

クマのプーさん


前書き(献呈)部分

この本は、”誰々に”というような献呈の句がない。ただ、To Herと書かれている。しかし、そのあとに、詩のような散文が続いている。その内容から、筆者であるミルンと息子のクリストファー・ロビンが、ミルンの妻ダフネ、つまりクリストファー・ロビンの母に対して、二人でこの本を膝の上に置いて贈ったという話になっている。ダフネは、それまで病気のミルンを口述筆記で助け、また、クマのプーの話を書くように勧めたという。ミルンの作品を愛しいつも賞賛した女性に対して、ミルンが感謝の言葉を贈ったものであろう(ドミニク・チータム『くまのプーさん』を英語で読みなおす、より)

クリストファー・ロビンは、回想録で、「父は母を喜ばせるために書いた。まったく母に頼りきりだった。母の励まし、母の喜ぶ姿、そして母の笑いがなかったら、父は聞きつづけることができなかっただろう」と語っている。

導入部分

物語りの前に、「導入」が置かれている。ここで登場する「白鳥」は、ミルンが子供向けの本の第一作目として書いた詩集『ぼくたちあ幼かった頃』に登場している。ある白鳥が居て、クリストファー・ロビンが朝になると餌をやっていたが、この白鳥のことをクリストファー・ロビンはプーと呼んでいた。家族がサセックスで休暇を過ごしていた時に白鳥に餌をやっていたことが話の元となっている。また、ロンドンの動物園の話が書かれているが、ここには確かにウィニーと呼ばれる名前のクマがいた(前出)。

WINNIE-THE-POOH

BY A. A. MILNE

To Her

HAND IN HAND WE COME
CHRISTOPHER ROBIN AND I
TO LAY THIS BOOK IN YOUR LAP.
SAY YOU'RE SURPRISED?
SAY YOU LIKE IT?
SAY IT'S JUST WHAT YOU WANTED?
BECAUSE IT'S YOURS——
BECAUSE WE LOVE YOU.

彼女のために

クリストファー・ロビンと私は手をつないで来たんだ。
この本を君の膝の上に置くために。
驚いたかな?
これ、好きかな?
これ、欲しかったかな?
だって、これは君のだからーーー
私たちはあなたのことが好きだから。

注:「彼女」とは、クリストファー・ロビンの母でAミルンの妻

INTRODUCTION

はじめに

If you happen to have read another book about Christopher Robin, you may remember that he once had a swan (or the swan had Christopher Robin, I don't know which) and that he used to call this swan Pooh. That was a long time ago, and when we said good-bye, we took the name with us, as we didn't think the swan would want it any more. Well, when Edward Bear said that he would like an exciting name all to himself, Christopher Robin said at once, without stopping to think, that he was Winnie-the-Pooh. And he was. So, as I have explained the Pooh part, I will now explain the rest of it.

もしも、君がクリストファー・ロビンについての別の本を読んでたなら、彼には白鳥がいて(あるいは、白鳥にクリストファー・ロビンがいたのか、しらないけど)、それを白鳥のプーって呼んでたことを覚えてるよね。とても昔の話だったね。さよならを言ったとき、名前はもらってきた。だって、白鳥がその名前を欲しがるとは思わなかったから。クマのエドワードが、わくわくするような名前が欲しいと言ったとき、クリストファー・ロビンは、すぐに、考えるために立ち止まることもせずに、プーだと言ったんだ。そして、そうなった。これで、プーの名前の部分は説明したので、残りの部分を説明しよう。

You can't be in London for long without going to the Zoo. There are some people who begin the Zoo at the beginning, called WAYIN, and walk as quickly as they can past every cage until they get to the one called WAYOUT, but the nicest people go straight to the animal they love the most, and stay there. So when Christopher Robin goes to the Zoo, he goes to where the Polar Bears are, and he whispers something to the third keeper from the left, and doors are unlocked, and we wander through dark passages and up steep stairs, until at last we come to the special cage, and the cage is opened, and out trots something brown and furry, and with a happy cry of "Oh, Bear!" Christopher Robin rushes into its arms. Now this bear's name is Winnie, which shows what a good name for bears it is, but the funny thing is that we can't remember whether Winnie is called after Pooh, or Pooh after Winnie. We did know once, but we have forgotten....

ロンドンにいて動物園に行かずに長く過ごすことはできないよね。ある人は、はじめに「入口」というところから動物園巡りを始めて、「出口」というところに行くまでに、すべての檻をささっと通り過ぎていくね。でも、いちばん良い人たちは、まず、自分の好きな動物のところにまっすぐに行って、そこでときを過ごすね。だから、クリストファー・ロビンが動物園に行くときは、ホッキョクグマのところに行って、左から3番目の動物園の係りの人に何かささやくとドアの鍵が外されて、暗い通路をさまようように歩いて急な階段を上り、特別な檻のところにつくんだ。そうすると、その檻が開けられてなにか茶色でふわふわしたものが小走りで出てきて、クリストファー・ロビンは「あぁ、クマちゃん」と喜びの声をあげるや、急いで近寄り抱きかかえるんだ。それで、このクマの名前はウィニーで、クマにとってはとても良い名前だけど、不思議なことに、プーの後にウィニーなのかウィニーの後にプーなのか覚えていないんだ。わかってたこともあったけど忘れてしまった・・

I had written as far as this when Piglet looked up and said in his squeaky voice, "What about Me?" "My dear Piglet," I said, "the whole book is about you." "So it is about Pooh," he squeaked. You see what it is. He is jealous because he thinks Pooh is having a Grand Introduction all to himself. Pooh is the favourite, of course, there's no denying it, but Piglet comes in for a good many things which Pooh misses; because you can't take Pooh to school without everybody knowing it, but Piglet is so small that he slips into a pocket, where it is very comforting to feel him when you are not quite sure whether twice seven is twelve or twenty-two. Sometimes he slips out and has a good look in the ink-pot, and in this way he has got more education than Pooh, but Pooh doesn't mind. Some have brains, and some haven't, he says, and there it is.

ここまで書いていたら、ピグレットが見上げて、「ぼくはどうなったの?」とキィーキィー声で言ったんだ。「ピグレット」、「本全体が君についてなんだよ。」と私は言った。「で、プーについてなんだ」と、彼はキィーキィー声で言ったんだ。ピグレットはねたんでたんだ。ピグレットは、ここの前書きでの大きな紹介はぜんぶプーのためだと思っていたからね。プーは、もちろん、好みさ。否定のしようもない。だけど、ピグレットはプーが居なかったたくさんのいい場面の中に出てくるんだ。だって、プーを学校に持っていったらみんなが気づいてしまうよね。ピグレットは小さいからポケットの中に忍び込める。そして、君が7x2が12か22かよくわからないときに居心地よくしているんだ。ときどき、彼はポケットから抜け出しインクツボを見るんだ。そして、こうして、プーよりも勉強することができるんだ。でもプーは気にしないよ。頭脳をもってる人もいれば、そうじゃない人もいる、とプーはいうんだ。そして、あるよ、って言うんだ。

And now all the others are saying, "What about Us?" So perhaps the best thing to do is to stop writing Introductions and get on with the book.

そして、他のみんなが「私たちはどうなったの?」と言うんだ。たぶん、一番いいのは、ここで前書きを書くのをやめて、本の本文に行くことだね。

A. A. M.

CONTENTS

目次

I. Chapter One:IN WHICH WE ARE INTRODUCED TO WINNIE-THE-POOH AND SOME BEES, AND THE STORIES BEGIN
第一話:クマのプーとはちみつに出会い物語が始まる
II. IN WHICH POOH GOES VISITING AND GETS INTO A TIGHT PLACE
第二話:プーがウサギの家に行って食べ過ぎで出口に挟まってしまう
III. IN WHICH POOH AND PIGLET GO HUNTING AND NEARLY CATCH A WOOZLE
第三話:プーとピグレット(コブタ)が「ウーズル」を掴まえそうになる
IV. IN WHICH EEYORE LOSES A TAIL AND POOH FINDS ONE
第四話:イーヨー(ロバ)がしっぽをなくしてプーがみつける
V. IN WHICH PIGLET MEETS A HEFFALUMP
第五話:ピグレットがヘファランプ(象)に会う
VI. IN WHICH EEYORE HAS A BIRTHDAY AND GETS TWO PRESENTS
第六話:イーヨーが誕生日のお祝いで二つの贈りものをもらう
VII. IN WHICH KANGA AND BABY ROO COME TO THE FOREST, AND PIGLET HAS A BATH
第七話:カンガとルーが森に来て、ピグレットは水風呂に入れられる
VIII. IN WHICH CHRISTOPHER ROBIN LEADS AN EXPOTITION TO THE NORTH POLE
第八話:クリストファー・ロビンが北極に探検にでる
IX. IN WHICH PIGLET IS ENTIRELY SURROUNDED BY WATER
第九話:洪水でピグレットがあたり一面を水で囲まれる
X. IN WHICH CHRISTOPHER ROBIN GIVES A POOH PARTY, AND WE SAY GOOD-BYE
第十話:クリストファー・ロビンがパーティを開きさよならを言う


CHAPTER I(第一話)クマのプーとミツバチに会って物語が始まるところ

IN WHICH WE ARE INTRODUCED TO WINNIE-THE-POOH AND SOME BEES, AND THE STORIES BEGIN


Here is Edward Bear, coming downstairs now, bump, bump, bump, on the back of his head, behind Christopher Robin. It is, as far as he knows, the only way of coming downstairs, but sometimes he feels that there really is another way, if only he could stop bumping for a moment and think of it. And then he feels that perhaps there isn't. Anyhow, here he is at the bottom, and ready to be introduced to you. Winnie-the-Pooh.

さあ、ここにいるのがクマのエドワード。クリストファー・ロビンの後ろで、頭の後ろを階段にゴツン、ゴツンとぶつけながら降りてきました。階段を下りてくるやりかたはこうしかないのだろうけども、ときには別のやり方があるのじゃないかとプーは思うことがあったんだ。もしも、ゴツン、ゴツンとぶつけるのを止めて考えさせてくれるなら。そして、たぶん、そうじゃないなと感じるのだけど。ともあれ、彼は階段の下までおりてきて、皆さんにご紹介できる準備ができました。くまのプーさんです。

When I first heard his name, I said, just as you are going to say, "But I thought he was a boy?"
"So did I," said Christopher Robin.
"Then you can't call him Winnie?"
"I don't."
"But you said——"
"He's Winnie-ther-Pooh. Don't you know what 'ther' means?"
"Ah, yes, now I do," I said quickly; and I hope you do too, because it is all the explanation you are going to get.

私が初めてかれの名前を聞いたとき、きみも言おうとするだろうけど、「だけど、男の子だと思ったの?」と言ったんだ。
「そう思った」
とクリストファー・ロビンは言ったんだ。
(父)「じゃあ、彼のことウィニーとは呼べないね?」
(ク)「そうだね」
(父)「だけど、ウイニィーって言ったよねーーー」
(ク)「だから、ウィニーのプーさまだってば。さまってどういう意味か分かる?」
「あぁ、そうだね」と私(父)はすぐに言いました。で、多分、きみもわかるよね。だって、これが説明のすべてなんだから。

注:(注:WinnieあるいはWinnyは、「優れた」という意味の女性の名前で、男の子ならWayne、Wim等々です。なので、"Winnie-the-Pooh"だと、女の子の名前になるねと、お父さんに指摘されて、Christopher Robinは、”Winnie-ther-Pooh"だと言っています。"Winnie-ther(ウィニーザー)"と言うと、響きが男の名前っぽく聞こえるという屁理屈をこねたものです。日本語にはなりにくいので、ここでは”ther”を、音の響きが似ているsir(閣下)にみたてて「さま」と訳しておきました。)

Sometimes Winnie-the-Pooh likes a game of some sort when he comes downstairs, and sometimes he likes to sit quietly in front of the fire and listen to a story. This evening——
"What about a story?" said Christopher Robin.
"What about a story?" I said.
"Could you very sweetly tell Winnie-the-Pooh one?"
"I suppose I could," I said. "What sort of stories does he like?"
"About himself. Because he's that sort of Bear."
"Oh, I see."
"So could you very sweetly?"
"I'll try," I said.
So I tried.
一階に降りてきたとき、あるときは、くまのプーは、ゲームをしてあそびたいと思い、あるときは、暖炉の前で静かに座り物語を聞きたいと思うんだ。この夜は---
「物語はどうかな?」と、クリフトファー・ロビンが言ったんだ。
そこで、私は、「物語はどうかな?」と言った。すると、
「お願いだから、プーになにか話してくれない?」
「たぶん、できると思うけど」と私は答えたんだ。「どんな物語がすきなのかな?」
「自分自身のことさ。だって、そんなクマだものね」
「そうか」
「だから、とてもやさしくお話しできる?」
「やってみようか」と私は言った。
それで、私は試してみました。

注:クリストファー・ロビンが自分がしたいことをクマのプーがしたいこととして表している場面です。「やさしく」も、クリストファー・ロビンが、自分に分かりやすいように、と注文を付けているものです。

* * * * * * * * *

Once upon a time, a very long time ago now, about last Friday, Winnie-the-Pooh lived in a forest all by himself under the name of Sanders.
昔あるとき、とっても昔のこと、そう、先週の金曜日くらいかな、クマのプーはサンダーという名前の下(もと)で森の中に一人で住んでいました。

("What does 'under the name' mean?" asked Christopher Robin.
"It means he had the name over the door in gold letters, and lived under it."
"Winnie-the-Pooh wasn't quite sure," said Christopher Robin.
"Now I am," said a growly voice.
"Then I will go on," said I.)

(「名前の下(もと)で、ってどういう意味?」とクリストファー・ロビンが聞いた。
「それはね、扉の上に金色でかかれた名前があって、その下に住んでたってことだよ」
「クマのプーはそのことわかってたのかな?」とクリストファー・ロビンが言った。
すると、「いま、わかった」と、うなるような声が言った。
「なら、つづけるよ」、と私は言いました。)

One day when he was out walking, he came to an open place in the middle of the forest, and in the middle of this place was a large oak-tree, and, from the top of the tree, there came a loud buzzing-noise.
ある日、プーが外を歩いていると、森のまんなかの開けたところに来て、そこのまんなかにはおおきな樫の木があって、木のてっぺんから大きなぶんぶんいう音が聞こえてたんだ。

Winnie-the-Pooh sat down at the foot of the tree, put his head between his paws and began to think.

First of all he said to himself: "That buzzing-noise means something. You don't get a buzzing-noise like that, just buzzing and buzzing, without its meaning something. If there's a buzzing-noise, somebody's making a buzzing-noise, and the only reason for making a buzzing-noise that I know of is because you're a bee."

クマのプーは、木の根元に腰を下ろして、手で頭を抱えて考え始めたんだ。

最初に、プーは自分自身に言ったんだ、「あのぶんぶんいう音はなにか意味あるぞ。意味がなくてただぶんぶんという音を聞くことはないよね。もしも、ぶんぶんいう音がして、だれかがその音をだしていて、その理由がぶんぶんという音をだすだけというなら、ミツバチだからだよ。」

Then he thought another long time, and said: "And the only reason for being a bee that I know of is making honey."

And then he got up, and said: "And the only reason for making honey is so as I can eat it." So he began to climb the tree.

そして、長い間考えてから言ったんだ、「そして、ミツバチであることのただひとつの理由は、はちみつを作るからだ。」

すると、彼は起き上がって言ったんだ、「そして、はちみつをつくるただひとつの理由は、僕がたべることができるからだよ。」そして、彼は木を登り始めたんだ。


テキストと一体化した挿絵


He climbed and he climbed and he climbed, and as he climbed he sang a little song to himself. It went like this:

Isn't it funny
How a bear likes honey?
Buzz! Buzz! Buzz!
I wonder why he does?

彼は、鼻歌を歌いながら、木を登って、登って、登っていったんだ。

おかしくないかい?
どうしてクマははちみつが好きなんだろう?
ぶん、ぶん、ぶん
どうしてクマははちみつが好きなんだろう?

Then he climbed a little further ... and a little further ... and then just a little further. By that time he had thought of another song.

It's a very funny thought that, if Bears were Bees,
They'd build their nests at the bottom of trees.
And that being so (if the Bees were Bears),
We shouldn't have to climb up all these stairs.

He was getting rather tired by this time, so that is why he sang a Complaining Song. He was nearly there now, and if he just stood on that branch ...

Crack!

"Oh, help!" said Pooh, as he dropped ten feet on the branch below him.

そして、彼は、少しだけ、少しだけ、そしてほんの少しだけ先の方へと昇ったんだ。それまでに、別の歌を考え付いてね。

もしも、クマがミツバチだったら、おかしいねぇ。
木の根元に巣を作るだろうね。
そして、もしもクマがミツバチだったら
階段をずっと登っていく必要がないものね。

かれは少し疲れてきたので、「不満の歌」を歌いました。かれはもうちょっとのところまで来てたんだ、そしてその枝に立てば・・・

ボキッ!

「おぉ、たすけて」と、10フィート(2.5メートル)ほど下の枝に落ちたところで、プーは言ったんだ。

"If only I hadn't——" he said, as he bounced twenty feet on to the next branch.

「もしも、こうしてなかったらーーー」と、20フィート(5メートル)つぎの枝に跳ねたところで言ったんだ。

"You see, what I meant to do," he explained, as he turned head-over-heels, and crashed on to another branch thirty feet below, "what I meant to do——"

「ほら、じぶんがしようとしてたのは」と、頭とかかとがひっくり返って30フィート(15メートル)下の別の枝にぶつかったときに、彼は説明しようとしたんだ。「じぶんがしようとしていたのはーーー」

"Of course, it was rather——" he admitted, as he slithered very quickly through the next six branches.

「もちろん、それはちょっとーー」と、続く六つの枝をさっとすり抜けたときに、彼は認めたんだ。

"It all comes, I suppose," he decided, as he said good-bye to the last branch, spun round three times, and flew gracefully into a gorse-bush, "it all comes of liking honey so much. Oh, help!"

「どうも、みんなそうだ」彼は、最後の枝にさよならと言て、三回ほどぐるっと回って、ハリエニシダの茂みに優雅に飛んでいったときに決めたんだ。「これは、みんな、はちみつがとっても好きだからだ。あぁ、困った」

He crawled out of the gorse-bush, brushed the prickles from his nose, and began to think again. And the first person he thought of was Christopher Robin.

彼は、ハリエニシダの茂みから這い出て、鼻についてトゲをブラシをするように落として、また、考え始めたんだ。それで、最初に思い付いたのがクリストファー・ロビンだったんだ。

("Was that me?" said Christopher Robin in an awed voice, hardly daring to believe it.

"That was you."

Christopher Robin said nothing, but his eyes got larger and larger, and his face got pinker and pinker.)

(「それが僕だったの?」とクリストファー・ロビンは、信じられないという風に、恐れ入った声で言ったんだ。
「きみだったんだよ」
クリストファー・ロビンは、何も言わなかったけど、目を大きく大きく見開き、顔を赤く赤くさせたんだ。)

So Winnie-the-Pooh went round to his friend Christopher Robin, who lived behind a green door in another part of the forest.

そうして、クマのプーは、森の別のところにある緑の扉の向こうに住んでいる、クリストファー・ロビンのところに行ったんだ。

"Good morning, Christopher Robin," he said.

"Good morning, Winnie-ther-Pooh," said you.
"I wonder if you've got such a thing as a balloon about you?"
"A balloon?"
"Yes, I just said to myself coming along: 'I wonder if Christopher Robin has such a thing as a balloon about him?' I just said it to myself, thinking of balloons, and wondering."
"What do you want a balloon for?" you said.

Winnie-the-Pooh looked round to see that nobody was listening, put his paw to his mouth, and said in a deep whisper: "Honey!"
"But you don't get honey with balloons!"
"I do," said Pooh.

「おはよう、クリストファー・ロビン」
「おはよう、クマのプーさま」と、君が言ったんだ。
「ひょっとして、風船のようなものをもっていないかな?」
「風船?」
「そう、風船のことを思いながら、どうかなと思いながら、「クリストファー・ロビンが風船のようなものを持っていないかな?」と自分に言ったんだ。
「で、なんで風船が欲しいの?」って君が言った。

クマのプーは、誰も聞いていないことを確かめるようとあたりを見回してから、手を口につけて、深くため息をするように「はちみつ!」って言ったんだ。
「だけど、風船じゃはちみつを手に入れられないだろう?」
「できるさ」と、プーは言ったんだ。

Well, it just happened that you had been to a party the day before at the house of your friend Piglet, and you had balloons at the party. You had had a big green balloon; and one of Rabbit's relations had had a big blue one, and had left it behind, being really too young to go to a party at all; and so you had brought the green one and the blue one home with you.

うん、君は、昨日、友だちのピグレットの家であったパーティにいって、パーティでは風船をもってたよね。君はおおきな緑色の風船をもってた。そして、ウサギのなかまのひとりは大きな青いのをもってたけど、残していった。そもそも、パーティに行くには幼すぎたからね。だから、きみは、みどりのと青いのを家に持って帰ったよね。

"Which one would you like?" you asked Pooh.

He put his head between his paws and thought very carefully.

"It's like this," he said. "When you go after honey with a balloon, the great thing is not to let the bees know you're coming. Now, if you have a green balloon, they might think you were only part of the tree, and not notice you, and, if you have a blue balloon, they might think you were only part of the sky, and not notice you, and the question is: Which is most likely?"

「どっちをほしいんだい?」ときみはプーに聞いたんだ。
かれは、両手であたまをかかえてとても慎重に考えた。
「こんなかんじなんだ」、と彼は言った。「風船をつかってはちみつを追いかけようとするとき、大事なことは、ミツバチにきみが近づいているときづかせないことなんだ。さて、もしも、緑の風船なら、ミツバチは木の一部だと思って君のことに気づかない。そして、もし、青い風船なら、ミツバチは空の一部だと思って君のことを気づかない。だから、問題なのは、どっちの方が確かかなってことなんだ。」

"Wouldn't they notice you underneath the balloon?" you asked.

"They might or they might not," said Winnie-the-Pooh. "You never can tell with bees." He thought for a moment and said: "I shall try to look like a small black cloud. That will deceive them."

「風船の下に居る君のことに気がつかないかな?」と君は聞いたんだ。
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」と、プーは言った。「ミツバチのことは分かりようがないものね。」彼は、ちょっと考えてこう言った。「自分は、小さな黒い雲にみせかけることにするよ。そうすればだませるよ。」

"Then you had better have the blue balloon," you said; and so it was decided.

「すると、青い風船の方が良いね」と君は言ったんだ。そして、そう決まったんだ。

Well, you both went out with the blue balloon, and you took your gun with you, just in case, as you always did, and Winnie-the-Pooh went to a very muddy place that he knew of, and rolled and rolled until he was black all over; and then, when the balloon was blown up as big as big, and you and Pooh were both holding on to the string, you let go suddenly, and Pooh Bear floated gracefully up into the sky, and stayed there—level with the top of the tree and about twenty feet away from it.

うん、君たちは、青い風船を持って出かけて行って、君はいつものように万が一にそなえて君の銃を持っていき、プーはすごくぬかっているところに行って、体中が黒くなるようにそこで寝転がり、それから、風船をできるだけ大きく膨らませて、君とプーはひもを掴んでたんだ。とつぜん、君が手を離すとクマのプーは優雅に空に上がっていってそこでとどまったーーそれは、木とほぼ同じ高さでそこから20フィート(5メートル)ほどのところだった。

"Hooray!" you shouted.
"Isn't that fine?" shouted Winnie-the-Pooh down to you. "What do I look like?"
"You look like a Bear holding on to a balloon," you said.
"Not," said Pooh anxiously, "—not like a small black cloud in a blue sky?"
"Not very much."
"Ah, well, perhaps from up here it looks different. And, as I say, you never can tell with bees."

「ほーれ!」と君は叫んだ。
「これ、とてもいいんじゃない!」とプーは君を見下ろして叫んだ。「僕はどんな感じに見える?」
「クマが風船につかまっているように見えるよ」と君は答えた。
「えぇ?」と、心配そうにプーが言った。「ーー青空に浮かぶ小さな黒い雲に見えないかな?」
「そうは見えないなぁ」
「あぁ、多分、そこから見るのとでは違って見えるんだ。僕が言ったように、ミツバチのことはわからないだろう」

There was no wind to blow him nearer to the tree, so there he stayed. He could see the honey, he could smell the honey, but he couldn't quite reach the honey.

彼を木の近くに運んでくれる風がなかったので、彼はそこにとどまったんだ。かれは、はちみつを見ることも、その匂いをかぐこともできたけど、はちみつにたどり着くことができなかった。

After a little while he called down to you.

"Christopher Robin!" he said in a loud whisper.
"Hallo!"
"I think the bees suspect something!"
"What sort of thing?"
"I don't know. But something tells me that they're suspicious!"

ちょっとしてから、彼は、下にいる君を呼んだんだ。
「クリストファー・ロビン」かれは、大きな囁き声で言ったんだ。
「ねぇねぇ」
「どうも、ミツバチが何か疑っているみたいなんだ」
「なんのことを?」
「よくわかんないけ。だけど、ミツバチが疑っているよって何かが自分に言うんだ」

"Perhaps they think that you're after their honey."
"It may be that. You never can tell with bees."
There was another little silence, and then he called down to you again.
"Christopher Robin!"
"Yes?"
"Have you an umbrella in your house?"
"I think so."
"I wish you would bring it out here, and walk up and down with it, and look up at me every now and then, and say 'Tut-tut, it looks like rain.' I think, if you did that, it would help the deception which we are practising on these bees."
Well, you laughed to yourself, "Silly old Bear!" but you didn't say it aloud because you were so fond of him, and you went home for your umbrella.

「たぶん、ミツバチはきみがはちみつを狙ってると思ってるんだろう」
「そうかもしれない。ミツバチのことはだれもわからないからね」
また、ちょっと静かになって、それから、プーは上からきみに言ってきた。
「クリストファー・ロビン!」
「なんだい?」
「きみの家に傘はあるかな?」
「たぶん」
「それを取ってきてもらえるかな。そして、行ったり来たりしながら、ときどき僕を見上げて、こう言うんだ「ちぇっ、どうも雨みたいだ。」 もしも、そうすれば、ミツバチのことを騙そうとしていることがうまくいくかもしれない。」
ほぅ、と君は笑ったんだ。「クマのおばかさん。」でも、そのことは大きな声では言わなかったのさ。だって、君はかれのことをとても好きだからね。そして、きみは君の家に傘を取りに帰った。

"Oh, there you are!" called down Winnie-the-Pooh, as soon as you got back to the tree. "I was beginning to get anxious. I have discovered that the bees are now definitely Suspicious."

君が木にもどるやいなや、「おぉ、もってきてくれたんだ!」と、クマのプーが上から言ったんだ。「ちょっと心配になってきてたんだ。ミツバチは間違いなく疑っていることがわかったんだ」

"Shall I put my umbrella up?" you said.
"Yes, but wait a moment. We must be practical. The important bee to deceive is the Queen Bee. Can you see which is the Queen Bee from down there?"
"No."
"A pity. Well, now, if you walk up and down with your umbrella, saying, 'Tut-tut, it looks like rain,' I shall do what I can by singing a little Cloud Song, such as a cloud might sing.... Go!"

「傘を上にあげようか?」と君は言った。
「うん、だけどちょっと待って。練習しなくちゃ。だまさなければいけない大事なハチは女王バチなんだ。下から見て、どれが女王バチかわかるかい?」
「いいや」
「それは残念。では、君は傘を持って行ったり来たりしながら、「ちぇっ、雨みたいだ」と言ってくれれば、自分は、ちいさな雲の歌を歌うんだ、雲がうたいそうなやつ・・さぁ」

So, while you walked up and down and wondered if it would rain, Winnie-the-Pooh sang this song:

How sweet to be a Cloud
Floating in the Blue!
Every little cloud
Always sings aloud.

"How sweet to be a Cloud
Floating in the Blue!"
It makes him very proud
To be a little cloud.

それで、君が行ったり来たりして雨かなと思っているとき、プーはこんな唄を歌った。

雲になるのは 素敵だな
青ぞらのなか ふわふわと
ちいさな雲の みなさんが
大きな声で 歌うのさ

雲になるのは 素敵だな
青ぞらのなか ふわふわと
感じるんだよ 誇らしく
小さな雲に なったなら

The bees were still buzzing as suspiciously as ever. Some of them, indeed, left their nests and flew all round the cloud as it began the second verse of this song, and one bee sat down on the nose of the cloud for a moment, and then got up again.

ミツバチはいぜんとして疑い深くぶんぶん鳴っていた。ハチの何匹かは、巣を離れて、雲が2番目の歌詞を歌おうとするときに、雲の周りを飛んで、一匹は雲の鼻にちょっととまり、また、飛び上がった。


"Christopher—ow!—Robin," called out the cloud.
"Yes?"
"I have just been thinking, and I have come to a very important decision. These are the wrong sort of bees."
"Are they?"
"Quite the wrong sort. So I should think they would make the wrong sort of honey, shouldn't you?"

「クリストファーー痛ぃ!ーーロビン」と雲が叫んだ。
「うん?」
「ずっと考えていて、大事なことがわかったんだ。これらは、悪い種類のミツバチなんだ」
「そうなの?」
「とっても悪い種類だ。だから、きっとわるい種類のはちみつを作っているに違いないよね?」

"Would they?"
"Yes. So I think I shall come down."
"How?" asked you.

「そうなの?」
「そうだよ。だから、降りたほうが良いと思うんだ」
「どうやって?」と、君は聞いたんだ。

Winnie-the-Pooh hadn't thought about this. If he let go of the string, he would fall—bump—and he didn't like the idea of that. So he thought for a long time, and then he said:

"Christopher Robin, you must shoot the balloon with your gun. Have you got your gun?"
"Of course I have," you said. "But if I do that, it will spoil the balloon," you said.
"But if you don't," said Pooh, "I shall have to let go, and that would spoil me."

プーは、そのことを考えていなかったんだ。風船のひもから手をはなせば、彼は落ちてーーどんーーだから、彼は、そうするのは嫌だったんだ。それで、彼は長いあいだ考えてから、こう言った:

「クリストファー・ロビン。君がもっている銃で風船を撃ってくれる。君は銃をもっていたよね?」
「もちろん、持っているよ」と、君は言った。「だけど、そうすると風船がだめになっちゃうよ」と、君は言ったんだ。
「だけど、もしもそうしないと」と、プーは言った、「風船を手放さなければならなくて、そうすると、自分がだめになっちゃうから」

When he put it like this, you saw how it was, and you aimed very carefully at the balloon, and fired.

"Ow!" said Pooh.
"Did I miss?" you asked.
"You didn't exactly miss," said Pooh, "but you missed the balloon."
"I'm so sorry," you said, and you fired again, and this time you hit the balloon, and the air came slowly out, and Winnie-the-Pooh floated down to the ground.

かれが、こういうふうに言ったとき、きみはどうかなと考えて、とても注意して風船を狙って、そして撃ったんだ。

「痛っ」とプーが言った。
「外しちゃったかな?」と君が聞いた。
「正確には、外したわけじゃない」と、プーは言ったんだ。「だけど、風船にはあたらなかった」
「ごめんね」と君は言って、もう一度撃ったら、今度は風船に命中して、風船から空気がゆっくりと抜けて、プーは地上にふわっと降りてきた。

But his arms were so stiff from holding on to the string of the balloon all that time that they stayed up straight in the air for more than a week, and whenever a fly came and settled on his nose he had to blow it off. And I think—but I am not sure—that that is why he was always called Pooh.

だけど、彼は腕で風船のひもを固くずっと握りしめていたので、腕は一週間以上空に向いたままとなって、ハエが鼻先にくるたびに、それを吹き払わなければならなかった。なのでーー自分はたしかではないけどーーかれはいつもプーと呼ばれてるんだ。

注:"pooh"には「ばかな」と軽蔑するという意味がある。

"Is that the end of the story?" asked Christopher Robin.
"That's the end of that one. There are others."
"About Pooh and Me?"
"And Piglet and Rabbit and all of you. Don't you remember?"
"I do remember, and then when I try to remember, I forget."
"That day when Pooh and Piglet tried to catch the Heffalump——"
"They didn't catch it, did they?"
"No."
"Pooh couldn't, because he hasn't any brain. Did I catch it?"
"Well, that comes into the story."

Christopher Robin nodded.

「これでお話はおしまいなの?」とクリストファー・ロビンがたずねた。
「この話はここでおしまい。他にもお話はある。」
「プーと自分のこと?」
「そして、ピグレットとラビットと君たちみんなのこと。忘れたかい?」
「覚えているよ。で、思い出そうとすると忘れるんだ。」
「それは、プーとピグレットが、ヘラファンプ(象)をつかまえようとした日のことだよーーー」
「つかまえられなかったよね?」
「できなかった。」
「プーは、脳みそがないからできなかった。自分はできたんだっけ?」
「それは、お話の中ででてくるよ」

クリストファー・ロビンは頷きました。

"I do remember," he said, "only Pooh doesn't very well, so that's why he likes having it told to him again. Because then it's a real story and not just a remembering."
"That's just how I feel," I said.

「覚えているよ。」と、彼は言いました、「プーはよく覚えられなくって、だから彼は話をしてもらうのが好きなんだ。なぜなら、それは本当の話で、ただ、覚えているってものではないからね。」
「わたしも、そう感じているよ」と、私は言いました。

Christopher Robin gave a deep sigh, picked his Bear up by the leg, and walked off to the door, trailing Pooh behind him. At the door he turned and said, "Coming to see me have my bath?"
"I might," I said.
"I didn't hurt him when I shot him, did I?"
"Not a bit."

He nodded and went out, and in a moment I heard Winnie-the-Pooh—bump, bump, bump—going up the stairs behind him.

クリストファー・ロビンは、深いため息をつき、クマの足を掴み、ドアのところまで行き、プーを後ろに引きずっていきました。ドアのところで振り返って、「お風呂に入るの見に来る?」と、言いました。
「かもね」と、私は言いました。
「銃を撃ったときに、プーを傷つけなかったよね?」
「ちっともね」

彼は、うなづいて、出て行きました。そして、すぐに、プーがゴツン、ゴツンと音を立てて、彼の後ろで階段を上っていくのを聞きました。

(第一話の終わり)

CHAPTER II (第二話) プーが友達を訪ねて狭いところに引っかかってしまう話

IN WHICH POOH GOES VISITING AND GETS INTO A TIGHT PLACE


Edward Bear, known to his friends as Winnie-the-Pooh, or Pooh for short, was walking through the forest one day, humming proudly to himself. He had made up a little hum that very morning, as he was doing his Stoutness Exercises in front of the glass: Tra-la-la, tra-la-la, as he stretched up as high as he could go, and then Tra-la-la, tra-la—oh, help!—la, as he tried to reach his toes. After breakfast he had said it over and over to himself until he had learnt it off by heart, and now he was humming it right through, properly. It went like this:

ウィニー・ザ・プーとして知られてるクマのエドワードは、ある日、森の中を、誇らしげに鼻歌を歌いながら歩いていました。彼は、朝、ガラスの前で痩せるための体操をしているときに、その歌を思いついたのです。できるだけ高く体を伸ばして、トララ、トララ、そして、指先を足に伸ばそうとしてトララ、トララーーおぉ、助けて!。朝食を食べたら、なんどもなんども繰り返して呟いているうちに、すっかりと覚えて、いまは、鼻歌でちゃんと歌えるようになったんです。こんな感じでした。

Tra-la-la, tra-la-la,
Tra-la-la, tra-la-la,
Rum-tum-tiddle-um-tum.
Tiddle-iddle, tiddle-iddle,
Tiddle-iddle, tiddle-iddle,
Rum-tum-tum-tiddle-um.

トララ、トララ、
トララ、トララ、
ランタン、タンチン、
チンタン、チンタン、
チンタン、チンタン、
ランタン、タンチン。


Well, he was humming this hum to himself, and walking along gaily, wondering what everybody else was doing, and what it felt like, being somebody else, when suddenly he came to a sandy bank, and in the bank was a large hole.

クマは鼻歌を歌って、陽気に歩いていて、ほかのものたちが何をやっているかなと思いながら、もしも自分が他人だったらどうしているかと思っていると、突然、砂の土手が現れ、そこには大きな穴がありました。

"Aha!" said Pooh. (Rum-tum-tiddle-um-tum.) "If I know anything about anything, that hole means Rabbit," he said, "and Rabbit means Company," he said, "and Company means Food and Listening-to-Me-Humming and such like. Rum-tum-tum-tiddle-um."

「あぁ」とプーは言いました(ランタン、チンタン)「もしも自分が知っていることが正しいなら、この穴にはウサギがいるということだ。」と彼は言いました。「そしてウサギということは仲間だ」と言いました。「そして仲間ということは、食べ物があって、鼻歌を聞いてくれるということだ。ランタン、チンタン」

So he bent down, put his head into the hole, and called out:
"Is anybody at home?"
There was a sudden scuffling noise from inside the hole, and then silence.
"What I said was, 'Is anybody at home?'" called out Pooh very loudly.
"No!" said a voice; and then added, "You needn't shout so loud. I heard you quite well the first time."
"Bother!" said Pooh. "Isn't there anybody here at all?"
"Nobody."

それで、彼は前かがみになり、頭を穴に突っ込んで、叫びました。
「誰かいない?」
穴の中では、突然、慌てたような音が聞こえ、そして静かになりました。
「私が言ったのは、「誰かいない?」だよ」と、プーはとても大きな声で言いました。
「いないよ!」と声が聞こえました。そして「そんなに怒鳴ることないよ。初めからちゃんと聞こえているよ!」
「なんと」とプーは言いました。「ここに誰かいない?」
「いないよ!」

Winnie-the-Pooh took his head out of the hole, and thought for a little, and he thought to himself, "There must be somebody there, because somebody must have said 'Nobody.'" So he put his head back in the hole, and said:

"Hallo, Rabbit, isn't that you?"
"No," said Rabbit, in a different sort of voice this time.
"But isn't that Rabbit's voice?"
"I don't think so," said Rabbit. "It isn't meant to be."
"Oh!" said Pooh.

クマのプーさんは、穴から頭を抜いて、少し考えて、そしてまた考えました。「あそこには誰かがいるに違いない。だって、誰かが「いないよ」って言ったのだから」。そこで、彼は、頭を穴に戻して言いました。

「こんにちは。ウサギだよね?」
「いいや」とウサギが、少し違う声で言いました。
「だけど、ウサギさんの声じゃないかい?」
「違うと思うよ」とウサギは言いました。「そういうんじゃなくて」
「おぉ!」とプーは言いました。

He took his head out of the hole, and had another think, and then he put it back, and said:

"Well, could you very kindly tell me where Rabbit is?"
"He has gone to see his friend Pooh Bear, who is a great friend of his."
"But this is Me!" said Bear, very much surprised.
"What sort of Me?"
"Pooh Bear."
"Are you sure?" said Rabbit, still more surprised.
"Quite, quite sure," said Pooh.
"Oh, well, then, come in."

彼は、穴から頭を抜き、もう一度考えてから戻り、言いました。
「ウサギさんがどこにいるか教えてくれませんか?」
「友達のクマのプーに会いに出かけているよ。プーはとてもよい友達なんだ」
「だけど、それは僕だよ」と、とても驚いてクマは言いました。
「僕ってどんな?」
「クマのプーだってば」
「本当かい?」と、もっと驚いてウサギは言いました。
「もちろん、確かだよ」とプーは言いました。
「じゃぁ、お入り」

So Pooh pushed and pushed and pushed his way through the hole, and at last he got in.

"You were quite right," said Rabbit, looking at him all over. "It is you. Glad to see you."
"Who did you think it was?"
"Well, I wasn't sure. You know how it is in the Forest. One can't have anybody coming into one's house. One has to be careful. What about a mouthful of something?"

それで、プーは、巣穴に体を押し込んで、押し込んで、ついに入り込みました。
「ほんとうだ、言うとおりだ」と、彼を見つめながらウサギは言いました。「きみだね。会えてよかった」
「ほかの誰だと思ったの?」
「自信がなかったんだ。森に居るってどういうことか知ってるよね。家に勝手に人をいれちゃいけないんだ。注意しないと。で、なにか食べるかい?」

Pooh always liked a little something at eleven o'clock in the morning, and he was very glad to see Rabbit getting out the plates and mugs; and when Rabbit said, "Honey or condensed milk with your bread?" he was so excited that he said, "Both," and then, so as not to seem greedy, he added, "But don't bother about the bread, please." And for a long time after that he said nothing ... until at last, humming to himself in a rather sticky voice, he got up, shook Rabbit lovingly by the paw, and said that he must be going on.

プーは、いつも、午前11時ころ、ちょっとだけおやつを食べるのが好きでした。なので、ウサギがお皿とコップを持ってきたのを見て喜びました。そして、ウサギは「はちみつかコンデンスミルクをパンにつけるのはどう?」と言いました。プーはとっても喜んで、「両方とも」と言いました。そして、欲張りと思われないように、「けど、パンはなくてもよいけども」と言いました。そして、しばらくの間、プーは一言も言いませんでした・・・そのあと、もぐもぐさせて鼻歌を歌うと、立ち上がり、ウサギを愛想よく握手して、もう帰らなければと言いました。

"Must you?" said Rabbit politely.
"Well," said Pooh, "I could stay a little longer if it—if you——" and he tried very hard to look in the direction of the larder.
"As a matter of fact," said Rabbit, "I was going out myself directly."
"Oh, well, then, I'll be going on. Good-bye."
"Well, good-bye, if you're sure you won't have any more."
"Is there any more?" asked Pooh quickly.

「もう帰るのかい?」とウサギは礼儀正しく言いました。
「うん」プーは、食料が置いてあるところをじっくりと眺めながら「もしも、あなたがどうしてもというなら」と言いました。
「実は」とウサギは言いました。「これから外に出たいんだけど」
「あぁ、そうですか。なら、僕もだよ。さようなら」
「はい。さようなら。もしも、これ以上はいらないということならば」
「ほかに何かあるの?」とプーは直ちに聞きました。

Rabbit took the covers off the dishes, and said, "No, there wasn't."
"I thought not," said Pooh, nodding to himself. "Well, good-bye. I must be going on."

ウサギは皿の上にかかっていたカバーをどけで「いや、なにもないよ」と言いました。「ないと思ったんだ」とプーはうなづきながら言いました。「それでは、さようなら。もう行かなくっちゃ。」

So he started to climb out of the hole. He pulled with his front paws, and pushed with his back paws, and in a little while his nose was out in the open again ... and then his ears ... and then his front paws ... and then his shoulders ... and then——

"Oh, help!" said Pooh. "I'd better go back."
"Oh, bother!" said Pooh. "I shall have to go on."
"I can't do either!" said Pooh. "Oh, help and bother!"

Now by this time Rabbit wanted to go for a walk too, and finding the front door full, he went out by the back door, and came round to Pooh, and looked at him.

そして、彼は穴のほうへと昇っていきました。腕で体を引っ張り、足で体を押すと、鼻が外に出て、それから耳、そして腕、それから肩、それからーー

「おぉ、助けて!」とプーは言いました。「戻ったほうがいいかな」
「なんてことだ」と言って、「このまま出るほうがよさそうだ」
「どっちもできなくなっちゃった!」とプーはいいました。「おぉ、助けて!」

ウサギは外に散歩に出たかったのですが、玄関が詰まってしまっているのを見て、後ろのドアから出ていきました。そして、ぐるっと回ってきてプーを見ました。

"Hallo, are you stuck?" he asked.

"N-no," said Pooh carelessly. "Just resting and thinking and humming to myself."
"Here, give us a paw."
Pooh Bear stretched out a paw, and Rabbit pulled and pulled and pulled....

"Ow!" cried Pooh. "You're hurting!"
"The fact is," said Rabbit, "you're stuck."
"It all comes," said Pooh crossly, "of not having front doors big enough."
"It all comes," said Rabbit sternly, "of eating too much. I thought at the time," said Rabbit, "only I didn't like to say anything," said Rabbit, "that one of us was eating too much," said Rabbit, "and I knew it wasn't me," he said. "Well, well, I shall go and fetch Christopher Robin."

「どうした?詰まっちゃったかい?」とウサギは聞きました。
「いいや」と、プーはのんきに言いました「ちょっと休んでて、考えてて、鼻歌を歌っているだけど」
「腕を出してごらん」
プーは腕を伸ばし、ウサギは、引っ張り、引っ張り、引っ張り
「痛ぃ!」とプーは言いました「痛いじゃないか」
「どうやらね」とウサギが言いました。「君は詰まっちゃったんだ」
「それはね」と怒ってプーは言いました「玄関を十分に大きくしておかなかったからじゃない」
「それはね」とウサギは厳しい顔で言いました。「君が食べすぎたんだよ。そう思ったんだけど」、「二人のうちどっちかが食べすぎたって、言いたくはなかったからさ」とウサギが言いました。「そして、自分ではないからね」。「さあ、クリストファー・ロビンのところに行って彼を連れてこよう」

Christopher Robin lived at the other end of the Forest, and when he came back with Rabbit, and saw the front half of Pooh, he said, "Silly old Bear," in such a loving voice that everybody felt quite hopeful again.

"I was just beginning to think," said Bear, sniffing slightly, "that Rabbit might never be able to use his front door again. And I should hate that," he said.

クリストファー・ロビンは、森の反対側に住んでいました。ウサギといっしょに来ると、プーの前半身が穴から出ているのを見ました。「おばかさん」と愛情を込めて彼は言ったので、みな、希望を持ちました。

クマは、「考えたんだけど」と、鼻をちょっとくすんとさせて言いました。「ウサギさんは、玄関を使えなくなってしまうね。そうなることは自分としては心苦しいんだけど」

"So should I," said Rabbit.
"Use his front door again?" said Christopher Robin. "Of course he'll use his front door again."
"Good," said Rabbit.
"If we can't pull you out, Pooh, we might push you back."

Rabbit scratched his whiskers thoughtfully, and pointed out that, when once Pooh was pushed back, he was back, and of course nobody was more glad to see Pooh than he was, still there it was, some lived in trees and some lived underground, and——

「それではまた玄関が使えるようになるかな」とウサギは言いました。
「もちろん、また玄関を使えるようになるさ」
「それはよかった」とウサギは言いました。
「もしもプーを引っ張り出せないなら、押し込ん見ようか」

ウサギは、ひげを思慮深げに撫でて、プーが押されて戻るなら、プーは部屋に戻ってくるということで、それは嬉しいことではあっても、プーがずっといるということであって、木の中に住むか、地中に住むかーー」

"You mean I'd never get out?" said Pooh.
"I mean," said Rabbit, "that having got so far, it seems a pity to waste it."
Christopher Robin nodded.
"Then there's only one thing to be done," he said. "We shall have to wait for you to get thin again."
"How long does getting thin take?" asked Pooh anxiously.
"About a week, I should think."
"But I can't stay here for a week!"
"You can stay here all right, silly old Bear. It's getting you out which is so difficult."
「つまり、もう出られないということかい」とプーは言いました。
「いやつまり」、「ここまできてるんだから、それを無駄にしたら惜しいよね。」とウサギは言いました。クリストファーロビンも頷きました。
「なら、やらなきゃいけないことは」「プーが痩せるまで待つことだね」と彼は言いました。
「どのくらいかかるかな」と、心配そうにプーが聞きました。
「一週間くらいかと思うけど」
「だけど、ここに一週間もいられないよ」
「居てもだいじょうぶさ、お馬鹿さん。そこからだすの、とっても難しいんだよ」

"We'll read to you," said Rabbit cheerfully. "And I hope it won't snow," he added. "And I say, old fellow, you're taking up a good deal of room in my house—do you mind if I use your back legs as a towel-horse? Because, I mean, there they are—doing nothing—and it would be very convenient just to hang the towels on them."
"A week!" said Pooh gloomily. "What about meals?"
"I'm afraid no meals," said Christopher Robin, "because of getting thin quicker. But we will read to you."
Bear began to sigh, and then found he couldn't because he was so tightly stuck; and a tear rolled down his eye, as he said:
"Then would you read a Sustaining Book, such as would help and comfort a Wedged Bear in Great Tightness?"
「お話を読んであげるさ」とラビットは楽し気にいいました。「雪がふらなきゃいいけどね」と付け加えました。「そして、友よ、君は我が家のかなりの部分をつかっちゃってるんだ。だから、足をタオル掛けにつかってもよいだろう?だって、足は何もできないんだしーータオルをかけるのにはちょうどいいかんじなんだ。」
「一週間も?」とプーはしゅんとして言いました。「食事はどうなるの?」
「食事はだめだよ」とクリストファー・ロビンは言いました。「早く痩せるためにはね。だけど、本を読んであげるよ」
クマはため息をつこうとして、それができないことに気づきました。あまりに窮屈に詰まっていたからです。そして、涙が落ちてきました。
「それじゃ、元気がでるような本を読んでくれる。きつきつに挟まったクマの慰めになるような」


So for a week Christopher Robin read that sort of book at the North end of Pooh, and Rabbit hung his washing on the South end ... and in between Bear felt himself getting slenderer and slenderer. And at the end of the week Christopher Robin said, "Now!"

それで、一週間の間、クリストファー・ロビンは、プーの北側の端っこでその手の本を読み、ウサギは、プーの南側の端っこに洗濯物をかけていました。その間でクマは、少しずつ痩せていくと感じてました。
クリストファー・ロビンは「いまだ!」と言いました。

So he took hold of Pooh's front paws and Rabbit took hold of Christopher Robin, and all Rabbit's friends and relations took hold of Rabbit, and they all pulled together....

And for a long time Pooh only said "Ow!" ...
And "Oh!" ...

それで、かれはプーの腕をつかみ、ウサギはクリストファー・ロビンをつかんで、ウサギの友達と親せきたちがウサギをつかんで、みんなで一緒に引っ張りました。

そして、長い間、プーは、ただ「痛い!」と・・・そして「おぉ!」と言っていました。

And then, all of a sudden, he said "Pop!" just as if a cork were coming out of a bottle.

And Christopher Robin and Rabbit and all Rabbit's friends and relations went head-over-heels backwards ... and on the top of them came Winnie-the-Pooh—free!

So, with a nod of thanks to his friends, he went on with his walk through the forest, humming proudly to himself. But, Christopher Robin looked after him lovingly, and said to himself, "Silly old Bear!"

そして、突然、彼は、「ポン」と、あたかも瓶からコルク栓が抜けたように言いました。

そして、クリストファー・ロビンと、ウサギと、ウサギの友達と親せきは、後ろにのけぞり重なって、その上に、クマのプーが乗っかりました。

それで、うなづいて彼の友達に感謝して感謝、クマは森の中を歩いていきました。自慢げに鼻歌を歌いながら。だけど、クリストファー・ロビンは、彼を優しく気にかけて、「おばかなクマさん」といったのです。

(End)


CHAPTER III (第三話) プーとピグレットが狩りにでてウーズルを捕まえそこなう

IN WHICH POOH AND PIGLET GO HUNTING AND NEARLY CATCH A WOOZLE

The Piglet lived in a very grand house in the middle of a beech-tree, and the beech-tree was in the middle of the forest, and the Piglet lived in the middle of the house. Next to his house was a piece of broken board which had: "TRESPASSERS W" on it. When Christopher Robin asked the Piglet what it meant, he said it was his grandfather's name, and had been in the family for a long time, Christopher Robin said you couldn't be called Trespassers W, and Piglet said yes, you could, because his grandfather was, and it was short for Trespassers Will, which was short for Trespassers William. And his grandfather had had two names in case he lost one—Trespassers after an uncle, and William after Trespassers.
"I've got two names," said Christopher Robin carelessly.
"Well, there you are, that proves it," said Piglet.

ピグレットはブナの木の真ん中にあるとっても大きな家に住んでて、そのブナの木は森の真ん中にあって、ピグレットは家の中の真ん中に住んでいました。彼の家の横には壊れかけた表示板があって、「侵入禁次」と書かれてたんだ。クリストファー・ロビンがその意味を尋ねると、彼は、それはおじいちゃんの名前で、長い間家族とともに合ったものだと言ったんです。それで、クリストファー・ロビンは、「侵入禁次」とは言えないよと言うと、ピグレットは言えるともと言って、なぜなら、彼のおじいちゃんは、「侵入禁次郎」を短くしたもので、それは、「侵入禁治衛門」を短くしたものだと。おじいさんは、名前をなくさないようにと二つ持っていて、そのおじさんに因んで「金次郎」というのと、「禁治衛門」っていうのをだと。

「自分も二つも名前を貰ったんだ」と、クリストファー・ロビンが不注意にいいました。
「ほら、そうじゃないか。それが証拠だよ」とピグレットが言いました。

One fine winter's day when Piglet was brushing away the snow in front of his house, he happened to look up, and there was Winnie-the-Pooh. Pooh was walking round and round in a circle, thinking of something else, and when Piglet called to him, he just went on walking.

ある晴れた冬の日、ピグレットが家の前に降った雪をブラシで払おうとしていたとき、彼が見上げると、そこにはクマのプーがいました。プーは、何か別のことを考えながら円を描くように歩き回り、ピグレットが声をかけたときも歩き続けていました。

"Hallo!" said Piglet, "what are you doing?"
"Hunting," said Pooh.
"Hunting what?"
"Tracking something," said Winnie-the-Pooh very mysteriously.
"Tracking what?" said Piglet, coming closer.
"That's just what I ask myself. I ask myself, What?"
"What do you think you'll answer?"
"I shall have to wait until I catch up with it," said Winnie-the-Pooh. "Now, look there." He pointed to the ground in front of him. "What do you see there?"

「こんちには」「何してるの」とピグレットが言いました。
「狩猟さ」とプーが答えました。
「何を捕まえようとしてるの?」
「何かを追っかけてんだ」とくまのプーさんが謎めいた返事をしました。
「何を追っかけてんだって?」とピグレットが近寄って聞きました。
「それがなんだが、自分に尋ねてんだよ。」
「答えは出そうかい?」
「見つければわかると思うんだけど」とクマのプーさんが言いました。「あそこを見てごらん!」と目の前の地面を指しました。「何が見えるかい?」

"Tracks," said Piglet. "Paw-marks." He gave a little squeak of excitement. "Oh, Pooh! Do you think it's a—a—a Woozle?"
"It may be," said Pooh. "Sometimes it is, and sometimes it isn't. You never can tell with paw-marks."
With these few words he went on tracking, and Piglet, after watching him for a minute or two, ran after him. Winnie-the-Pooh had come to a sudden stop, and was bending over the tracks in a puzzled sort of way.

「跡がある」とピグレットは言いました。「足跡だ」、と彼は興奮して小さなキイキイ声をあげました。「プー!、これ、ウーズルなんじゃないかな?」
「かもしれない」とプーは言いました。「そうだというときもあれば、そうじゃないときもある。足跡のことはわからないよね。」
こんなことを言ってから、プーは足跡をたどり続け、ピグレットは、プーのことを一二分見た後で、彼を追いかけました。プーは突然立ち止まり、当惑したような仕草で足跡に前かがみになりました。

"What's the matter?" asked Piglet.
"It's a very funny thing," said Bear, "but there seem to be two animals now. This—whatever-it-was—has been joined by another—whatever-it-is—and the two of them are now proceeding in company. Would you mind coming with me, Piglet, in case they turn out to be Hostile Animals?"
Piglet scratched his ear in a nice sort of way, and said that he had nothing to do until Friday, and would be delighted to come, in case it really was a Woozle.
"You mean, in case it really is two Woozles," said Winnie-the-Pooh, and Piglet said that anyhow he had nothing to do until Friday. So off they went together.

「どうしたんだい?」とピグレットがたずねました。
「とてもおかしいんだ。」とクマが言いました。「どうやら、今は、動物が二匹いるようなんだ。いったい、何なのかはわからないけど、ここでもう一匹やってきている。何なのかはわからないけども。一緒に来てくれるかい?ピグレット。まんいち、敵愾心を持つ動物だったときに備えて。」
ピグレットは、耳をよい感じでかいて、彼は今週の金曜日まではなにもすることがないと言い、喜んで一緒に行くと言ったんだ。それがウーズルかもしれないから。
プーは「つまり、ウーズルが二匹いるかもしれないということだよね」と言ったらば、ピグレットは、ともかく、金曜日まではやることがないといったんだ。なので、二人は、一緒に行くこととなりました。


There was a small spinney of larch trees just here, and it seemed as if the two Woozles, if that is what they were, had been going round this spinney; so round this spinney went Pooh and Piglet after them; Piglet passing the time by telling Pooh what his Grandfather Trespassers W had done to Remove Stiffness after Tracking, and how his Grandfather Trespassers W had suffered in his later years from Shortness of Breath, and other matters of interest, and Pooh wondering what a Grandfather was like, and if perhaps this was Two Grandfathers they were after now, and, if so, whether he would be allowed to take one home and keep it, and what Christopher Robin would say. And still the tracks went on in front of them....
Suddenly Winnie-the-Pooh stopped, and pointed excitedly in front of him. "Look!"
"What?" said Piglet, with a jump. And then, to show that he hadn't been frightened, he jumped up and down once or twice more in an exercising sort of way.

そこにはカラマツの雑木林があって、ウーズルが2匹いそうでした、もしもいるとして雑木林をぐるぐる回っていたとしてですが。なので、プーは雑木林の周りをまわりピグレットがそのあとを追いました。ピグレットはプーにおじいさんの「侵入禁治」が追跡のあと体の凝った部分をほぐすのに何をしたのかとか、おじいさんが晩年苦しんだ呼吸困難の話とか、ほかに面白そうなことを話して暇をつぶしていたけれども、プーはおじいさんってなんだろうと思いながら、でも、多分、いま追跡しているのは2人のおじいさんで、そうだとすると、そのどっちかを連れていけるかどうかと思い、そうしたらばクリストファー・ロビンがなんというかなど思いを巡らせていたんだ。そして、追跡を続けていました・・・

突然、プーは立ち止まり、興奮して彼の前の方を指さしました。
「見て!」
「なに?」とピグレットが飛び上がって言ったんだ。そして、それから、彼が怖がっていないことを示そうとしてもう一二度、興奮しているようなさまで飛び跳ねました。

"The tracks!" said Pooh. "A third animal has joined the other two!"
"Pooh!" cried Piglet. "Do you think it is another Woozle?"
"No," said Pooh, "because it makes different marks. It is either Two Woozles and one, as it might be, Wizzle, or Two, as it might be, Wizzles and one, if so it is, Woozle. Let us continue to follow them."

「足跡が!」とプーは言いました。「三匹目の動物が加わっている!」
「プー!」とピグレットが叫びました。「もう一匹ウーズルがいるのかい?」
「いいや」とプーは答えました。「だって、違ったマークができているよ。だからウーズルが二匹と別のが一匹か、ウイズル一匹と違うのが二匹か、ウイズル二匹と別の一匹か、そうなら、それはウーズルだよ。もう少し追ってみようよ」

So they went on, feeling just a little anxious now, in case the three animals in front of them were of Hostile Intent. And Piglet wished very much that his Grandfather T. W. were there, instead of elsewhere, and Pooh thought how nice it would be if they met Christopher Robin suddenly but quite accidentally, and only because he liked Christopher Robin so much. And then, all of a sudden, Winnie-the-Pooh stopped again, and licked the tip of his nose in a cooling manner, for he was feeling more hot and anxious than ever in his life before. There were four animals in front of them!

それで、二人は追跡を続けました。もしも、敵愾心のある動物たちが先にいるとすれば、ちょっとだけ不安を感じますが。そして、ピグレットは、おじいさんの「侵入禁治」がそこにいればよかったなぁと切に思い、プーはもしも、偶然、クリストファー・ロビンに会えたらいいんだがなと思いました。だって、プーはクリストファー・ロビンがとても好きだったからです。そして、突然、プーは立ち止まり、鼻の頭を冷やすように舐めました。それは、かれが、これまで生きていた以上に熱く心配に感じていたからです。なんと、目の前には4匹の動物がいます!

"Do you see, Piglet? Look at their tracks! Three, as it were, Woozles, and one, as it was, Wizzle. Another Woozle has joined them!"
And so it seemed to be. There were the tracks; crossing over each other here, getting muddled up with each other there; but, quite plainly every now and then, the tracks of four sets of paws.

「みてごらん、ピグレット!これらの足跡を。これまであった三つ、つまり、ウーズル2匹とほかの一匹だったけど、また新たなウーズルが増えちゃった」
そして、そのように見えました。足跡は、互いに交差して、そこでごちゃごちゃになってましたが、ときどきはっきりと4匹分の足跡が見えるのでした。


"I think," said Piglet, when he had licked the tip of his nose too, and found that it brought very little comfort, "I think that I have just remembered something. I have just remembered something that I forgot to do yesterday and shan't be able to do to-morrow. So I suppose I really ought to go back and do it now."

「思うに」と、鼻の頭をなめて、それがあまり安らぎにはならないことに気づいて、ピグレットが言いました。「昨日、やろうとして忘れてたことをちょうど思い出したよ。明日にはできないことさ。だから、いまから帰ってそれをしなきゃいけないと思うんだ。」

"We'll do it this afternoon, and I'll come with you," said Pooh.
"It isn't the sort of thing you can do in the afternoon," said Piglet quickly. "It's a very particular morning thing, that has to be done in the morning, and, if possible, between the hours of——What would you say the time was?"
"About twelve," said Winnie-the-Pooh, looking at the sun.
"Between, as I was saying, the hours of twelve and twelve five. So, really, dear old Pooh, if you'll excuse me——What's that?"
Pooh looked up at the sky, and then, as he heard the whistle again, he looked up into the branches of a big oak-tree, and then he saw a friend of his.

「そう。じゃあ、午後にやったらいいよ。君と一緒に行くから」とプーが言いました。
「午後にできるようなことじゃないんだよ」と、ピグレットがすぐに言いました。「それは、とても特別な午前中のもので、午前中にやらなきゃならないんだ。もしも、できることなら、この時間の間ーーきみ、いま何時といったっけ?」
「十二時ころだよ」とプーがお日様を見ながら言いました。
「言おうとしたのは、12時と12時5分の間ってことだよ。だから、プー、ごめんねーーなにかな?」
プーは空を見上げて、それから、口笛をもう一度聞くと、彼は大きな樫の木の上の方の幹を見上げて、そこに友達をみつけました。

"It's Christopher Robin," he said.
"Ah, then you'll be all right," said Piglet. "You'll be quite safe with him. Good-bye," and he trotted off home as quickly as he could, very glad to be Out of All Danger again.

「クリストファー・ロビンじゃないか」と彼は言いました。
「あぁ、そうだよ」とピグレットが言いました。「彼がいると安心するね。さようなら」そして、できるだけ早く家へと駆け戻っていった。あぶないことから離れることができて嬉しかったのです。

Christopher Robin came slowly down his tree.
"Silly old Bear," he said, "what were you doing? First you went round the spinney twice by yourself, and then Piglet ran after you and you went round again together, and then you were just going round a fourth time——"
"Wait a moment," said Winnie-the-Pooh, holding up his paw.
He sat down and thought, in the most thoughtful way he could think. Then he fitted his paw into one of the Tracks ... and then he scratched his nose twice, and stood up.

クリストファー・ロビンは、ゆっくり木を降りてきました。
「くまのおばかさん」と彼は言って「なにをしていたんだい?最初は、雑木林を二度回って歩いて、それから、ピグレットが君のことを追っかけて一緒に回って、それから、君は、四回目を回ったーー」
「ちょっと待って」と手を持ち上げてプーが言いました。
彼は、できるかぎり思慮深く、座って考えた。それから、自分の足を足跡の一つに合わせて・・そして、鼻を二回ほどひっかいて起き上がりました。

"Yes," said Winnie-the-Pooh.
"I see now," said Winnie-the-Pooh.
"I have been Foolish and Deluded," said he, "and I am a Bear of No Brain at All."
"You're the Best Bear in All the World," said Christopher Robin soothingly.
"Am I?" said Pooh hopefully. And then he brightened up suddenly.
"Anyhow," he said, "it is nearly Luncheon Time."
So he went home for it.

「うん」とプーが言いました。
「わかったよ」とプーが言いました。
「自分はバカで思い違いをしてたんだ」と言いました。「そして、脳みそがないクマだったんだ」
「君は世界で一番素晴らしいクマだよ」とクリストファー・ロビンがなだめるように言いました。
「そう?」とプーは希望をもって言った。そして、急に明るくなりました。
「ともかく」と彼は言いました。「もう、おひるごはんの時間だよ」
そして、彼は家へ帰っていきました。

(The End)

CHAPTER IV(第四話)イーヨーがしっぽをなくして見つける話


ノート筆者注

この物語では、イーヨーが初めて登場します。イーヨー(eeyore)とは、ロバの鳴き声です。陰気でいつもぶつぶつと言っているイーヨーは英国において愛されるキャラであり、その例えは、現在においても使われます。2022年8月に、英国中央銀行総裁が金利を上げる際に開催した記者会見において、総裁は、「おはよう(良い朝ですね)、もしも良い朝ならば。そうではないと思いますが "Good Morning.  If it is a good morning.  Which I doubt」と話を始めたそうです。このセリフを聴けば、英国人はイーヨーを思い出します。ちなみに、話の内容が金利引き上げなので、市場にとっては良いニュースではありません。陰鬱な話を語る枕としてイーヨー風の挨拶をしたわけです。以下のリンクにこの記事があります。

https://www.washingtonpost.com/business/the-bank-of-eeyore-grumbles-thetruth-whos-next/2022/08/05/f6e28a1c-147c-11ed-8482-06c1c84ce8f2_story.html

また、イーヨーな人が職場にいると、みんなのやる気がなくなり、その悪影響は、前向きな人によるポジティブな効果の7-8倍もあるという記事がありました。そんなときは、朝、

① 深呼吸をしてからあなたが感謝しているもの、あるいはこと(例えば、子どもだったり、伴侶だったり、親だったり、窓の外の美しい景色だったり)を思い浮かべる。
② 食事やシャワーや通勤をしているとき、その日に向けてエネルギーを意識して高める。
③ あなたにとって、何があなたを幸福にしているのかを考える。

ことをアドバイスしています。以下のリンクを参照してください。


(本文)


IN WHICH EEYORE LOSES A TAIL AND POOH FINDS ONE

The Old Grey Donkey, Eeyore, stood by himself in a thistly corner of the forest, his front feet well apart, his head on one side, and thought about things. Sometimes he thought sadly to himself, "Why?" and sometimes he thought, "Wherefore?" and sometimes he thought, "Inasmuch as which?"—and sometimes he didn't quite know what he was thinking about. So when Winnie-the-Pooh came stumping along, Eeyore was very glad to be able to stop thinking for a little, in order to say "How do you do?" in a gloomy manner to him.
年取った灰色のロバ、イーヨーは、森の角のアザミが茂ったあたりに一人で立っていて、かれの前足をいっぱいに広げて、頭は反対側に傾けて、何やら考えごとをしていました。ときどき、悲しそうに「なぜ?」と思ったり、ときどき、「なんのため?」と思ったり、ときどき、「なにと同じくらい?」と思ったりーーときどき、何を考えているのかもよくわからなかったりでした。なので、くまのプーさんが話をしにやって来ると、イーヨーは、陰気な感じで「こんにちは」といいつも、しばらく考え事をしなくてよいのでとても喜ぶのでした。


"And how are you?" said Winnie-the-Pooh.
Eeyore shook his head from side to side."Not very how," he said. "I don't seem to have felt at all how for a long time."
"Dear, dear," said Pooh, "I'm sorry about that. Let's have a look at you."
So Eeyore stood there, gazing sadly at the ground, and Winnie-the-Pooh walked all round him once.

「ちょうしはどうだい」とくまのプーさんがいいました。
イーヨーは、頭を横に振り「それほどじゃないな」、「ながいことそんな風に感じたことはなさそうだ」と言うのでした。
「おや、おや」「それはお気の毒に。ちょっと見てあげよう」とくまのプーは言いました。
なので、イーヨーはそこに立って、まわりを悲しそうに見渡し、くまのプーさんは彼の周りを一周しました。



"Why, what's happened to your tail?" he said in surprise.
"What has happened to it?" said Eeyore.
"It isn't there!"
"Are you sure?"
"Well, either a tail is there or it isn't there. You can't make a mistake about it. And yours isn't there!"
"Then what is?"
"Nothing."

「どうしたのかな?しっぽはどうしたんだい?」と彼は驚いて言いました。
イーヨーは、「なにが起こったっていうのだい?」と言いました。
「それが、ないんだよ!」
「本当かい?」
「うーん、しっぽがあるのかないのか。それに間違うことなんかないよね。で、ないんだよ。」
「じゃあ、なにが?」
「なにもないんだよ」


"Let's have a look," said Eeyore, and he turned slowly round to the place where his tail had been a little while ago, and then, finding that he couldn't catch it up, he turned round the other way, until he came back to where he was at first, and then he put his head down and looked between his front legs, and at last he said, with a long, sad sigh, "I believe you're right."
"Of course I'm right," said Pooh.
"That Accounts for a Good Deal," said Eeyore gloomily. "It Explains Everything. No Wonder."
"You must have left it somewhere," said Winnie-the-Pooh.
"Somebody must have taken it," said Eeyore. "How Like Them," he added,
after a long silence.

「どれ、見てみよう」とイーヨーは言って、ちょっと前までしっぽがあったところにゆっくりと振り向いてみて、そこにはたどり着けないので、もとのところに行きつくまで逆側から回ってみて、それから、頭を下げて前足の間を見て、最後に、長く、悲しそうにため息をついて「どうやら君が正しいようだ」と言いました。
「もちろん、自分がただしいさ」とプーは言いました。
「それでわかったよ」と、陰気にイーヨーはいいました。「それで、なにもかも説明がつ。まちがいない」
「どこかに落としてしまったんだろうね」とくまのプーが言いました。
「だれかがとっていったにちがいない」とイーヨーは言いました。そして、長い沈黙の後で、「あいつららしいさ」と付け加えました。


Pooh felt that he ought to say something helpful about it, but didn't quite know what. So he decided to do something helpful instead.
"Eeyore," he said solemnly, "I, Winnie-the-Pooh, will find your tail for you."
"Thank you, Pooh," answered Eeyore. "You're a real friend," said he. "Not like Some," he said.
So Winnie-the-Pooh went off to find Eeyore's tail.

プーは、何か役に立つことを言わなくてはと思いましたが、それが何かがわかりませんでした。なので、なにか助けになることをしようと決めました。
「イーヨー」「自分、くまのプーは、君のしっぽを探してあげる」と厳かにいいました。
「ありがとう、プー」とイーヨーは答えました。「君は真の友達だ」と彼は言いました。「あいつらとはちがう」と言いました。
それで、くまのプーはイーヨーのしっぽを見つけに出かけました。

It was a fine spring morning in the forest as he started out. Little soft clouds played happily in a blue sky, skipping from time to time in front of the sun as if they had come to put it out, and then sliding away suddenly so that the next might have his turn. Through them and between them the sun shone bravely; and a copse which had worn its firs all the year round seemed old and dowdy now beside the new green lace which the beeches had put on so prettily. Through copse and spinney marched Bear; down open slopes of gorse and heather, over rocky beds of streams, up steep banks of sandstone into the heather again; and so at last, tired and hungry, to the Hundred Acre Wood. For it was in the Hundred Acre Wood that Owl lived.
"And if anyone knows anything about anything," said Bear to himself, "it's Owl who knows something about something," he said, "or my name's not Winnie-the-Pooh," he said. "Which it is," he added. "So there you are."

プーが出発したとき、森はお天気のよい春の日でした。青い空にやわらかな小さな雲がたわむれ、ときおりお日様の前を、お日様の光を消そうとするようにスキップして通り過ぎ、次の雲がそれに続くのでした。雲を通して、そして雲の間からは、元気強くお日様が輝き、ブナの木が美しく身に着けている新緑のレースのわきで、一年中毛皮を着ていた雑木林は古くやぼったくなっていました。雑木林とやぶを抜けて、くまは行進しました。ハリエニシダとヒースが生えた開けた斜面をおりて、清流の岩っぽい川底を超えて、左岸の急な土手をあがってヒースのところに戻り、そして、疲れてお腹をすかせて、最後に百エーカーの森にたどり着きました。そこには、百エーカーの森にはフクロウが住んでいるからでした。
「そして、もしもなんでも知っているのは誰かと言えば」、とくまは自分に言いました。「それは、フクロウで、なにかについてなにかをしっているんだ」、と言い、「じゃなきゃ、自分がくまのプーという名じゃないさ」と言いました。「そうだから」と付け加えました「そうなのさ」。

Owl lived at The Chestnuts, an old-world residence of great charm, which was grander than anybody else's, or seemed so to Bear, because it had both a knocker and a bell-pull. Underneath the knocker there was a notice which said:

PLES RING IF AN RNSER IS REQIRD.

Underneath the bell-pull there was a notice which said:

PLEZ CNOKE IF AN RNSR IS NOT REQID.

These notices had been written by Christopher Robin, who was the only one in the forest who could spell; for Owl, wise though he was in many ways, able to read and write and spell his own name WOL, yet somehow went all to pieces over delicate words like MEASLES and BUTTEREDTOAST.

フクロウは栗に木に住んでいて、とても魅力的で、だれよりも年季の入った古風なたたずまいで、あるいは、くまにはそう見えたのであって、それは、玄関にノッカーと呼び鈴がついていたからです。ノッカーの下には、張り紙があって
「もし、応答 いりなら 鳴らして くださ」
と書かれていて、呼び鈴の下には、
「もし、応と 欲 いっぱって くださ」
と書かれてました。これらは、森の中だただ一人、字を書くことができるクリストファー・ロビンが書いたものでした。いろんな意味で賢く、「フクロ」と書いて読むことはできるフクロウではあったけど、「はかし(はしか)」とか「バタードースト(バタートースト)」のような精緻な言葉には参ってしまうのでした。

Winnie-the-Pooh read the two notices very carefully, first from left to right, and afterwards, in case he had missed some of it, from right to left. Then, to make quite sure, he knocked and pulled the knocker, and he pulled and knocked the bell-rope, and he called out in a very loud voice, "Owl! I require an answer! It's Bear speaking." And the door opened, and Owl looked out.
"Hallo, Pooh," he said. "How's things?"

くまのプーさんは、2つの注意書きを、初めは左から右へと、そのあとに、何か見失うことがないようにと、右から左へと、注意深く読みました。それから、しっかりと確かめるため、ノックして、ノッカーを引っ張って、呼び鈴をノックして引っ張り、「ふくろうさん!応えておくれ。じぶんはクマだよ。」ととても大きな声で叫びました。するとドアが開いて、フクロウが中から用心深く外を見ました。「こんにちはプー」、「ちょうしはどうだい?」と彼は言いました。

"Terrible and Sad," said Pooh, "because Eeyore, who is a friend of mine, has lost his tail. And he's Moping about it. So could you very kindly tell me how to find it for him?"
"Well," said Owl, "the customary procedure in such cases is as follows."
"What does Crustimoney Proseedcake mean?" said Pooh. "For I am a Bear of Very Little Brain, and long words Bother me."
"It means the Thing to Do."
"As long as it means that, I don't mind," said Pooh humbly.
"The thing to do is as follows. First, Issue a Reward. Then——"
"Just a moment," said Pooh, holding up his paw. "What do we do to this—what you were saying? You sneezed just as you were going to tell me."
"I didn't sneeze."
"Yes, you did, Owl."
"Excuse me, Pooh, I didn't. You can't sneeze without knowing it."
"Well, you can't know it without something having been sneezed."
"What I said was, 'First Issue a Reward'."
"You're doing it again," said Pooh sadly.
"A Reward!" said Owl very loudly. "We write a notice to say that we will give a large something to anybody who finds Eeyore's tail."

「ひどくて悲しいんです」とプーは言いました。「それは、友達のイーヨーが、しっぽをなくしちゃったからです。そして、彼はふさぎ込んでいるんです。なので、彼のために、どうしたら探すことができるか教えていただけないでしょうか?」
「そうか」とフクロウが言いました。「このようなときの慣習的方法(customary procedure)は・・」
「その、ぱりぱりマネー・進行ケーキ(Crustimoney Proceedcake)って、なんでしょうか?」とプーは言いました。「私は、脳みそがとてもちっちゃいクマなので、長い言葉には手を焼いてしまうんです」
「つまり、どうするかということだよ」
「そうなら、気にはしません」とプーはつつましやかに言いました。
「やらねばならぬことは、こういうことである。まず、褒美を出すとの知らせを出すこと。そしてーーー」
「ちょっとまってください」とプーは手を挙げて言いました。「どうしたらよいのでしょうーーなにを言ってらっしゃるのでしょうか?話をしたときにくしゃみをされたので (注:issue(出す)をachoo(ハクション)と聞き違えてる)
「くしゃみなどしてはおらんが」
「いいえなさいました。フクロウさん」
「いいや、していない。知らず知らずにくしゃみをすることはできないもんだ」
「では、なにかくしゃみがされたことなく、それを知ることはできないというのですね」
「私が言ったのは、「まず、褒美をだす」ということだよ」
「あなたは、もう一度されましたよ」とプーは悲しそうに言いました。
「褒美だ!」と、フクロウは大声で言いました。「イーヨーの尻尾をみつけたものには大きななにかを与えると、張り紙を書くのだよ」



"I see, I see," said Pooh, nodding his head. "Talking about large somethings," he went on dreamily, "I generally have a small something about now—about this time in the morning," and he looked wistfully at the cupboard in the corner of Owl's parlour; "just a mouthful of condensed milk or whatnot, with perhaps a lick of honey——"
"Well, then," said Owl, "we write out this notice, and we put it up all over the forest."
"A lick of honey," murmured Bear to himself, "or—or not, as the case may be." And he gave a deep sigh, and tried very hard to listen to what Owl was saying.

「あぁ、わかりました」とプーは、うなづきながら言いました。「何か大きななにかのことですが」と、夢心地で続けました。「自分は、だいたい、朝のこの時間、何かをちょっとだけ食べています」そしてフクロウの居間の角の食器棚をもの欲しそうに眺めて「ただ一口のコンデンスミルクか何かと、はちみつかなんかをひとなめーー」
「それでは」、とフクロウは言いました。「張り紙を作って森中に張ろうではないか」
「はちみつのひとなめ」とくまは一人でつぶやきました「もしもそうでなければ、そうなるときに」
そして、大きなため息をついて、フクロウの言うことを一生懸命聞こうとしました。

But Owl went on and on, using longer and longer words, until at last he came back to where he started, and he explained that the person to write out this notice was Christopher Robin.
"It was he who wrote the ones on my front door for me. Did you see them, Pooh?"
For some time now Pooh had been saying "Yes" and "No" in turn, with his eyes shut, to all that Owl was saying, and having said, "Yes, yes," last time, he said "No, not at all," now, without really knowing what Owl was talking about.
"Didn't you see them?" said Owl, a little surprised. "Come and look at them now."

しかし、フクロウは、長い長い言葉をつかって、ずっとずっと続けて、しまいには、また、始めのところにもどって、彼は、この張り紙はクリストファー・ロビンが書いたのだと説明しました。
「私の玄関の前にあるこれらは彼が私のために書いてくれたものなのだよ。わかるかね、プーよ」
プーは、しばらくの間、フクロウが言うことすべてに対して、目を閉じて「はい」と「いいえ」と交互に言い続けていて、最後に、「はい、はい」と言った後だったので、今は、フクロウが何をいったのかよくわからずに「いいえ、まったく」と言いました。
「わからないのかい?」とフクロウは少し驚いて言いました。「来て見てみたまえ」

So they went outside. And Pooh looked at the knocker and the notice below it, and he looked at the bell-rope and the notice below it, and the more he looked at the bell-rope, the more he felt that he had seen something like it, somewhere else, sometime before.
"Handsome bell-rope, isn't it?" said Owl.
Pooh nodded.
"It reminds me of something," he said, "but I can't think what. Where did you get it?"

それで、二人は外に出ました。そして、プーはノッカーとその下の張り紙を見て、呼び鈴ひもとその下の張り紙を見て、呼び鈴ひもをもっと見ると、こういうのをどこかで、いつだったか、見たことがあるなと感じました。
「きれいな呼び鈴ひもだろう?」とフクロウは言いました。
「なにか思い出すのです」とプーは言いました。「だけどなにだか思い当たらない。これはどこで手に入れられました?」


"I just came across it in the Forest. It was hanging over a bush, and I thought at first somebody lived there, so I rang it, and nothing happened, and then I rang it again very loudly, and it came off in my hand, and as nobody seemed to want it, I took it home, and——"
"Owl," said Pooh solemnly, "you made a mistake. Somebody did want it."
"Who?"
"Eeyore. My dear friend Eeyore. He was—he was fond of it."
"Fond of it?"
"Attached to it," said Winnie-the-Pooh sadly.

「森で見つけたんだよ。茂みに引っかかっていたので、そこに誰か住んでいるのかと思って、ベルを鳴らしたけれどもなにもおこらなかった。それで、もう一度、大きな音で鳴らしたのだ。そして、手に落ちてきた。だれも欲しがっているようには見えないので、家に持ち帰った。そしてーー」
「フクロウさん」と、プーは厳かに言いました。「あなたは、間違いを犯しました。それを欲しがっている人がいます」
「誰だい」
「私の親友の、イーヨーです。かれは、それがとても好きなのです」
「好きとは何が?」
「そこについているものです」と、くまのプーは悲しそうに言いました。


So with these words he unhooked it, and carried it back to Eeyore; and when Christopher Robin had nailed it on in its right place again, Eeyore frisked about the forest, waving his tail so happily that Winnie-the-Pooh came over all funny, and had to hurry home for a little snack of something to sustain him. And, wiping his mouth half an hour afterwards, he sang to himself proudly:
Who found the Tail?
"I," said Pooh,
"At a quarter to two

(Only it was quarter to eleven really),

I found the Tail!"

このように言葉を交わして、それを外して、イーヨーのところへ持って帰って、そしてクリストファー・ロビンが正しいところにもう一度釘で打って留めました。イーヨーは、森の中を飛びまわり、とても楽しそうに尻尾を振りまわしたので、くまのプーはおかしくなりました。そして、いそいで家へもどって、スナックをちょっとたべて腹を足しました。そして、三十分後に口を拭って、誇らしげに歌いました。

だれがしっぽを見つけたかい?
「僕がさ」とプーが言う
「2時15分前」にね
(ほんとうは、11時15分前でしたね)
僕がしっぽを見つけたよ!



(終わり)

CHAPTER V (第五話)ピグレットがヘファランプに出会う

IN WHICH PIGLET MEETS A HEFFALUMP
ピグレットがヘファランプに出会う

One day, when Christopher Robin and Winnie-the-Pooh and Piglet were all talking together, Christopher Robin finished the mouthful he was eating and said carelessly: "I saw a Heffalump to-day, Piglet."
"What was it doing?" asked Piglet.
"Just lumping along," said Christopher Robin. "I don't think it saw me."
"I saw one once," said Piglet. "At least, I think I did," he said. "Only perhaps it wasn't."
"So did I," said Pooh, wondering what a Heffalump was like.
"You don't often see them," said Christopher Robin carelessly.
"Not now," said Piglet.
"Not at this time of year," said Pooh.

ある日、クリストファー・ロビンとくまのプーさんとピグレットが集まって話をしていたとき、クリストファー・ロビンは、ひと口食べ終えてからうっかりと「ピグレット、今日、僕はヘファランプを見たよ」と言ったのでした。
「なにしてた?」とピグレットが尋ねると、
「のっしのしと歩いてた」とクリストファー・ロビンが言いました。「多分、僕のことは見てなかったと思うんだ」
「僕も一度見たことがある」と、ピグレットが言いました。「少なくとも、そう思う」、「あるいは、そうじゃないかもしれないけど」と言いました。
「ぼくもだ」と、プーが、ヘファランプってどんなものだろうと思いながら言いました。
「そうそう見れるもんじゃないよ」とクリストファー・ロビンがうっかりと言いました。
「今はないかな」と、ピグレットが言いました。
「一年の今ごろはいないかな」と、プーが言いました。

Then they all talked about something else, until it was time for Pooh and Piglet to go home together. At first as they stumped along the path which edged the Hundred Acre Wood, they didn't say much to each other; but when they came to the stream and had helped each other across the stepping stones, and were able to walk side by side again over the heather, they began to talk in a friendly way about this and that, and Piglet said, "If you see what I mean, Pooh," and Pooh said, "It's just what I think myself, Piglet," and Piglet said, "But, on the other hand, Pooh, we must remember," and Pooh said, "Quite true, Piglet, although I had forgotten it for the moment." And then, just as they came to the Six Pine Trees, Pooh looked round to see that nobody else was listening, and said in a very solemn voice:

"Piglet, I have decided something."
"What have you decided, Pooh?"
"I have decided to catch a Heffalump."

それから、プーとピグレットが一緒に家に帰るまで、みんなで別の話をしていました。最初、百エーカーの森の端(はじ)にある道をとぼとぼと歩いていたとき、二人はあまり話はしませんでしたが、小川まできて互いに助け合いながら飛び石を伝って渡ったとき、そして、ヒースの原を並んで歩いていたとき、二人は、あれこれと親しそうに話し始めました。そして、ピグレットが「もしも、君が見たなら、つまりね、プー」と言い、プーは、「僕もおんなじことを考えていたよ、ピグレット」と言いました。そしてピグレットが、「だけどさ、プー、忘れないでいないとね」と言ったので、プーは、「その通りだよ、ピグレット。僕はちょっとの間、忘れてはいたんだけども」と言いました。それから、六本松のところまで来たときに、プーは周りを見て誰も聞いていないことを確かめてから、とてもまじめくさった声でいいました。

「ピグレット、ぼくは、決めたよ。」
「なにを決めたんだい、プー?」
「ヘファランプを捕まえるんだ」

Pooh nodded his head several times as he said this, and waited for Piglet to say "How?" or "Pooh, you couldn't!" or something helpful of that sort, but Piglet said nothing. The fact was Piglet was wishing that he had thought about it first.
"I shall do it," said Pooh, after waiting a little longer, "by means of a trap. And it must be a Cunning Trap, so you will have to help me, Piglet."
"Pooh," said Piglet, feeling quite happy again now, "I will." And then he said, "How shall we do it?" and Pooh said, "That's just it. How?" And then they sat down together to think it out.
Pooh's first idea was that they should dig a Very Deep Pit, and then the Heffalump would come along and fall into the Pit, and——

"Why?" said Piglet.
"Why what?" said Pooh.
"Why would he fall in?"

プーは頭をなんども振りってうなづきました。そして、ピグレットが「どうやって?」とか、「プー、できやしないよ!」とか、そんな感じの助けになるようなことをいうのを待っていましたが、ピグレットは何も言いませんでした。実のところは、ピグレットは、そのことをプーより先に考えてればなぁと思っていました。

すこし長く間をおいた後で、「やってみせるさ」とプーは言いました。「罠(わな)を使うんだ。そして、それは、巧妙な罠なんだ。だから、僕のことを手伝ってくれないとね、ピグレット」

「プー」と、頼まれてふたたび喜んだピグレットは言いました。「やるよ」。そして、彼は、「ふたりでどうすればいいのかい?」と言いました。そして、プーは「そうなんだ。どうするかなんだよ」と言って、二人は座り込んで考えました。

プーが最初に思いついたのは、とっても深い穴を掘ることでした。そして、ヘファランプがやってきて穴に落ちる、するとーー

「なぜ」とピグレットが言いました。
「なぜってなに?」とプーが言いました。
「なぜファランプが落ちるんだい?」

Pooh rubbed his nose with his paw, and said that the Heffalump might be walking along, humming a little song, and looking up at the sky, wondering if it would rain, and so he wouldn't see the Very Deep Pit until he was half-way down, when it would be too late.

Piglet said that this was a very good Trap, but supposing it were raining already?

Pooh rubbed his nose again, and said that he hadn't thought of that. And then he brightened up, and said that, if it were raining already, the Heffalump would be looking at the sky wondering if it would clear up, and so he wouldn't see the Very Deep Pit until he was half-way down.... When it would be too late.

Piglet said that, now that this point had been explained, he thought it was a Cunning Trap.

プーは前足で鼻をこすって言いました。ヘファランプは一匹で歩いてきて、ちょいと鼻歌を歌っていて、空を見上げていて、ひょっとして雨がふるかななどと思っていると穴の半分くらいのところまでくるまで深い穴には気づかないだろう、その時は、もう手遅れさ。

ピグレットは、それはとてもよい罠だけれども、もしも雨が初めから雨が降ってたらどうなると思う?と言いました。

プーは、また、鼻をこすって、そのことは考えてなかったと言いました。そして、目を輝かせて、もしも、初めから雨だったら、ヘファランプはいつ晴れるだろうと思って空を見てるだろうから、穴の途中まできて手遅れとなるまで深い穴には気が付かないだろうと言いました。

ピグレットは、問題だった部分が解決したので、なるほど巧妙な罠だなと思いました。

Pooh was very proud when he heard this, and he felt that the Heffalump was as good as caught already, but there was just one other thing which had to be thought about, and it was this. Where should they dig the Very Deep Pit?
Piglet said that the best place would be somewhere where a Heffalump was, just before he fell into it, only about a foot farther on.
"But then he would see us digging it," said Pooh. "Not if he was looking at the sky."
"He would Suspect," said Pooh, "if he happened to look down." He thought for a long time and then added sadly, "It isn't as easy as I thought. I suppose that's why Heffalumps hardly ever get caught."
"That must be it," said Piglet.

プーはそれを聞いてとても誇らしげに思い、ヘファランプはもう捕まえたようなものだと思ったのですが、他にもう一つ考えておかなければならないことがあり、それはこれでした。いったいどこに深ぁい穴を掘ればいいのでしょう?

ピグレットは、ヘファランプがいるところで、ヘファランプが落ちるすぐと前、一歩くらい先のところがもっともいい場所だと言いました。

「だけど、それじゃ、僕たちが穴を掘るところをみられちゃうよ」とプーが言いました。「空をみてたら気づかないだろうけども」

「気づいちゃうだろうな」とプーは言いました。「もしも下を見たらばね。」彼は、長い間考えてから、悲しそうに付け加えました。「考えていたほど易しくはなさそうだね。だからヘファランプはこれまで捕まえらられなかったんだろうね。」
「そうに違いないね」とピグレットが言いました。

They sighed and got up; and when they had taken a few gorse prickles out of themselves they sat down again; and all the time Pooh was saying to himself, "If only I could think of something!" For he felt sure that a Very Clever Brain could catch a Heffalump if only he knew the right way to go about it.

"Suppose," he said to Piglet, "you wanted to catch me, how would you do it?"

"Well," said Piglet, "I should do it like this. I should make a Trap, and I should put a Jar of Honey in the Trap, and you would smell it, and you would go in after it, and——"

ふたりはため息をつき起き上がりました。そして、二人は、ハリエニシダのとげを少し抜きながらもう一度座りました。そして、プーは「なにか考えられればなぁ!」とずっと独り言を言っていました。なぜなら、彼は、とっても賢い脳みそがあってうまくやるやり方さえ知っていれば、ヘファランプを捕まえられるに違いないと思ったからでした。

「もしも」彼はピグレットに言いました。「もしも、僕を捕まえようとするなら、君はどうする?」

「そうだね」とピグレットは言いました。「自分だったらこうするな。罠をつくってそこにはちみつの壺をおくんだ。そうすると、君はそのにおいをかいで、そこに行こうとする。そしてーーー」

"And I would go in after it," said Pooh excitedly, "only very carefully so as not to hurt myself, and I would get to the Jar of Honey, and I should lick round the edges first of all, pretending that there wasn't any more, you know, and then I should walk away and think about it a little, and then I should come back and start licking in the middle of the jar, and then——"

"Yes, well never mind about that. There you would be, and there I should catch you. Now the first thing to think of is, What do Heffalumps like? I should think acorns, shouldn't you? We'll get a lot of——I say, wake up, Pooh!"

「そして、僕は中に入ってそこに行こうとするんだ」とプーは興奮して言いました。「怪我をしないように十分に気を付けてだけども。そしてはちみつの壺をっとって、まずは、その縁を舐めて、もう残っていないというふりをして、その場を離れちょっと考えてから、戻ってきて壺の中の舐め始めるんだ。そしてーー」

「うん、それはどうでもいいよ。そこに君は行くから僕が君を捕まえる。となると、最初に考えるべきことは、ヘファランプは何が好きなのかだね。どんぐりかと思うけど違うかな。たくさん採ってこないとねーー起きて、プー!」

Pooh, who had gone into a happy dream, woke up with a start, and said that Honey was a much more trappy thing than Haycorns. Piglet didn't think so; and they were just going to argue about it, when Piglet remembered that, if they put acorns in the Trap, he would have to find the acorns, but if they put honey, then Pooh would have to give up some of his own honey, so he said, "All right, honey then," just as Pooh remembered it too, and was going to say, "All right, haycorns."

"Honey," said Piglet to himself in a thoughtful way, as if it were now settled. "I'll dig the pit, while you go and get the honey."
"Very well," said Pooh, and he stumped off.

幸福な夢の中に入っていたプーは、目を覚まして、蜂蜜の方がドングリよりも罠としては良いだろうと言いました。けれども、ピグレットはそうは思いませんでした。そして、二人はそのことで口論しそうになりましが、ピグレットは、もしもドングリを罠に仕掛けれるならドングリを探さなければならないけど、蜂蜜ならばプーが持っているものを少し分けてもらえばよいことを思い出して、「わかった。じゃあ、蜂蜜にしよう」と言いました。プーもそのことを思い出して「わかった。ドングリにしよう」と言うところでした。

「蜂蜜だ」とピグレットは、思慮深く、あたかも話が決まったかのように言いました。
「僕が穴を掘るから、君は蜂蜜を取りに行ってくれるかい」
「いいとも」とプーが言い、とぼとぼ歩いていきました。

As soon as he got home, he went to the larder; and he stood on a chair, and took down a very large jar of honey from the top shelf. It had HUNNY written on it, but, just to make sure, he took off the paper cover and looked at it, and it looked just like honey. "But you never can tell," said Pooh. "I remember my uncle saying once that he had seen cheese just this colour." So he put his tongue in, and took a large lick. "Yes," he said, "it is. No doubt about that. And honey, I should say, right down to the bottom of the jar. Unless, of course," he said, "somebody put cheese in at the bottom just for a joke. Perhaps I had better go a little further ... just in case ... in case Heffalumps don't like cheese ... same as me.... Ah!" And he gave a deep sigh. "I was right. It is honey, right the way down."

家に戻るとすぐに、彼は食べ物置き場のところに行って、椅子の上に立って、もっとも上の棚からとても大きな蜂蜜の壺を下ろしました。壺には、「はちゅみつ」と書かれていましたが、確かめるために、紙の覆いをとって中に蜂蜜らしいのがあるのを見ました。「だけど、わからないさ」とプーは言いました。「そういえば、自分のおじさんは、いつだったか、ちょうどこれと同じ色のチーズを見たことがあると言ってた」それで、彼は、舌を入れて大きなひとなめをしました。「うん!」と彼は言いました。「これだ。間違いない。蜂蜜が壺の底にあるのさ。もちろん、」と彼は言いました「だれかが、悪ふざけで底にチーズを置いていなければだけど。多分、念のため、もう少しだけ・・ヘファランプが、自分のようにチーズが嫌いだったらいけないから・・あぁ!」そして、大きなため息をつきました。「間違いない。ここのあるのは、まさしく蜂蜜だ」

Having made certain of this, he took the jar back to Piglet, and Piglet looked up from the bottom of his Very Deep Pit, and said, "Got it?" and Pooh said, "Yes, but it isn't quite a full jar," and he threw it down to Piglet, and Piglet said, "No, it isn't! Is that all you've got left?" and Pooh said "Yes." Because it was. So Piglet put the jar at the bottom of the Pit, and climbed out, and they went off home together.

確かなことが分かったので、かれは、ピグレットのところに壺を持って行きました。ピグレットは、彼が掘った大きな穴の底から見上げて、「持ってきたかい」といいました。プーは「うん。だけど、壺いっぱいではない」と言いました。そして、ピグレットにそれを投げて渡しました。ピグレットは、「いっぱいではないね。これが君がもっている全部かい?」と聞きました。プーは、「そうだよ」と言いました。実際にそうでしたから。それで、ピグレットは、穴の底に壺を置きました。そして、よじ登ってきて、二人は家に帰りました。

"Well, good night, Pooh," said Piglet, when they had got to Pooh's house. "And we meet at six o'clock to-morrow morning by the Pine Trees, and see how many Heffalumps we've got in our Trap."

"Six o'clock, Piglet. And have you got any string?"
"No. Why do you want string?"
"To lead them home with."
"Oh! ... I think Heffalumps come if you whistle."
"Some do and some don't. You never can tell with Heffalumps. Well, good night!"
"Good night!"

And off Piglet trotted to his house TRESPASSERS W, while Pooh made his preparations for bed.

「さてと、おやすみ、プー」とピグレットはプーの家に着いたときに言いました。
「そして、明日は、朝の6時に松の木のところで会って、ヘファランプが何匹罠にかかっているか見ようね」
「6時にね、ピグレット。君はひもは待っているかい?」
「いいや。なんでひもが欲しいの?」
「ヘファランプを引っ張って家に連れてくるためさ」
「おぉ!・・たぶん、ヘファランプは口笛を吹けばついてくるんじゃないかな」
「そういうのも居るしそうじゃないのもね。ヘファランプのことはわからないよ。さてと、おやすみ!」
「おやすみ!」
そして、ピグレットは彼の「侵入禁治」の家にとぼとぼと歩いていき、プーは寝る支度をしたのでした。

Some hours later, just as the night was beginning to steal away, Pooh woke up suddenly with a sinking feeling. He had had that sinking feeling before, and he knew what it meant. He was hungry. So he went to the larder, and he stood on a chair and reached up to the top shelf, and found—nothing.

"That's funny," he thought. "I know I had a jar of honey there. A full jar, full of honey right up to the top, and it had HUNNY written on it, so that I should know it was honey. That's very funny." And then he began to wander up and down, wondering where it was and murmuring a murmur to himself. Like this:

It's very, very funny,
'Cos I know I had some honey;
'Cos it had a label on,
Saying HUNNY.
A goloptious full-up pot too,
And I don't know where it's got to,
No, I don't know where it's gone—
Well, it's funny.

数時間して夜が更けてきたころに、プーは、突然、気がめいって起き上がりました。かれは、以前も気がめいったことがあり、それがどういう意味かわかっていました。彼は、お腹がすいていたのです。それで、食べもの棚の方へ行き、椅子の上に立って最上段の棚を探しましたが、何もありませんでした。

「これは変だ」と彼は思いました。「ここに蜂蜜の壺があったことはしっている。縁までいっぱいだった。そして、「はちゅみつ」と書かれていた。だから、蜂蜜だと知ってたんだ。おかしいな」そして、それから、上へ下へとうろうろし、どこにいっちゃったんだろうとぶつぶつ言ったのです。こんな感じに。

とってもとても 不思議だな
ハチミツあると 知っていた
壺にはラベルが ハチュミツと
とってもおいしく 壺いっぱい
いったいどこに いったんだ
いったいどこに いったんだ
とってもとても 不思議だな

He had murmured this to himself three times in a singing sort of way, when suddenly he remembered. He had put it into the Cunning Trap to catch the Heffalump.

"Bother!" said Pooh. "It all comes of trying to be kind to Heffalumps." And he got back into bed.

But he couldn't sleep. The more he tried to sleep, the more he couldn't. He tried Counting Sheep, which is sometimes a good way of getting to sleep, and, as that was no good, he tried counting Heffalumps. And that was worse. Because every Heffalump that he counted was making straight for a pot of Pooh's honey, and eating it all. For some minutes he lay there miserably, but when the five hundred and eighty-seventh Heffalump was licking its jaws, and saying to itself, "Very good honey this, I don't know when I've tasted better," Pooh could bear it no longer. He jumped out of bed, he ran out of the house, and he ran straight to the Six Pine Trees.

プーは3回ほど歌うように独り言をつぶやきながら、突然、思い出したのです。プーは、ヘファランプを捕まえるために巧妙な罠の中に蜂蜜を入れたのでした。

「あらま」とプーは言いました。「ヘファランプに親切にしようとしたことからこうなったんだ」そして、ベッドに戻りました。

しかし、プーは眠れませんでした。寝ようとすればするほど寝られなくなりました。眠ろうとするときにときには、ヒツジの数を数えるのがよいやり方ですけど、それがうまくいかなかったのでヘファランプの数を数えてみました。そしたら、もっと眠れなくなりました。なぜなら、数えたヘファランプの皆がプーの蜂蜜にまっすぐに向かって食べ尽くしてしまうからです。数分間、惨めな思いで横になっていましたが、587匹目のヘファランプが壺をなめていて、「これはとてもよい蜂蜜だ。こんなもの食べたことがない」と独り言を言ったときに、プーはもう我慢できなくなりました。プーはベッドから飛び起き、家を走り出て、まっすぐに六本松のところに走っていきました。


The Sun was still in bed, but there was a lightness in the sky over the Hundred Acre Wood which seemed to show that it was waking up and would soon be kicking off the clothes. In the half-light the Pine Trees looked cold and lonely, and the Very Deep Pit seemed deeper than it was, and Pooh's jar of honey at the bottom was something mysterious, a shape and no more. But as he got nearer to it his nose told him that it was indeed honey, and his tongue came out and began to polish up his mouth, ready for it.

太陽はまだ眠っていましたけれども、百エーカーの森の上の空には薄明かりがあって、まもなく太陽が起き上がってきて寝間着(ねまき)を脱ぎ捨てるように見えました。東雲(しののめ)の明かりの中で、松の木は冷たく淋しく見えました。そして、とても深い穴は実際よりも深く見えて、プーの蜂蜜壺は、形だけがボーっと見えてどこか神秘的でした。しかし、壺に近づくにつれて、彼の鼻は確かにそれがハチミツがあるとプーに伝え、プーの舌が口からでてきて舐めまわし、準備万端となったのでした。


"Bother!" said Pooh, as he got his nose inside the jar. "A Heffalump has been eating it!" And then he thought a little and said, "Oh, no, I did. I forgot."
Indeed, he had eaten most of it. But there was a little left at the very bottom of the jar, and he pushed his head right in, and began to lick....

「なんと」と、壺の中に鼻を入れてプーは言いました。「ヘファランプが食べていたんだ!」そして、彼はちょっと考えて「んじゃない、自分がたべたんだ。忘れてた」
実のところ、プーはほとんど食べてしまっていたのでした。しかし、壺のずっと底の方にちょっとだけ残っていたので、プーは頭を入れて舐めようとしたのです・・・

By and by Piglet woke up. As soon as he woke he said to himself, "Oh!" Then he said bravely, "Yes," and then, still more bravely, "Quite so." But he didn't feel very brave, for the word which was really jiggeting about in his brain was "Heffalumps."

What was a Heffalump like?
Was it Fierce?
Did it come when you whistled? And how did it come?
Was it Fond of Pigs at all?
If it was Fond of Pigs, did it make any difference what sort of Pig?
Supposing it was Fierce with Pigs, would it make any difference if the Pig had a grandfather called TRESPASSERS WILLIAM?

やがてまもなくピグレットが目を覚ましました。起きるとすぐに「おぉ」と独り言を言いました。そして「そうだ」と勇敢に言いました。それから、もっと勇敢に「まったくもってそうだ」と言いました。しかし、彼はあまり勇敢には感じていませんでした。なぜなら、彼の頭の中でいったりきたりしている言葉は「ヘファランプ」だったからです。

ヘファランプはどういうものだろう?
獰猛(どうもう)なのかな?
口笛を吹いたらついてくるかな? そしてどうやってついてくるのかな?
ひょっとしてブタのこと好きかな?
もしもブタが好きだとして、ブタの種類で違うのかな?
もしもブタに対して獰猛だとすると、「侵入禁治」と呼ばれていたおじいちゃんがいるブタだったら違うのだろうか?

He didn't know the answer to any of these questions ... and he was going to see his first Heffalump in about an hour from now!
Of course Pooh would be with him, and it was much more Friendly with two. But suppose Heffalumps were Very Fierce with Pigs and Bears? Wouldn't it be better to pretend that he had a headache, and couldn't go up to the Six Pine Trees this morning? But then suppose that it was a very fine day, and there was no Heffalump in the trap, here he would be, in bed all the morning, simply wasting his time for nothing. What should he do?

ピグレットはこれらのどの問いの答えもしりませんでした・・そして、彼は、あと一時間かそこらでヘファランプを初めて見ることとなるのです!

もちろん、プーが一緒にいってくれるので、二人ならもっと友好的だろうと思うのでした。しかし、もしもヘファランプがブタとクマに対してとても獰猛(どうもう)だったら?頭痛がすると仮病をつかって、今日の朝は六本松に行くことができないと言った方がよいかな?でも、今日は良く晴れた日なのでヘファランプは罠には入っていないから、午前中はずっとベッドの中に居てなにもせずにいるのがいいのかな?

And then he had a Clever Idea. He would go up very quietly to the Six Pine Trees now, peep very cautiously into the Trap, and see if there was a Heffalump there. And if there was, he would go back to bed, and if there wasn't, he wouldn't.
So off he went. At first he thought that there wouldn't be a Heffalump in the Trap, and then he thought that there would, and as he got nearer he was sure that there would, because he could hear it heffalumping about it like anything.
"Oh, dear, oh, dear, oh, dear!" said Piglet to himself. And he wanted to run away. But somehow, having got so near, he felt that he must just see what a Heffalump was like. So he crept to the side of the Trap and looked in....

そして、ピグレットは賢いことを思いつきました。六本松に静かに行って、ヘファランプが居るか確かめるため注意して罠の中を覗き見るのはどうだろう。もしもいれば、家のベッドに戻り、そうじゃなけれそうしない。
なので、彼は出ていきました。最初は、罠にはヘファランプはいないだろうと思い、それから居るだろうと思い、罠に近づくにつれ居るに違いないと思いました。なぜなら、それらしきヘファランプの音が聞こえたからです。
「あれ、まぁ、あれ、まぁ、あれ、まぁ」とピグレットはつぶやきました。そして、逃げようと思いました。でも、彼はヘファランプがどんなものかとにかく見なければと思って、なんとか近くまで行きました。そして、罠の脇まで這っていき、中を覗くと・・・

And all the time Winnie-the-Pooh had been trying to get the honey-jar off his head. The more he shook it, the more tightly it stuck.

"Bother!" he said, inside the jar, and "Oh, help!" and, mostly, "Ow!" And he tried bumping it against things, but as he couldn't see what he was bumping it against, it didn't help him; and he tried to climb out of the Trap, but as he could see nothing but jar, and not much of that, he couldn't find his way. So at last he lifted up his head, jar and all, and made a loud, roaring noise of Sadness and Despair ... and it was at that moment that Piglet looked down.

そして、その間ずっと、くまのプーはハチミツ壺を頭から外そうとしていました。壺を振れば振るほどきつく嵌(はま)っていきました。

「おやまぁ」と壺の中でプーは言いました。「おぉ、助けて」そして、だいたいは「痛い!」と言っていました。そして、壺をあたりのものにぶつけてみましたが、そもそも何にぶつけているかがわからず役には立ちませんでした。それで、彼は、罠からよじ登って出ようとしましたが、壺しか見ることができなかったので、というかそれすらあまり見ることができなかったので、どこを登っていけばよいのかわかりませんでした。なので、ついに、彼は頭を上げて、つまり壺ごとあげて、悲しみと絶望で大きな叫び声を上げました・・そして、ちょうどそのとき、ピグレットが見下ろしたのです。

"Help, help!" cried Piglet, "a Heffalump, a Horrible Heffalump!" and he scampered off as hard as he could, still crying out, "Help, help, a Herrible Hoffalump! Hoff, Hoff, a Hellible Horralump! Holl, Holl, a Hoffable Hellerump!" And he didn't stop crying and scampering until he got to Christopher Robin's house.
"Whatever's the matter, Piglet?" said Christopher Robin, who was just getting up.
"Heff," said Piglet, breathing so hard that he could hardly speak, "a Heff—a Heff—a Heffalump."
"Where?"
"Up there," said Piglet, waving his paw.
"What did it look like?"
"Like—like——It had the biggest head you ever saw, Christopher Robin. A great enormous thing, like—like nothing. A huge big—well, like a—I don't know—like an enormous big nothing. Like a jar."
"Well," said Christopher Robin, putting on his shoes, "I shall go and look at it. Come on."

「助けて、助けて」とピグレットが叫びました。「ヘファランプだ。恐ろしいヘファランプだ!お、お、おっそろファランプ、オソロファンのヘレランプ!」
ピグレットは、叫ぶのが止まらず、クリストファー・ロビンの家まで慌てて走っていきました。
「いったいぜんたいどうしたんだい、ピグレット?」と、ちょうどベッドから起き上がろうとしていたクリストファー・ロビンが言いました。
「ヘフ」と、息を切らして声がなかなか出せずに、ピグレットが、「ヘフ、ヘフ、ヘファランプ」と言いました。
「どこに?」
「あそこ」とピグレットが、指を指すように振って言いました。
「どんなかんじなの?」
「えっと、えっと、いまま見たもので頭が一番大きかったよ。クリストファーロビン。ものすごく大きなものでーーたとえようがないんだ。とんでもなく大きくてーーなんというかーーとにかく巨大な、壺みたいな」
「ふーん」とクリストファー・ロビンが言って靴を履きました「行ってみてみよう。さあ、行こう」

Piglet wasn't afraid if he had Christopher Robin with him, so off they went....

"I can hear it, can't you?" said Piglet anxiously, as they got near.
"I can hear something," said Christopher Robin.
It was Pooh bumping his head against a tree-root he had found.
"There!" said Piglet. "Isn't it awful?" And he held on tight to Christopher Robin's hand.
Suddenly Christopher Robin began to laugh ... and he laughed ... and he laughed ... and he laughed. And while he was still laughing—Crash went the Heffalump's head against the tree-root, Smash went the jar, and out came Pooh's head again....

ピグレットはクリストファー・ロビンがいれば怖くはないので、二人で出かけました・・・

近づいてきたとき、「自分は聞こえたけど、聞こえるかい?」と不安げにピグレットが聞きました。
「なにか聞こえるよ」とクリストファー・ロビンが言いました。
それは、プーが、彼が見つけた木の根に頭をぶつけている音でした。
「そら!」とピグレットが言いました。「怖くない?」そして、クリストファー・ロビンの手をしっかりと握りました。
突然、クリストファー・ロビンは笑い出しました。・・・笑って笑って・・そして笑いました。まだ笑っていた時に、ヘファランプの頭が木の根にぶつかって、壺がぶつかって、プーの頭が出てきました。

fuy

Then Piglet saw what a Foolish Piglet he had been, and he was so ashamed of himself that he ran straight off home and went to bed with a headache. But Christopher Robin and Pooh went home to breakfast together.

"Oh, Bear!" said Christopher Robin. "How I do love you!"
"So do I," said Pooh.

そして、ピグレットが、自分がなんとおばかさんだったかがわかり、とても恥ずかしくなって自分の家に直行して、頭痛がして寝てしまいました。でも、クリストファー・ロビンとプーは一緒に朝食を食べに家に行きました。
「クマ坊」とクリストファー・ロビンは言いました「大好きだよ!」
「ぼくもさ」とプーが言いました。

(終わり)

参考文献

Project Gunterberg eBook

『英米児童文学ガイドーー作品と理論』、日本イギリス文化児童文学会編、研究者出版(2001)

『クマのプーさんの哲学(Phoo and the Philosophers)』、ジョン・T・ウィリアムズ、小田島雄志、小田島則子訳、河出書房新社(1996)

『『くまのプーさん』を英語で読みなおす』、ドミニク・チータム著、小林章夫訳、日本放送出版協会(2003)

"Finding Winnie--The True Story of the World's Most Famous Bear" by Lindsay Mattick, Illustrated by Sophie Blackall, Little Brown and Company, New York Boston (2015) (2016 The Caldecott Medal Winner)

 ”Winie the Pooh, The complete collection of stories and poems" A. A. Milne, With Illustrations by E. H. Shepard, Methuen

「クマのプーさん 原作と原画の世界」著者アンマリー・ビルクロウ エマロウズ、発行人 北原博、編集者 勝山俊光、引用翻訳 石井桃子、小田島雄志、早川敦子、日本語版監修、(公財)東京子ども図書館 阿部公子 翻訳:菅原まさ江、株式会社玄光社出版、協力 朝日新聞社、岩波書店、パピルス

『ウィニー・ザ・プー』A.A.ミルン、阿川佐和子訳、株式会社新潮社

『クリストファー・ロビンのうた』A.A.ミルン、小田島雄志、小田島若子訳、河出書房新社

『絵本 クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店

『プー横町にたった家』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?