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植物を育てるように、居場所をつくる。

地域おこし協力隊の任期も、残すところあと8ヶ月となりました。そろそろ総まとめに入る時期だなと思い、久しぶりに筆をとる。

この3年弱で私がしてきたことは、やはり「自分の居場所をつくる」ことに他ならなかったと思う。

これまでの歩み

2016年1月、会社を辞めて故郷・山梨県都留市にUターン。沢山の人の優しさに支えられ、(自分的には)存分にフラフラ。

2017年1月 東京住まいの旦那と結婚。都内で一緒に暮らすことも一瞬考えたけど、わたしは都留が好きで、まだやれることが沢山ある気がする、という謎の理由で二拠点週末婚生活開始。

2017年4月 入籍し東京に移していた住所を都留にふたたび戻し、地域おこし協力隊着任。古民家ゲストハウスあわ開業。

2018年2月 田舎フリーランス養成講座(いなフリ)を都留に誘致。12名前後の男女が日本全国から集まって1ヶ月間都留に滞在しWEBスキルを身につけたり、今後のキャリアを再考する機会を過ごす。

2018年7月 コワーキングコミュニティteraco.オープン。移住者と地域住民との出会いの場として、いなフリ以外にも数々のイベントを開催。

2018年11月 都留市内の空き家物件を購入、シェアハウス運営を開始(いなフリ卒業後都留に移住するメンバーが増えてきて、その人たちが住めるように物件を用意しました)

2019年1月 日本全国の観光・インバウンドを牽引する錚々たるメンバーの皆様にご一緒させていただき、イタリア・シチリア島での「アルベルゴ・ディフューゾ(まち全体を宿にする取り組み)」視察ツアーに参加。

※旅のレポートと主要メンバーの振り返りが掲載されています
雑誌『自遊人』2019年5月号(3/26発売) 「地域をデザインする。まちを楽しむホテル」

ここで、良い意味で「諦め」がつく。
私は宿屋がやりたいんじゃない、自分の居場所をつくりたいだけなんだ。

2019年4月 複業としていなフリ運営会社、(株)Ponnufにジョイン。都留コミュニティマネージャーを務める傍ら、いなフリ運営本部に所属し関連の新規事業の開発に着手。

2019年7月 シェアハウス「やどかりハウス」満室に。毎日のように皆でご飯を囲みコミュニケーションをとることが普通になっているこの状況は、「コミュニティが育っている」と言っていいんじゃないか…と自負している(笑)。

そんなわけで

2年とちょっと、たぶん日本全国の地域おこし協力隊の中でもトップクラスに動いて結果をつくってきた感がある。でもそれを別に自慢したいわけじゃなくて。単に、こういう奴もいるんだ、っていうことをひとりでも多くの人に知ってほしい。

なぜか。

地域おこし協力隊は、まず限られた3年間の任期の中で、何をしたら「結果がでている」とみなされるのかが明確に決まっていない。むしろそれすらも自分で定義していかないとならない、この世で最も難易度の高い仕事。正解のないところに、旗を打ち立ててかなくちゃならない。

そのサンプルのひとつとして、現在地域おこし協力隊で今後の展開に迷っている方や、これから地域おこし協力隊になろうかなと思っている方たちに、「なるほどこういうやり方もあるのか」とか「自分にはそれはムリだけどこれなら取り入れられそう」みたいな見方、使い方をしてもらえると、自分としてはすごく甲斐があるなあと思ったりなどした。

わたしは、3年目終わってもこのまま都留で生きていきます。残された任期8ヶ月間は、引き続きこのコミュニティを育て(というか一緒に育ち)ながら、もうちょっと広い範囲に、種を落としていく8ヶ月間にしたいなぁ。

これから

「風の人」「土の人」なんて表現もあるけれど、わたしは「樹」のようにいたいなぁって最近思うようになった。

この地に根を張り、枝を伸ばし
春には小鳥たちが止まってさえずる場になり
夏には木陰をつくり動物たちを憩わせ
秋には実りや紅葉でまわりを楽しませ
冬には葉を落として土を豊かにする

その時々に必要とされることを、無理のない範囲でやる。
消費し、生産する、健全な循環のなかにいる。

わたしの座右の書でもあるこの本を読んでいて思いついたこと。

もう何度も何度も読み返しているけど、その時々の自分の状態によって響く箇所が変わるから手放せない。わたしにとっての「居場所づくりの教科書」だと勝手に思ってます。

来週はコミュニティの教室で影山さんの講義。胡桃堂喫茶店まだ行ったことなかったから行けるのすごく楽しみ!

植物を育てるように、居場所をつくる

この3年弱で私がしてきたことは「自分の居場所をつくる」こと。

仕事に対して対価を請求するし、一緒にやる人を選ぶし、一見エゴにまみれているようで、こんなのが地域おこしと言えるのだろうか?と自分を疑うようなこともあったりしたけれど。

本当のところ「コミュニティ」ってなんなんだろう?自分はこれからこの町をどうしていきたいんだろう?なんて頭でっかちに考え込んだりしてた時期もあったりしたけれど。

これらは全部、例えば自動車を組み立てる時みたいな、エンジニアリングっぽい考え方。

ビジネスの現場では機能するのかもしれないけど、わたしが今扱っているのは「暮らし」そのものだから。遅かれ早かれこの思考プロセスでは立ち行かなくなる時が来ると思う。

シンプルに、自分の足元の「いしょくじゅう」(ここでは「居場所・職・住居」の意)が整っていて、仲間とごはんを囲んで笑いあっていられたらもう十分なんだ、ということをとくに最近ひしひしと感じている。私のしたかったことはこれで、作りたかった結果もこれだ。今も、そしてこれからも。だって人間だもの。生き物だもの。同じ生き物である植物のように、足元にしっかり根をはって、枝を伸ばしていけたらいいな。


変に肩肘張って「町のために!」とかがんばりすぎずに、自分にも、他者に対しても、できないことはできない、やりたくないことはやりたくない、と正直に言えるようになったことが結果的に良かったと思う。

とはいえ、この境地に至るまで3年かかったし、それ以上の密度で紆余曲折してきたし、たくさんの人たちにお世話になったから、どうにか残りの任期8ヶ月はその恩返し・恩送りとして使いたいな。

いよいよ、次にバトンをつないでいくための種をまいていく時期に差し掛かったのだと思う。

そんなわけで、お近くの方はもちろんのこと、遠方でまだお会いしたことのない方などでも。

もしこの文章を読んで、もっと詳しく話を聞きたい、と思っていただけたりしたら、気軽に連絡をもらえると嬉しいです。

他地域に出張したり、講演をさせてもらったりするのは年内でいったんストップしたいと思っています。今年のうちに、よい出会いがたくさんあると良いなぁ。という訳で、お気軽にお声がけください。


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