ぼくのゲイ遍歴を振り返る

 ぼくはゲイである。彼女はいるけどゲイである。なぜぼくがゲイなのに女性と付き合っているのか、事情を話すと長くなるのでここでは省略するが、興味があって仕方ないひとはこのnoteの過去記事を漁ってください。……まあ、女性と知り合って、その女性と付き合って、別れずにいると、ゲイでも異性と交際2年4か月(!)を迎えられるのである。

 ただ、ゲイである以上、ぼくの性的関心はあくまでも男性に向いている。それではここで、2021年に大学に入学して以降のぼくのゲイ遍歴(?)を振り返ってみよう!(誰得とか言わない)

 まず、1年生の時は何もなかった(出オチ)。これは当時オンライン授業が多かったから……というよりも、学科やゼミや茶道部や放送研究会の同期・先輩にぼくのお眼鏡にかなう男子がいなかったからである。七尾さんはぼくの敬愛する先輩だが、恋愛や性交渉の対象ではない。それは香川(学科の友人)や宮田(放送研究会の同期)も同様である。頭をフル稼働させて脳内検索してみても、ヤってもいいかなと思う相手は戸部(茶道部の同期)ぐらいなものだ。もっとも、戸部はノンケなのでこの仮定に意味はない。あと、勝手に「ヤってもいい」とか上から目線で言っちゃって戸部ごめん。

 2年生になると、ぼくはゲイの友達を作りたくてアプリを始めた。他大学の同学年の上野くんと知り合って、4月の中旬にリアルで会った。ぼく的にはそんな予定じゃなかったが、会った当日にセックスした。これがぼくの初体験である。上野くんとはその後も会ってセックスして、少し好きになりかけたけど、3回目に会った時に上野くんから「実は彼氏ができたんだ」と告げられたので、ぼくは芽生えかけていた感情をサッと引っ込めた。

 2年生の時は、放送研究会に新しく入ってきた後輩の岩下のことを好きになりかけた時期もあったなあ。ただ、それ以前に彼女ができたのでぼくはそれどころじゃなかった。「ゲイなのにノンケのふりをして生きる(異性間セックス含む)」という激難ミッションをこなさないといけなくなったんだから、恋愛なんてしている暇はありませんよ……

 それに、たぶんだけど、別にぼくは恋愛しないなら恋愛しないでも生きていける人間なんだよな。同性とのセックスだって「ヤりたい! ヤりたい!」といつも思っているわけじゃないし。まあ、性欲は普通にあるのでゲイ向けの動画配信サイトを利用してはいますけどね。先日もMen's Rush.tvで一本購入しました(検索してはいけない)

 話を戻す。2023年4月、ぼくは3年生になった。この年に放送研究会に入ってきた1年生はイケメンが多かったが、その中でも深田は別格だった。「高身長」「爽やか」「イケメン」というぼくの理想の三条件を完全に満たしている。しかも笑顔が優しげ。思いやりがあって誠実そう。恐竜で喩えるならブロントサウルス。ぼくは恋に落ちた。本格的に恋に落ちた。大学に入って初めて自覚した本格的な恋愛感情だった。

 この年の夏休み、ぼくは深田と二人きりでデートに出かけた(訂正:デートではない。他大学の番組発表会への見学に行ったのがぼくと深田の二人だけだったってだけ)。ぼくは深田のことをどんどん好きになっていって、由梨(彼女)と一緒にいる時も深田のことを考えるようになっていって、このnoteでもその想いを大いにぶちまけていって、ぼくの日々の生活は深田への片想いなくして成り立たないようになっていった。

 ただ、その後、現実にはぼくと深田は放送研究会内でほとんど絡むことがなかった。ぼくが脚本・演出した音声ドラマで深田にミキサーをやってもらったことが一度あったけど、共同作業をしたのはその程度で、そのままぼくは引退の時期を迎えた。

 去年の12月、深田は関口(深田の同期)と共同で放送研究会の新しい副部長に選ばれた。ぼくは仲間の連中と新しくインカレの放送サークルを立ち上げた。今年の初夏に深田と関口は一緒にうちのサークルの番組発表会を見に来てくれたが、逆に言うと、今年に入ってからぼくと深田のリアルでの接点はそれぐらいしかない。

 なぜぼくがいまこんな話をしているのかというと、いま、ぼくは深田のことがそんなに好きじゃなくなっているからだ。去年、ぼくはあんなに深田のことを好きだったはずなのに。大好きだったはずなのに。深田のこと好きすぎてヤバいから由梨に「実はぼくはゲイなんだ。後輩の男子が好きなんだ」と真実を告げて別れるべきかどうか悩んでいたほどなのに。

 どうしてだ。どうしてぼくは深田のことをそんなに好きじゃなくなっちゃったんだ。ずっと会っていないからか。会っていない時間が長いから気持ちが薄れたのか。それはそうだろう。じゃあ、どうしてぼくは深田と会おうとしなかったんだ。会う理由がないというのはその通りだが、口実なんていくらでもでっち上げられる。誰かの誕生日会とか、何かのお祝いとか、単に「飲みに行こう」でもいいじゃないか。どうしてぼくは深田を誘わなかったんだ。誘おうとしなかったんだ。

 まあ、結局は、ぼくは深田を本気で好きだったわけじゃなかったってことなんだろうな。視界に入るうちは心ときめく存在だったけど、入らなくなっちゃえば意識しなくなる程度の存在っていうか。さっきも書いたように、ぼくは別に恋愛しないなら恋愛しないでも生きていける人間だもんな。ああ、残酷な真実に気付いてしまった。

 残酷な真実といえば、近頃あんまり深田の評判がよくなくて、放送研究会の現役から話を聞かされるぼくとしても「えっ? 深田がそんなことを?」みたいに思うことが増えてきたのだが、その話をいまから書き始めるといつもみたいにとんでもない長文になりそうだし、この記事の趣旨(ってほどのものはないが)もブレてしまいそうなのでやめておきます。

 でもなあ。ぶっちゃけなあ。明日でも明後日でもいいけど、もし深田が「(ぼくの下の名前)さん付き合ってください」と告白してきたら、ぼくは「はい喜んで」と快諾しちゃう自信があるぞ! ……だって……イケメンなんだもん……爽やかな高身長のイケメンなんだもん……近頃の深田がどうなのかは知らないけど、ぼくの知っている深田はあくまでも穏やかで優しいブロントサウルスだし……あの魅力には抗えないよ……

 もちろん、深田がゲイかバイセクシュアルである可能性は低いし(ぼくのゲイセンサーは深田を純ノンケ判定している)、仮にゲイかバイセクシュアルであるとしてもぼくに想いを寄せているとは思えないので(想いを寄せているなら一度ぐらいは向こうからアプローチがあってもいいだろう)、やっぱりこの仮定(というか妄想)は無意味である。

 これから先、ぼくが恋愛するのかしないのかは分からない。そもそも恋愛って「したいからする」というものなのかどうかも分からない。まあ、本当に彼氏を作りたくなったらアプリで作ればいいし。とりあえず、いまのぼくは恋愛に興味がない。深田に告白されたら話は別だし、いまでも深田のことを考えたら多少は胸がざわつくけど、いまのぼくは恋愛に興味が……って、あ゙ー、やっぱりいまでもぼくは深田のことが好きなのかな? どう思います? 「どう思います?」って聞かれたところで困ると思いますけど、えーと、自分でも自分が分からなくなってきたんでそろそろバイト(コンビニ夜勤)へ行ってきます! あ、由梨とは仲良しのままなので安心してください。ぼくは男性にしか性的関心が向かないゲイだが、そこら辺は抜かりがないのだ。

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