転職、独立、そして離婚ー最終話ー


妻の”無理”という言葉の真意を知った僕は、

君の出す答えに反対はしないよ。

と伝えた。


お互い”離婚”という二文字を使うことは決してなかった。

それは9年間の結婚生活の中で一度もだ。


でも、

それは思いもよらない形でやってきた。


僕の伝えた言葉で一気に肩の荷が下りたかのように

妻は僕にこう言った。

「これからは、お互いの人生歩むのもいいんじゃないかな。」

聞きたくなかったけど、

想像していた通りの答えだった。


”離婚”という言葉をついに最後まで使わなかった

妻のそんな言葉に優しさを感じた。


でも妻の言葉を聞いた瞬間、

一気に今までの思い出が、

9年間という結婚生活の出来事が、

頭の中を駆け巡った。


予想はしていたことだが、

実際にその場面に直面すると

これは想像以上のダメージがあった。


どのくらいの時間その思い出に浸っていたかはわからない。

しばらく目を閉じていたと思う。

この時の感情というか時間は、

空白で上手く思い出せない。


そして僕が必死に出した言葉は、


「わかったよ。。。。

たくさん無理させて悪かったな。。。。

今まで、本当にありがとう。」

だった。


それに対して妻は、

「こちらこそ、今までありがとう。」

って。。

泣けるわ。。


不思議と怒りとかそういった感情は全くなかった。

そこにあった感情は、

”感謝”

本当にそれだけだった。


21歳という若さで結婚してなかったら、

今の僕はいなかった。


子供を授かっていなかったら、

今の僕はいなかった。


愛する家族という宝物を持てたから、

今の僕がいる。


もしその若さで結婚を決断していなかったら、

もし子供を授かっていなかったら、

もっと軽い気持ちで自衛隊を辞めて

今頃どこかでプラプラしていたかもしれない。


その家族が

僕の、すぐ前のめりになる性格と感情に

優しいブレーキをかけてくれていたから、

本当に強い決意を持つまで自衛隊生活を続けることができた。

そのブレーキが丁度よかったのだ。


そして、

家族という強いアクセルがあったから、

短期間で僕はここまでこれた。


今でもこの話をすると、

他に男いたんじゃないの?

とか外野からは色々言われることもあるけど、

そんなことどうでも良いと思っている。


少なくとも僕は世界で一番妻のことを知っているつもりだし、

世界で一番妻のことを信じているから。


世間ではよく

結婚生活が上手くいかなかったら

仕事も上手くいかないって言うだろ?

あれ違うんだよ、

なんか違ったんだよ、僕の場合。

妻とこのやり取りをしていた月、

単月で過去最高粗利を出した月だった。

仲介手数料で、

単月3000万円。

決済本数は3本だったかな。

笑ったよね。

不思議だなって。

なんなんだって。


ちなみにこの月、

体重3キロ落ちたよね。


100キロからのマイナス3キロじゃないぜ?

49キロ台からのマイナス3キロだぜ?

これはね、

引いたね(笑)


妻とのやり取りは抜粋して書いたので、

「そりゃねーだろー」

とか

「まじありえんわー」

とか

辛いご意見は辞めてください。


しっかり受け止めるタイプの人間なので、

それ言われたら、

地蔵になります。



妻:「いつまでも、子供達のパパでいてあげてください。」

僕:「なに言ってんだよ。当たり前だろ。」


こうして

僕らの結婚生活は

10年目にして

終わりを迎えた。


今でも月に一度は子供達に会い、

元気をもらっている。


この関係は、いつまでも変わらない。

パパはずーっと、

パパだからね。



結婚って僕はすごくいいものだと思う。


子供って死ぬほど可愛いんだぜ?


初めてパパって呼ばれてみ?


手を広げたら、

笑顔で走って抱き着いてくる子供持ってみ?


愛してる人に、

忙しい生活の中、

いつもありがとうね♡

って言われてみ?


あー、

幸せってことは

こういう時に使うんだ

って思うからさ。


結婚生活を通して、

人を愛するということがわかった気がする。


この人、この子の為なら死んでもいいって感情って

こーゆーことかってわかった気がする。


人に尽くすということがわかった気がする。


優しさってどういうものかわかった気がする。


そして、幸せってことが

どんなことなのか

わかった気がする。


僕は多くのことを学び、

経験し、

ちょっぴり大きい人間になれた気がする。


今日も頑張るね!

少し曇った朝の空を見上げ、こうつぶやき、

愛する”会社”という家族の元へ今日も元気に向かう。


ー完ー






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