蜷川幸雄演出「海辺のカフカ」(原作:村上春樹)を観てきました

蜷川幸雄演出「海辺のカフカ」(原作:村上春樹)をTBS赤坂ACTシアターで観てきました。

実はさっき知ったのですが、蜷川幸雄さんは3年前にお亡くなりになっています。ご存命ではない方が演出にクレジットされているのは、この舞台作品が再演だからです。初演時は欧州各国で上演され、今回パリから熱烈な再演オファーがあり、パリと東京で再演されたようです。

個人の鑑賞に作品のレベルは関係ないので、そういう観点ではない感想を述べると「人生で最高の舞台鑑賞」でした。カーテンコールであんなに泣いたのは初めて。

芸術の良い所であり、人生の良い所でもあるのは、人生経験を積むほど芸術が味わい深くなる点でしょう。

心の深い所の話をすると、末期的な燃え尽き症候群からはだいぶ回復してきていると思っています。ただ今回の観劇で気づいたのは、ある意味でこれから先の人生は「喪失からの再生」がテーマなのだということです。

先月、41歳の誕生日を迎えました。41年生きたということです。それだけの月日を生きれば、たぶん誰の人生にもぽっかり開いた穴がいくつもあるのだと思います。穴だらけといった方がむしろ正確かもしれません(笑)そして僕の人生も皆さんと同様に、ぽっかり開いた穴をいくつも抱えた人生です。
劇場からの帰り道は、その状態から少しでも「本来あったはずの自分」に、公私ともに近づけるように努力していくのがこれから先の人生なのかな、ということを考えていました。

蜷川幸雄さんは既にご存命ではないので、蜷川さんの演出作品を観れるのはもうこれが最後の機会かもしれません。まだ少しチケットが残っている日もあるようなので、気になる方はぜひとも劇場へ。3時間超の大作なので、軽くお腹を満たしてから行くことをオススメします。

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