構想2年。「必要なぶんだけ自分でつくる名刺」がついに完成しました。
こんにちは、シフトブレイン広報の坂です。
突然ですが、シフトブレインは今年、名刺のリニューアルを行いました!
この名刺リニューアルは、コロナ禍で弊社代表の加藤さんが「今の時代、名刺って必要かな?」と思ったところから、スタートしたプロジェクトです。今回の記事では、名刺リニューアルの一歩手前、名刺の存在意義から模索した加藤さんとアートディレクターの宮本さんに、本プロジェクトについてインタビューしました!
【はじめに】New名刺のご紹介
まずは、新しくなった名刺のご紹介から。
一見普通の名刺に見えますよね?でも、この名刺.......実は自分でつくる名刺なんです!
つくると言ってもそれほど難しい作業ではなく、裏面に『SHIFTBRAIN』が印刷されたカードに、自分専用のハンコを押すというもの。シフトブレインは全国でスタッフが働いているため、それぞれが自宅で“必要な時に必要な分だけ名刺をつくれるように”と考えられました。
右上には自分のイラストがついている、とっても可愛い名刺です。
名刺の紙には、色も質感もバラバラの紙出(しで)を使用しています。
紙出とは、文字通り“出てしまった紙”のこと。製品を仕上げるために出た余り紙や切れ端を、関西ではそのように呼ぶそうです。質は良いのに型にはまらず使われなかった、行き場のない紙。シフトブレインは、そんな紙を名刺に利用しています。
①構想
——名刺をリニューアルしようと考えたきっかけを教えてください。
加藤:この3年間に本社移転が2回あって、その度に名刺を大量に捨てたことがきっかけです。未使用だけどもう使えない名刺をゴミ箱に直行させることに「自分は地球に優しくないことをしてるし、費用も無駄遣いしてるな」って思ったんです。その時に「今までとは違う名刺を作りたい」と考え始めました。
宮本:ちょうどコロナ禍で、対面の打ち合わせもほとんどなくなって、名刺を使う機会がなかったのもきっかけのひとつになりましたよね。「名刺自体、いらないのでは?」という議論もしました。
加藤:当時は名刺を全く使ってなかったもんね。この機会に「デザイン会社の名刺はどうあるべきか」から考えはじめました。デザイン会社は、紙も厚くて印刷も凝っている豪華な名刺を作ることが多いと思うんだけど、初めて会うお客さんに自分たちのクリエイティビティを示す最初のきっかけになるし、ちゃんとしたものを作るべきだよね、といった話もしつつ。でも、あんまり使っていないものにコストをかけるのも、今の時代っぽくないよねっていう考えもありました。
例えば、TUGBOATの名刺にはメンバー全員の名前が書かれていて、自分の名前をチェックするだけで完成するんだけど、それだとフォーマットも1つでいいし経済的ですよね。電子化も進んで、名刺自体も長く取っておくものじゃなくなってきて、情報だけ渡せればいいのでは?なんなら、その辺にある紙に最低限の情報を書いて渡すぐらいでもいいんじゃない?みたいな話にも発展したりしました(笑)。一方、会社の名刺は持つことで帰属意識が芽生える大切なツールでもあるので、単純に無くしたくないという思いもありました。
そんな感じで色々と考えた結果、最終的には「作り込みすぎない、今の時代にあったシフトブレインらしい名刺を作ろう」という方向性に決まりました。
②アイデア出し〜試作
——新しい名刺ができるまでの過程を教えてください!
宮本:はじめに「どんな名刺がいいのか?」の方向性を探るために、まずは3案作りました。
A案:王道の活版印刷
B案:視点によって見方が変わる印刷
C案:普段は選択肢に入らない紙を使ってみる
C案は「名刺ではあまり使われないような紙をあえて使ってみよう」というもの。この案は手刷りで名刺を作る想定もしていたので、提案前に簡易的な活版印刷機でサンプルを刷ったりもしていました。
加藤:提案前に試作まで作っていたのは、かなり早かったよね(笑)!
宮本:結局、A案とB案はシフトブレインらしいデザインかもしれないけど、加藤さんが最初に感じた「名刺を捨てることになる」という課題は解決できていませんでした。一方で、C案は活版印刷でもスタンプでもいいし、ステッカーを貼ったり、「なんなら手書きでもいいんじゃない?」と盛り上がったのを覚えています。
加藤:C案はその都度自分が必要な部数だけ刷ることで、余分に捨てることもなくなるし、すごくいいなって思いました。しかも、余り紙を利用するっていうのがユニークで面白い、そこにビビっときましたね。
宮本:この時点では余り紙以外にも、小学校のお知らせで使われているような色のついた紙や、制作会社からは敬遠されるような紙など、色々な選択肢があるのではと感じていました。
——どうやって“紙出”にたどり着いたんですか?
宮本:余り紙の活用にチャレンジしている会社はいくつかあって、まずは複数社に問い合わせるところからはじめました。その中の1社に今、お願いしている井上総合印刷さんがあったんです。井上総合印刷さんは、すぐにサンプルを送ってくれたし、余り紙についてのBlogも書かれていました。他社と比較して紙の種類も1番多かったので、印刷とあわせてお願いすることに決めました。
加藤:モッツ(※宮本さんのあだ名)が送ってくれた紙の見本を実際に触ってみて、高くていい紙と逆行してるのが面白かったです。その後に、スタンプの試作品も送ってくれたよね?
宮本:加藤さんに送ったのは、シヤチハタを利用した試作2号でしたね。
加藤:提案時に試作していた活版印刷は、なんでダメになったんだっけ?
宮本:試作1号は圧力で活版印刷ができる簡易的なものだったんですけど、めちゃくちゃ難しかったんですよ。刷るための前準備にも時間がかかるし、慣れない作業だから手も汚れるし.......見てください、この写真の手を(笑)!
宮本:これはこれで職人っぽさがあっていいんですけど、スタッフ全員がこれをやるのか?と考えると......。デザイナーだけに機械を配り、社内発注をもとに量産する方法も考えましたが、それだと結局時間や手間がかかるし、現実的じゃなかったので諦めました。
試作1号を経て、
SHIFTBRAINのロゴが印刷された紙出を送る
その後は各自でやってもらう
この2つの条件の中で、できることを考えました。
印刷方法については提案時にはあんまり考えてなかったのですが、名刺サイズで押せるスタンプがシヤチハタか、木製のものしかなかったんです。そこで、試作2号はシヤチハタで作りました。
宮本:シヤチハタも木製スタンプもアナログなものですが、スタンプはわざわざ朱肉につけて押すので、体験自体にも面白さがあるなと考えて、最終的には木製スタンプに決めました。ちょっとアナログな感じの方が、逆にシフトブレインらしいかもなってことで。
加藤:シヤチハタは簡単に押せて便利だったけど、どうせ手間をかけるんだったら“つくる体験”に振る方がいいよねっていうのには納得感がありました。気持ち的にもスタンプを押すって行為自体も何だかやりたくなるし、改めて自分で押してみて“作りたくなる”っていう魅力があるなと感じました。
あと、名刺リニューアルの前に会社用封筒の印刷もハンコにした時期があって、すごく便利で使い勝手が良かったんですよね。フォーマットにもちょっといいフォントを使ったハンコで、評判も良かったので、名刺も上手くいくんじゃないかなと期待が膨らみました。
③完成
——方向性が決まった後に、苦労したことはありましたか?
加藤:試作2号が出来上がったタイミングで、シフトブレイン20周年企画のオリジナルフォントの話がでてきたんです。せっかくだったら、オリジナルフォントで名刺を作ろうってことで、一旦プロジェクトが止まった期間もありました。だから、全員分のスタンプを作成して配布するまでには、少し時間がかかっちゃったんですよね。そして、その待機中に名刺に住所を記載しないことも決めました。
宮本:その頃には、えたじまサイト(広島)もできていて、住所をどうするか?という問題もありましたよね。もしかしたら、今後も営業所が増える可能性もあるし......。
加藤:各住所ごとに名刺を作ると、スタンプも増えていっちゃうもんね(笑)。そのうちフォントの中にスタッフアイコンが入ることが決まったので、住所は思い切って外して、かわりにスタッフアイコンを挿れるデザインに変更してもらいました。その方がみんなも嬉しいだろうなって思ったんです。それに住所はコーポレートサイトを見てもらえればわかる情報だから。
宮本:試作から完成までの間にもデザインは徐々に変えていましたが、それが最後の大きなデザイン変更でしたね。
——構想から2年弱、とうとう名刺作成ツール一式が完成しました。実際に使ってみた感想を教えてください!
宮本:何度も試作を重ねたので完成品は想定内でしたが、“スタンプを押す体験”自体はやっぱり楽しいなって思いました。早速作ってみて、僕はあえてこんな名刺にしてみたり......。
宮本:本来は一度に押すところを別々に押して、遊んでみました。もちろん普通に押すのが正解なんですけど(笑)、こうやって自分なりのアレンジもできるんです。
加藤:裏技だね(笑)!まさかそんなおしゃれなアレンジをしてるとは知らなかった。
宮本:最近、韓国の家具屋に行ったときに、ブランド名だけが印刷されている名刺サイズの紙が置いてあって、お店の中のスタンプを自由に押せるっていう体験をしたんです。それがすごく良くってこういう風にアレンジしてみたんですけど、名刺の可能性が広がっていいなと思いました。
あと、顔のアイコンスタンプだけが欲しいなってタイミングもあったので、次に名刺をアップデートする機会があるなら、シンボルスタンプと名前のスタンプを分けて作るのもいいかもって思ってます。
新しい名刺をお渡しするみなさまへ
——これから名刺を作るスタッフ、あるいは名刺をお渡しする社外のみなさまへのメッセージをお願いします。
宮本 :個人的な話ですが、スタンプができた後にビールのパッケージやティッシュペーパーの箱の裏、ダンボールなどを名刺サイズに切って、紙すらもオリジナルの名刺を作ってみたりしました。余り紙に近い感覚で色々やってみたんですけど、仕上がりが結構かっこよかったんです。公式には使えないけど、みんなが好きな紙を使っていろんなバリエーションの名刺を作ってくれたら面白いなって思っています!
加藤:このリニューアルは名刺のあり方から考え直す、とてもいい機会になりました。
冒頭でも話しましたが、僕は自分の名前が書いてある名刺を捨てるのが、写真を捨てるのと同じ感覚で、正直すごく嫌だったんです。だからといって、過去の名刺をとっておくわけにもいかないですし......。そんな中で、今回モッツが名刺の終わり、最後の想いまでもをデザインしてくれたことで、すごくいい取り組みになったのではと感じています。
そして、もうひとつ。
日本では名刺のマナーが沢山あり、渡し方も大事にされています。一方海外では名刺をかなりカジュアルに渡すんです。投げ捨てるようにして渡したりもするので、初めてその場に遭遇した時はかなり驚いた記憶があります(笑)。でも、名刺で本当に大事なのは“情報”です。シフトブレインは『既成概念にとらわれず、本質に向き合うクリエイティブ』を掲げている会社なので、そういった面でもシフトブレインらしい名刺が完成しました。この名刺がみなさんの手に渡る時に、その想いが伝わると嬉しいです。
さいごに
おふたりに名刺のリニューアルを振り返っていただきました!構想から1年以上を費やしたプロジェクトでしたが、名刺を渡すだけでは伝わらない名刺への想いや試行錯誤が本記事を通じて、お伝えできていたら嬉しく思います。
スタッフ全員に名刺制作ツール一式が配布された後の後日談となりますが、全社で行われたオフラインの社内イベントでスタッフ同士で名刺を交換する機会を設けました!見たことのない色の名刺を持っているスタッフや、早速アレンジをして個性を発揮しているスタッフもいて、みんな自分以外の名刺に興味津々でした(笑)。
遊び感覚でお子さんに作ってもらっているお父さんスタッフもいて、手作りをするという体験自体が活用されているのがとても印象的でした。私自身は不器用さを発揮して、文字が掠れた名刺を大量生産してしまったのですが......それも味のある名刺に感じるので不思議です(笑)。
スタッフ一同、みなさまに新しい名刺をお渡しできる日を楽しみにしています!
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