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札幌最後の夜に長男がご馳走してくれた油淋鶏

帰省したこの週末、札幌は人でごった返していた。一つはYOSAKOIソーラン祭。もはや札幌市民のお祭りではなく、YOSAKOI好きが道内外から集まる札幌に住む一般市民不在のマニアイベントと化した祭りとは呼べないイベント。もはや、どのチームが優勝しようが入賞しようが知ったことではないのだが、通常開催に戻った今年、ついに道外チームが優勝したとの報道。オリンピックやワールドカップのように、ゆくゆくは毎年会場を変えて開催するようになっても、札幌市民にはなんの感慨もないであろう。ただ、やはりこの時期は道内外から踊り手が集まるため観光市場への経済波及効果は高い。ホテルはどこも満席で、価格も素泊まりでも2万円をざらに超えるほど、吊り上がっていた。

それに加えて、プロ野球の交流戦である。日本ハムの対戦相手は阪神タイガース。この週末は熱すぎる阪神ファンが大挙して押し寄せてきていた。金曜の夜23時頃に札幌駅付近から帰路につこうとした私は札幌駅地下鉄の構内で、縦縞のレプリカユニフォーム集団と遭遇した。彼らのテンションで、その日の試合結果はすぐに分かった。

その2つのイベントとは無関係でありながら、まったく同日程3日間で帰省した私であったが、日曜の夕方以降は時間がとれたので、札幌市内で一人暮らしをしている長男を誘って妻と3人で食事に行くことにした。

今年のゴールデンウィークは、長男と次男と妻が3人で食事に行ったというが、この時に選択肢にあがりつつ結局行かなかった四川系の大衆中華食堂に、今回は行くことになった。

社会人になって3年目の長男。大学を1年で辞めて仮想通貨にハマって1年、その後、家に引き篭もると弟たちに悪影響だからということもあり、話し合いの末、私の実家苫小牧で祖父母が細々と営むオンボロアパートの空室で一年半暮らした。この苫小牧での一年半、私の両親が長男に、どのような魔法をかけたのかわからない。彼が良い出会いに恵まれたのかも知れないし、たまたま気づきがあったのかも知れない。いづれの理由にせよ、長男はこの一年で大きく成長した。

大学中退、つまり高卒でありながら、ローカルでは最大のメディアグループの一員になるチャンスを掴み、半年の試用を経て、彼の同年代が大学を卒業するとほぼ同じタイミングで正社員になった。彼が能力の高い人間がどうかはわからない。本人なりに頑張ったのはわかる。だが、私たち一家は、何だかんだと守られているのだと思うのだ。毎年、墓参りは欠かさない。

一丁前にその長男が、三人分の料理代を支払ってくれた。長男には、ごちそうさまを伝え、ご先祖さまには、心の中でありがとうを伝えた。

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