だが、シロクロ付ける事がホントに正しいか?とも言いきれないのが今の世界情勢でもある。

『誤解というのは、双方が同じ価値観やルールを持っているにもかかわらず、相手がそれを理解していないという意味である。だが、今回のケースはそうではない。日本は明らかに欧米とは異なる価値観や制度を持っており、先方もそう理解しているので、誤解が生じているわけではないのだ。今回のケースでは(それが良いことかは別にして)「あなた方とわたしたちのルールは違うのだ」と主張しなければ本当のコミュニケーションは成立しない。~どうも日本人は、誤解が生じていることと、双方の認識や立場が違うことを峻別するのが難しい国民のようである。~こうしたスタンスと対照的なのが中華圏の国々である。中国政府はチベットやウイグルにおける反体制的な一部国民に対して拷問を行っているし、一般社会においても欧米でいうところの基本的人権はまったく守られていない。シンガポールも麻薬所持で死刑にしたり、むち打ちの刑が存在するなど、欧米の価値観に照らせば、確実に人権弾圧国家である。だが彼等は欧米各国に対して「誤解が生じている」とは決して言わない。「欧米と我々の文化や価値観は違う」「我々には我々の道徳がある」と明確に主張しており、欧米側と中華圏に違いが存在することをはっきり認識した上で自説を展開している。このため、中華圏の国々は、欧米から賛同、賞賛されることはないが、理解はされている。~実はこうしたケースは経済やビジネスの世界でも頻繁に起こっている。もっとも顕著なのは、コーポレートガバナンスの分野だろう。日本は見かけ上、欧米各国とほぼ同じ内容のビジネス関連法(会社法や金融商品取引法)を施行しているが、現実の制度運用は欧米とはまったく異なっている。日本では株主の権利が十分に保護されなかったり、重大な不正を行った経営者が刑事罰を受けないことも多い(それゆえにゴーン被告のケースが恣意的に映ってしまうという面がある)。~著名投資家のウォーレン・バフェット氏は、堅実な投資手法で有名だが、彼は日本市場には頑なに投資しない。バフェット氏は日本にもファンが多いので、日本人への一種のリップサービスからか、明確に理由は語っていないが、日本の社会制度に不信感を持っているのは明らかである。安倍晋三首相がいくら日本企業への投資を呼びかけても、日本に海外から資金が集まらないのは、日本では、欧米とは異なる価値観やルールが存在していると先方が認識しているからである。異なる制度を運用しているにもかかわらず、「わたしたちはあなた方と同じですよ」と説明し、その後、気に入らない事態が起こると一転して指弾するというのは、致命的な対立を生む可能性があり、非常に危険な行為だが、日本人にはその認識があまりない。~欧米流のガバナンス理論からすれば、まったく不可解な組織だが、彼等はこれを中国式であるとして、欧米とは違うのだと明確に主張している。欧米社会は、ファーウェイのことを不透明な企業とみなしているが、欧米とは異なるルールで運営されていることについては理解しているので、不用意な行き違いは生じていない。当然のことながら、そんな企業に投資したいと考える欧米投資家はいないし、中国側も求めていないだろう。日本企業の中には、ファーウェイに近い運営を行っているところも多いのだが、対外的には欧米のルールにしたがって経営していると実質的に虚偽の説明をし、海外から資金調達を行っているところも少なくない。こうしたコミュニケーションのあり方は、場合によっては、相手は騙されたと認識する可能性があり、極めて危険である。では、なぜ日本は諸外国に対して相手とは異なる制度を運用しておきながら、「仲間ですよ」「まったく同じルールですよ」「誤解があるだけです」といった説明をしてしまうのだろうか。一部の日本人は本当に欧米と日本は同じであると思っているのかもしれないが、多くは「仲間はずれにされたくない」「賞賛されたい」「笑顔で接して欲しい」といった、一種の承認欲求が無意識的に働いている可能性が高い。だが、冷酷な国際社会の現実を考えると、こうした無意識的な詐欺的行為ほど危険なものはない。~だが、日本には日本のやり方があるということならば、たとえ仲間はずれにされても、正々堂々と「日本と欧米は違う」と主張すべきだろう。先方に合わせることはしないが、仲間には入れて欲しいというのは、単なる子どものわがままであり、相手が抱く感情を考えると最悪の対応である。』

「戦後からの脱却」を本気でするなら「敗戦国であり占領国であった日本」からの脱却なので結局は「安全保障」をどうするか?がカギなのだ。それが解決できなければグレーのままである。だがシロクロ付ける事がホントに正しいか?とも言いきれないのが今の世界情勢でもある。

「日本は欧米と価値観を共有してる」その認識、ビジネスリスクの温床です
ゴーン事件で浮き彫りになったこと
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69940

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