見出し画像

東野圭吾の2大作品「白夜行」と「幻夜」を比較してみる


みなさんは東野圭吾の作品を読んだことがありますか?
私は有名どころをちょくちょく読む程度なのですが、タイトルに挙げた2作品を最近読み、とても面白かったのでそれぞれ比較してみようと思います。

※※ネタバレ要素が多いので知りたくない人はブラウザバックでお願いします※※


①主人公男女の会話が明記されているかどうか
 まず一番の大きな違いはここだと思います。白夜行では桐原亮司と唐沢雪穂、幻夜では水原雅也と新海美冬という主人公格の男女が登場し、どちらの作品でもこの2人が密接に関わることで物語が動いていきます。
 白夜行の特徴としてはその関わりが全く文章化されていないという点があげられます。2人の会話をあえて文章化せず、代わりに刑事側や被害者側の言動に焦点を当てることで、読者側に2人の関係を想像させるというギミックになっています。個人的にはこの仕掛けがめちゃめちゃ面白いなと思いました。
 一方で幻夜では2人の会話がかなり細かく文章化されています。そして終盤に入って2人の関係に齟齬があることに水原が気付き、絶望するシーンが生々しく、またエンタメ性が高いなと個人的に思いました。

②ヒロインの行動原理が明らかになっているか
 白夜行、幻夜共にヒロインが犯罪に手を染めることになるのですが(ネタバレすみません)、幻夜ではその行動原理が最後まで明らかになることはありませんでした。
 白夜行では最後の場面で唐沢雪穂の幼少期の原点となる出来事が明記されており、それこそが物語の真髄となっています。
 一方で幻夜は何が新海美冬の行動を駆り立てているのかが明記されずに物語が終わっています。しかし終盤に入ると新海冬美が「美」に対して異常な執着があることが明らかになります。ここまでは分かったのですが、なぜ彼女は美に対して拘るようになったのか…そのきっかけについては読者の想像に任せるような形になっています。

以上2点をあげてみました。他にも色々語りたいことがあるのですが、とにかく2作品ともとても面白いので是非読んでみてください!