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りんごの思い出

 少し間が空いてしまったが、猫預かりの記の新しい記事をお届けする。
 今回は、短い滞在になった「りんご」というメス(避妊済み)について記す。

ねこの入れ替わり

 預かりボランティアの宿命として、同じねことずっと一緒にいることができないというものがある。せっかく慣れてきて、触れるようになったらお別れ……というのは切ないものだ。
 もちろん、人馴れさせるのが預かりボランティアの仕事だから、切ない思いをすればするほど貢献しているということになるのだが、ねこの幸せを喜びながらも、心に穴が開くのも必然といえば必然であろう。
 この問題はのちに社長就任劇につながるのだが、今はそれは措く。
 さて、里親さんの見つかったすじこの代わりに、新しいねこがやってきた。名前はりんご、またもメスである。

どちらかというと姫りんご

 りんごは弊社の前にも別の預かりボランティアさんのところにいて、最初から触ることができた。
 申し送りに「短足ですっごく可愛いんです〜!!」とあった通り、胴が長く足が短い。ミニチュアダックス体型だ。加えて長毛なので、歩くと床掃除をしてしまいそうだ。そして、全体的にとても小柄である。
 これは姫りんごだな、と僕は思った。

一緒に寝る

 りんごが来た頃はまだ寒くて、二階の和室には僕が昼寝に使う用の布団が敷きっぱなしになっていた。
 最初は本棚の裏に隠れていたが、徐々に布団の中に潜り込んでいるのが常態になった。毛布がぽこんと膨らんでいて、手を突っ込むとあったかい毛玉がある。撫でるとすぐに踏み踏みする。
 触っても逃げないので、試しに同じ布団に潜り込んでみた。やはり逃げない。
 そんなわけで、りんごは僕に人生で初めてねこと一緒に寝る体験をさせてくれた。

短い滞在

 一緒に寝てくれるくらいだから、もう充分に人馴れしていて、これはいつでもお嫁に行けるなと思っていた(半分は心の準備だ)が、予想に違わず、りんごの里親はすぐに見つかった。
 二週間ちょっとという短い滞在だったから、きっと今頃は僕と寝た(語弊のある表現)ことなんてきっと忘れてしまっているだろう。
 でも、幸せに過ごしているならそれでいいのだ。それが預かりボランティアの宿命である。
 なお、りんごが旅立った後、社内ではすももが縦横に暴れまわり、まるで主のような顔をすることになるのだが、これは次回記そうと思う。

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