今年のスギ花粉の飛散量について 外来での印象との乖離はなぜ生じたか?
今年の花粉飛散量はそれほどでもなかった?
今日はコロナではなくて花粉の話です。東京都のスギ花粉飛散量は今年は前年度の1.2倍、平均と比べると少なかったようです。しかしながら、アレルギー外来での実感はかなり異なっていて、症状の強い方や、低年齢でデビューした方が多かったように思いました。これはどういうことなんでしょうか。
東京都北区の花粉飛散数 - 今年とここ7年の平均数との比較
最初の図を見てください。東京都北区の2022年度の花粉飛散量をここ7年の平均と比べたものです。花粉の飛散期間が平均より短かかった一方で、花粉飛散量が多い日がそれなりにあったのがわかります。今年は短期集中だったようです。
今年の花粉飛散は短期集中? - 2021年、2020年、2018年と比べてみると?
次の図を見てください。左の上と下の図は、2022年の花粉飛散量を、それぞれ2021年、2020年と比べたものです。今年は3月の第二週から3月末にかけて集中的に飛散しています。また、昨年、一昨年より、飛散が後ろにずれました。去年、一昨年と少なくて比較的楽だったために症状を強いと感じたと言うこともあるんですが、私は主にこの集中飛散によって、症状が強くなった、あるいは症状が強いと感じたのではないかと考えています。これは、2月の気温がずっと低かったこと、そのあと一気に気温が上昇したことによると思われます。
右の上の図のように多かった2018年と比べてみても、2022年は、比較的短い期間に多数の花粉が飛散したことがわかります。右下の図は、花粉飛散数が、100から200だった日数、200から300だった日数、300以上だった日数を棒グラフにしています。参考にしてください。これらのグラフに、さらに気温、天気、風速などを足すともっと面白いデータになるかもしれませんね。スギの飛散が後ろにずれたために、ヒノキの飛散時期が重なってすぐやってきたのも症状が強かった理由のひとつかもしれません・・・てことは、ヒノキのグラフと合わせると、でもヒノキの感作がない人もいるから・・・キリがないですね。科学的分析というのはやりだすと終わりがありません。
このようにちょっと分析するだけでいろんなことがわかります。コロナも同じですね。新規陽性者数だけではなく、そこにひと手間をかけて解析を加えれば、はるかに多くのことがわかります。
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