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転勤とは縁のなかった私の人生。50歳を過ぎて会社員生活も終盤に入り、このまま静かに社会…

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転勤とは縁のなかった私の人生。50歳を過ぎて会社員生活も終盤に入り、このまま静かに社会からフェードアウトしていくものとばかり思っていた。ところが、会社は何を考えているのか、昨年末、老耄の私に東京異動の辞令を出してきた。体力も気力も衰えている初老男の初めての東京暮らし。

最近の記事

2分咲きの恩賜公園にて

満開でも、週末でもないのに、上野公園には人がごった返している。その敷地内のカフェに今僕はいる。送別会まで少し時間を持て余した僕は半年以上も放置していたnoteを開いている。約一年、一つ屋根の下で暮らした末っ子が、先週、札幌に帰った。それからこの1週間というもの、1日も欠かすことなく飲みに出かけている。池袋、赤羽、駒込、新橋、そして今日は上野。 18歳の男子が1年間だが父親と暮らすのは、とてもストレスの溜まることだったろう。受験勉強はマラソンのようなもので、精神的持久力が試さ

    • 「パワハラ視」「老害視」怖い。

      思うことはある。たくさんある。しかし、思うと同時には、簡単に口から出力できないのが現代日本。思ったら一旦、飲み込んで自分の頭の中で検証する。「これは言っていいことなのか、どういう言葉に変換すれば伝わるのか、あるいは、そもそもそう思ってしまう自分が"いま"にそぐわない思考の持ち主なのか。」 会社で起こる世代間ギャップで散見されるのは、「努力を厭わないモーレツ社員が好ましい」高齢層と「勤務時間内でしっかり仕事をこなす社員が好ましい」若い層との深い断層。働き方改革以降、マネジメン

      • ボーナス後、それぞれの卒業。

        安部公房の砂の女はとても印象的な作品で、高校生の時に初めて読んだが、それ以降、何度もこの主人公の気持ちを想像することがあり、いまだに、ある特定の場面で、同じように主人公の気持ちを考えるのだ。 ざっくりあらすじをいうと、ある中学教師が、昆虫採集に行き、蟻地獄のような脱出不可能な砂の穴の中で,ひとりの寡婦との生活をしいられる、というストーリー。砂を掻き出すという、極めて単純な作業の日常から、逃れることができなくなる男の話だった。 有望な若い人や、才能に溢れた人が、会社を去って

        • 帰宅すると出来上がっている料理

          平日のルーティンとして、当初の設定では、私が20時前に帰宅し料理を作り、21時前に帰宅する息子の夕飯時に合わせて完成した料理を一緒に食べるという予定だった。ところが、予備校の自習室で20時過ぎまで勉強していたのは最初の1ヶ月程度で、引っ越してからの今の家の居心地がいいのか、18時前には帰宅するようになったようで、私はといえば、逆に20時過ぎの帰宅が多く、私が家に着くと、息子が料理を作ってくれることが最近増えつつある。そして、その機会が増えたことで、息子の料理の腕が徐々に上がっ

        2分咲きの恩賜公園にて

          少年マンガのヒーローと比ぶれば

          モテ期と言うものは存在する、と私は思う。私たちの住む世界では、世代毎にモテるヤツの傾向が異なる。男の場合、幼稚園の頃は優しい男の子がモテる。小学生になると、面白い子やスポーツマンがモテる。中学生や高校生になるとカッコいい男がモテる。そして徐々に頭のいい男がモテるようになるが、大人になると、金持ちであることが、モテるための必要条件になってくる。歳を重ねる毎に、男を好きになる女の動機は不純になっていく。1番純粋で、まっすぐに人そのものを見て判断できるのは幼稚園以下の小さな子どもと

          少年マンガのヒーローと比ぶれば

          札幌最後の夜に長男がご馳走してくれた油淋鶏

          帰省したこの週末、札幌は人でごった返していた。一つはYOSAKOIソーラン祭。もはや札幌市民のお祭りではなく、YOSAKOI好きが道内外から集まる札幌に住む一般市民不在のマニアイベントと化した祭りとは呼べないイベント。もはや、どのチームが優勝しようが入賞しようが知ったことではないのだが、通常開催に戻った今年、ついに道外チームが優勝したとの報道。オリンピックやワールドカップのように、ゆくゆくは毎年会場を変えて開催するようになっても、札幌市民にはなんの感慨もないであろう。ただ、や

          札幌最後の夜に長男がご馳走してくれた油淋鶏

          梅雨を逃れ、3ヶ月ぶりの札幌帰省

          本日、3泊4日で札幌に帰る。 3月上旬、まだ札幌は雪に覆われていた。帰省するのは、この時以来、約3ヶ月ぶりである。札幌は3月上旬から約1ヶ月にわたる三寒四温を経て完全な雪解けとなる。4月にも何度か雪は降るが、それは真冬の東京に降る雪のように一晩経てば地上から消えてなくなる。雪が消えることで札幌人は春を実感する。待ち遠しかった札幌の春は一年で一番前向きな気持ちになれる季節。雪の降らない町に住む人と比べると、春のリセット感は際立っている。 毎年ゴールデンウィークになると、自宅の

          梅雨を逃れ、3ヶ月ぶりの札幌帰省

          18歳の息子との向き合い方②

          二人暮らしを始めたのは4月6日。今の1LDKの部屋に引っ越すまで1ヶ月余りは6畳1ルームに二人で暮らしていた。私は一向に構わないのだが、息子は流石にプラベートの時間も空間も欲しいに違いない。そう思ってはいたが、息子も私同様、さほどには気にしていなかったようで、1ルームの中での別行動にストレスを感じることなく、1ヶ月が過ぎた。 1月に単身赴任がスタートした時の私は、寝袋で眠っていたが、さすがに50歳過ぎたおっさんのミノムシ生活は疲労の蓄積が尋常ではなかった。2週間ほどしてから足

          18歳の息子との向き合い方②

          18歳の息子との向き合い方①

          子どもも三人目ともなると、私も妻も「子育て」に対して楽観的な見方をする。抑えるべきツボ、と言うよりも抑えなくとも良いことがたくさん見えてくる。必然的に放任になるし、怒ることもなくなる。叱るべき時には、勝手に兄たちが叱っている。私は、今まで一度たりともこの三男坊を叱ったことがない。長男と次男からは、「甘やかし過ぎだ」と逆に私が叱責を受ける。それでも叱る必要がないと思うので私は叱らない。思いやりのある優しい人間に育っているから、いいだろう、と思いつつ、厳しさや強さに欠けるのは少し

          18歳の息子との向き合い方①

          コンクリートジャングルは何処

          東京に住んで半年になろうとしている。王子にあった仮住まいの部屋も5月の半ばに引っ越して、埼玉県との県境に限りなく近い自然豊かな池のそばに1LDKの部屋を借りて住んでいる。家を出て20秒ほどで緑豊かな公園があり、さらに3分ほど歩いて土手の階段を登り切ると、ただっぴろい河川敷の緑が広がる。私はこの土手伝いに、毎朝毎夕自転車を走らせる。片道約5kmの通勤ルートのおよそ半分は荒川の向こうに広がる埼玉県の建物を臨みながら、気持ちよく自転車を走らせる。 私が東京にイメージしていたものは

          コンクリートジャングルは何処

          仮暮らしのシゲッティ

          長年暮らした札幌の家を発ったのは、今年の正月、2日の昼だった。一人暮らしのための住まい探しも、いい加減で、下見などせず、オンラインの部屋探しで即決していた。即決してしまった部屋のある東京都北区の王子界隈など私は初めて訪れるし、一人暮らし自体が四半世紀ぶりだったこともあり、ネガティブな気持ちが先行した。 20代であれば、不安を払拭するほどの期待感や高揚感で、前向きに状況を楽しむことができるのだろうが、53歳の禿げたオッサンにとって正月の引越しも、都会での単身赴任も、ストレスでし

          仮暮らしのシゲッティ

          「3歳の頃の息子」その記憶を引きずり、いまだに甘いままの父親がいる。

           この写真を撮った日から15年が経った。男ばかりの三人兄弟の末っ子は、今年18歳。3月に高校を卒業した。第一志望の大学には合格できず、少し悩んだ結果、浪人することを決めた。 「東京に行きたい、東京の予備校に通って浪人したい。」とLINEが届いた。私はすぐに返信をした。「いいけど、まずは母さんを説得してくれ。」 東京で単身赴任中の私にとっては朗報だったのだ。

          「3歳の頃の息子」その記憶を引きずり、いまだに甘いままの父親がいる。