境界領域には専門家には見えないたくさんの落とし穴がある。

『日本には「専門バカ」ということばがある。辞書には「ある限られた分野の事柄には精通しているが、それ以外の知識や社会的常識が欠けていること。また、その人」と解説されている。わたしはもっと広い意味で、自分の専門分野での常識がすべて正しいと思い、ほかの分野のことを考慮しないことというような意味としてこのことばをとらえている。日本では、このように感染症に限らず、経済的な問題でも、教育の分野でも、専門家に任せればいいという考えが蔓延している。しかし、他分野の人の意見や素朴な疑問をぶつけたほうが有意義なことも多いはずだ。経済政策の審議会で、わたしに限らず心理学者が呼ばれるという話は聞いたことはない。あるいは、テレビのさまざまな討論番組で、わたしが専門と思われている教育や老年医療の分野で呼ばれることはあっても、不況回復のようなメンタルの要因が強いと思われる分野でも、呼ばれたことは一度もない。~今回の新型コロナのケースでいえば、免疫学者と感染症学者と呼吸器内科学者と精神医学者というのが共同で研究して、患者の治療や精神的後遺症の予防も含めた総合的な対策を立てるという話は聞いたことがない。わたしの経験上、専門分野での地位が高いほど、自分の専門分野に関しては、他分野の人の話を聞こうとしなくなる。ビジネスエグゼクティブの人たちも、成功者ほど、自分の分野には口を挟まれたくないだろう。知らないうちに「専門バカ」体質になっていないかの自己チェックは、賢い人をバカにしないために重要なものだと信じる。』

若い頃から玄人がビビる素人という表現が気に入っていて専門バカにだけには成りたくないもんだと感じていた。大学も工学と芸術の融合と標榜するところで学び仕事は医学と工学の融合を主業とする会社で働いてきた。境界領域には専門家には見えないたくさんの落とし穴がある。

「外出自粛はすべてに優先する」という専門家を信じてはいけない
死亡原因は「重い肺炎」だけではない
https://president.jp/articles/-/34283

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?