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障がい児保護者支援啓発フォーラム2021【前編】

このnoteは、認定NPO法人ペアレント・サポートすてっぷさんが2021年3月28日に実施した「障がい児保護者支援啓発フォーラム」のアーカイブ動画のサマリーです。

オープニング

「発達障がい」という認知は広がった一方で、多くの親が周囲の無理解や厳しい声の中で子育てをしている現状もあります。

・自分だけではどうにもならないけど、相談できる相手がいない
・勉強をしてくれない子どもに焦りを感じる
・子どもの将来のことを考えすぎて、自分が見えなくなってしまう

情報があふれる中で何が正解か分からない。一般解(分かりやすい答え)が少なくなった現代社会では、自己実現と存在不安がまさに表裏一体となっていると言えるでしょう。

当たり前を疑う。分かりやすい解のないものと向き合ってみる1日に。

このコンセプトを大切にしながら、アーカイブ動画を視聴してみることをオススメします!


セッション1:リアル「子育ての羅針盤」

セッション1では、「子育ての羅針盤」に登壇されたゲストの皆さんが、お母さんたちの質問に答えるかたちでパネルディスカッションを進行していきます。

■パネラーの皆さん(50音順)

安藤 希代子さん(認定NPO法人ペアレント・サポートすてっぷ 理事長)
佐藤 将一さん(就労移行支援事業所irodori 所長)
高山 陽介さん(わでかくらぶ 代表)
中西 俊介さん(Mikatana 代表)
ファシリテーター:今給黎 辰郎さん

[このセッションは、保護者からの質問に対してのパネラーの皆さんの発言をキーワードでまとめていこうと思います。]

■子どもの自己肯定感を育むために

Q.本人に興味がありそうなことを提供しても「自分にできるとは思わない」と受け身で、自分のことが嫌いだと言います。そんな我が子が自己肯定感を育むのは難しいのでしょうか。

[中西さん]
(例え続かなくても)”やりたい!”に繋がりそうな、きっかけや兆しになりそうなものを提供し続けることが大切。自己肯定感を育むことはたしかに難しいですが、安心して過ごせる居場所を見つけることがまず重要です。そして、同じ境遇の友達ができると輝きはじめます。

[高山さん]
(他の人は苦手だけど自分はできることを活かして)人の役に立ったという経験が大切です。「ありがとう」と言われる経験の繰り返しが自信につながっていくと思います。

[佐藤さん]
そもそも(受け身であっても)言われたことができるだけですごい。色んな経験を積んでいる”今”を親御さん自身が肯定してあげてほしいですね。

[安藤さん]
思春期以降、親ではない他者からの承認が必要です。それなのに、親だけで背負うのは大変。周囲の人が助けてあげてほしいし、本人も助けを求めにいってほしいです。

■ルールを守れるようになるには

Q.自粛生活でYouTubeの視聴時間が長くなり、以前決めていた終わり時間より長くなることを一度許してしまいました。最近では、それが許されないと怒りモードになり、どうしたらよいか悩んでいます。通っている支援学校でもイライラすると同じような行動するので「また怒っちゃうから学校に行きたくない。先生と喧嘩はなるの嫌だ。」と、学校に行けなくなったり不安定です。何かアドバイスないでしょうか。

[高山さん]
終わりの時間について、本人と一緒に決めたのか、大人が勝手に決めたのかが大切です。子ども自身でタイマーを設定すると、守ってくれることも多いです。ただ、子どもですから、できるときもあればできないときもあります。できたときは褒めて、できなかった時は親自身がイライラしない努力をするのも大事かなと思います。

[安藤さん]
休むことへのポジティブな捉え方もあると思うので、もし学校に行けない時があったとしても、ご自身やお子さんのことを責めなくてもいいかなと思います。

[佐藤さん]
子どものイライラに繋がるものや状況が一体どんなものなのか、本人の思いをしっかり聞いて、親が一番知ってあげることが大事かなと思います。また、大人が思っている以上に子どもはしっかりしているので、”自分で決められる”を信じることも大切ですね。

[中西さん]
私のフリースクールでは、子どもたちで話し合ってルールを決めてもらっています。話し合いの場をもって、ハウスルールみたいなものを作ってみてもいいのかなと思いました。

■子どもを取り巻く人たちとの付き合い方

Q.私自身が色々と知識をつければつけるほど、周り(先生や他の保護者など)との温度差が広がっていき、孤独を感じています。周りの人たちとの付き合い方について、アドバイスをいただけると嬉しいです。

[高山さん]
保護者と先生との信頼関係はできているか、先生の味方でいることが大事だと思います。PTA活動でもよいですし、何か相手の役に立つことをするとよいのではないかと思います。

[安藤さん]
親が知識をつけないと戦えない地域もあるんだと思います。それは、地域の支える力が弱いとも言えます。親が専門知識をバリバリつけなくてもいいぐらい安心して子育てできる地域にしてますかと。

[中西さん]
まず保護者の方への感謝から入っています。関係性を変えていくというよりは、「みなさんが来てくれるから僕らが活動できています」という気持ちを常に持っていますね。

[佐藤さん]
親と支援者の正義を戦わせても、あまりよいことはないですよね。大事なのは本人の人生がよりよくなることなので、意思決定にはできる限り介入の少ないかたちを私たちは目指しています。

■薬に頼りたくないけど・・・

Q.知的障害をもつ子どもが自分の体を傷つけてしまっていて、小児科の先生から薬を勧められましたが、薬を飲むことは考えていません。今の行動で体や他人に害を出さないように、薬以外の方法で促していけたらと思うのですが、どうしたらいいか手探り状態です。

[安藤さん]
薬ありきではなく、コミュニケーションをとることでの働きかけを大切にすることは、まさに在るべき姿だと思います。そのうえで、まずは体を守ってください。そして、本人のコミュニケーション能力の高める療育をしていただくことが大事ですね。

■自分の育児に自信が持てない

Q.(とりわけ子育て初期において)自分のしている育児に自信が持てず、何が正解なのか不安で不安で仕方がありません。毎日のこの不安を解消するにはどうすればいいのでしょう。

[高山さん]
相談できる仲間を増やす。子育てって一人で乗り越えにはとても大変なので、一緒に悩んでくれる方が周りにどれだけいるかによって、自分も救われると思いますし、次は自分も助ける側に回ることにもつながると思います。

[中西さん]
不安は妄想だと自覚する。不安自体は実際に起きてないことなので、実際に起きてから対処すればいいと考える。それを自覚して、今現在の自分の子どもを見つめ直すことですね。

[佐藤さん]
支援者である私たちができることは数多あるとは思いますが、親の愛だけは誰にも取って代われない。とにかく、目一杯お子さんを愛してあげてほしいですね。

[安藤さん]
完璧な親になることはできないですが、自分の足らずを補ってくれる人とつながっていくことができます。一生懸命悩む、自分を疑うことのできる自分に自信をもってもらいたいですね。


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サマリーは以上です!後編noteはこちら。

アーカイブ動画の中にある”手触り感”が大切だなと思うので、ご関心に沿って、ぜひご覧くださいませ!



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