転職、独立、そして離婚-5-

僕:「俺、会社辞めるわ。」

不動業界に飛び込み、1年を少し過ぎた頃だった。

自衛隊退職時にもらった退職金(多くないが)は全て使い切り、お金に余裕なんてなかった。

1年目それなりに仲介はしたが(前話参照)、年収は自衛隊時代と変わらないくらいだった。

正直1社目に年収は求めていなかったからこの時は何とも思わなかったし、人脈と経験と知識が付けばなんでもいいと思っていた。

お金に余裕はなかったが、不思議と次なる行動への不安もなかった。


僕:「俺、会社辞めるわ。」

妻:「はいはい、もう好きにして下さい。」

不思議な気持ちだった。妻からの返事は嬉しいのか寂しいのかよくわからなかった。でも自衛隊を辞める時同様、僕の気持ちはもう「独立」へと突っ走っていたので、この時は特に気に留めることもしなかった。

まだまだだ、もっと稼いで妻にも楽をさせてあげたい、良い生活を送らせてあげたい、俺と結婚してよかったって思ってもらうんだ。待ってろよ。僕は自分で勝手にそう思い込んでいたし結果を出せば妻も必ず理解してくれると信じていた。

でも妻が望んでいることはそこでなないこと、そして自分の走り出したレースにゴールがないことにも、この時まだ気づいていなかった。


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