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この映画が好きな理由

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長く生きていると、鑑賞した映画作品も数千本レベルになってくると思うのだけど、しっかり覚えている映画って、せいぜい200本くらいじゃないだろうか。最新作や話題作ももちろん観るけれど…
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パーフェクトデイズ

昨年末から年初にかけて、映画好きの範疇を超えて広く話題になったこの映画を今さら語るのは憚られる。でも「好きな映画は何?」と映画好きな人に訊かれると、50%以上の確率で「ベルリン天使の詩」と答えて来た私にとって、ヴィム・ベンダース監督の作品は特別なのだ。ヴェンダースの「都会のアリス」「パリ・テキサス」そして「ベルリン」はどれも印象的で、その中でも特に小津安二郎の影響を強く受けていると勝手に私が思っている「ベルリン」は、学生時代、レンタルビデオをダビングしたVHSテープが擦り切れ

ストップ メイキング センス

今年の2月、東京で病み、休職させてもらったおかげで時間を持て余していた私は、何度も池袋の映画館に足を運んだ。この期間に観た作品は、いちいち自分の心に刺さったのだが、この作品は逆に刺さった棘を抜いてくれて空っぽにしてくれたように感じ、ありがたかった。40年前のライブ映像を4K仕様にレストアした作品だが、IMAXの迫力画面と迫力音響、そしてこのバンドのメンバー、特にフロントマンのデビッド・バーンと、ベースのティナ・ウェイマスのカッコよさに痺れた。 1983年のライブ。当時13歳

はじめに。私にとっての良い映画

今の世の中は、公開された映画の多くがデジタルアーカイブされている上に、人気タイトルともなれば1,000以上にも及ぶ大量のレビューを読むこともできる。そのレビューはもちろん玉石混交で、参考になるもの参考にならないものの判断もまたその「参考になる」の数で可能となる。映画に限らず、すべてのデジタルコンテンツはこの評価システムで評価されてしまう。つまり「多数決」で良し悪しが決まってしまう、かのように思えてしまうのだ。 この多数決評価方式では、日本人がバカであったと仮定すれば、当然、