自分でできる&素早い市場調査・リサーチのやり方5ステップ

こんにちは。プロジェクトマネージャーのKaseです。

私は、現在SHIFTが提唱している今の社会で売れる製品/サービスを創るために必要な「DAAE」概念をもとに、俗にいうプロジェクトマネージャーの域を超え、「DAAEコンサルタント」として業界問わず多岐にわたるお客様に新たなIT開発プロジェクトの提案、推進に従事しています。

「●●市場について調べて!」

「●●市場について調べて、次のミーティングまでに報告書をまとめて」
突然のクライアントや上司からのリサーチ指示!
あなたはどうしますか?

内容はとても漠然としているし、その市場はとてもマニアックで情報がない。
調査会社のレポートは数十万円。Googleで検索をしてみてもドンピシャな情報が見つからずに、気がついたら何時間も経過している。刻一刻と迫るタイムリミット。急いでWebページのグラフを貼り付けて報告書をまとめはじめたけど、自分でも何がいいたいのか、正直わからない。やばい。
こんな経験があるかもしれません。

こんな時、どうしたらいいでしょう!?

今回は、私たちSHIFTのDAAE推進部が取り組んでいる「プリスクール」の市場規模リサーチの事例を交えて、リサーチの方法をお伝えします。

※日本でいうプリスクールとは、未就学児を対象に英語で保育を行う施設のことです。

以下の5STEPに従って解説していきます。

・STEP1 目的の確認
・STEP2 仮説を立てる
・STEP3 数式を考える
・STEP4 切り口・セグメントを考える
・STEP5 データを調べて数値を代入する

STEP1 目的の確認

検索する前に、目的をしっかりおさえましょう。

「プリスクール市場について調べて」

この目的は、何でしょうか?
言い換えれば、どんな意思決定や課題解決をするために、リサーチを行うのでしょうか?
答えるべき問い(イシュー)は?

あなたの会社が英会話スクールであるならば、市場参入するための潜在的見込み顧客の調査かもしれないし、英語教材の販売会社であるならば、需要の高まっている教材タイプの調査かもしれません。

この目的がボヤけていたり、履き違えたりしていると、いくら後のステップでがんばっても、すべてが総崩れになってしまいます。この部分は、原点に立ち返ってよく考えましょう。

今回の私たちの例の場合は、プリスクール関連のメディアサイトのテコ入れ、すなわち、そのサイトの売上アップの伸び代(ポテンシャル)調査が目的となります。その売上はどこのお財布から出るかというと、プリスクール各社の広告宣伝費です。

ということで今回は、「プリスクール市場について調べて」=「年間のプリスクール市場の広告宣伝費のボリュームとトレンドを調査し、テコ入れする意義があるか?を判断できるようにする」

という目的でリサーチを進めます。
このように事前に明文化しておくと、あとでブレにくくなり、原点に立ち返りやすいです。


STEP2仮説を立てる

未経験の市場などで知識が一切ない場合は、ここでGoogleや書籍をつかって基礎情報を仕入れます。

基礎情報を調べるのは、仮説を立てるためです。
仮説は「きっと、こうなるだろうという仮の答え」です。

ここで立てる仮説は当てることが目的ではなくて、「答え=言いたいこと」から逆算して「どういうデータがあれば、それが言えるか」をイメージして「何を収集するかを考えること」が目的になります。

ざっと調べたプリスクールの基礎情報は以下の通りでした。
・日本でいうプリスクールとは、英語で保育する保育園。しかし広義な意味で、英語スクール付き幼稚園などの業態でもプリスクールを名乗っている施設もある。
・厳密な意味でのプリスクールの市場規模は2018年で390億円、広義な意味も含めると最大で1,430億円の潜在市場があり、共に年平均成長率5%ほど成長している。
・プリスクールの学費は高い。ざっと調べたところ年間で150万円以上かかる。これは平均的な私立大学の学費より高い。

ここで以下のような仮説を立ててみました。
「プリスクール市場の獲得可能な潜在広告費は市場の●%で、東京23区にその7~8割が集中しており営業的にリーチもしやすい。テコ入れで売上げアップできる可能性が高い」


STEP3 数式を考える

それでは広告費のボリュームを導く数式を考えましょう。

やってみるとわかりますが広告費をGoogleで調べても出てきません。これは広告費に限らずですが、ネットで調べてそのものズバリの情報が出てくる可能性はとても低いため、断片的な情報を組み合わせてロジカルに推算し規模感のレベルを把握することが重要になります。

フェルミ推定を使って、広告費を推算してみます。
フェルミ推定とは、全体像がわからない数値を論理的に四則演算(+―×÷)で分解して推定する方法です。

プリスクールの広告費は
(1) プリスクールの売上((入学金+年間学費)×生徒数)から支出(人件費+地代家賃+販管費etc) を差し引き、広告費を逆算するボトムアップ的な方法
(2) プリスクール市場の売上と、この教育業界における営業利益率や広告費比率をかけ合わせて、広告費を推算するトップダウン的な方法

でおおよその規模感を推測することにします。
数値は調べてわかるレベル、感覚的にわかるレベルまで分解しておくことは重要です。

上記のように2つ以上の異なるロジックでクロスチェックをかけると検算にもなり、大幅なミスを防げます。

STEP4 切り口・セグメントを考える

しかし、ちょっとまってください。
(1)も(2)も日本全国一律で考えると、計算がズレそうです。

というのも、プリスクールの学費は年間150万円以上(さらに入学金もかかり、さまざまな諸経費や行事、イベントの参加費もかかる)。一般的に家計に占める教育費の割合は5~10%といわれており、150万円の学費を払うには、年収1,500万円以上の世帯年収が必要だと推測されます。

共働きを含め年収1,500万円以上の世帯の多くは東京23区に集中していると予測され、プリスクールの顧客である子育て世帯の大半も東京23区に集中しており、プリスクール自体もそれに連動し東京23区に集中しているのではないか?と考えられます。

そこで分析のセグメントを以下の4つに分けて考えてみます。
セグメントとは、同じ性質やニーズで区分けしたグループのことです。

・港区超一等地セグメント
・渋谷区・目黒区・世田谷区セグメント
・神奈川、埼玉、千葉セグメント
・地方セグメント

上記の地域でセグメントを切った理由は、以下になります。
・プリスクールやプリスクールの学費を支払える世帯のバラツキを考えると、23区に集中し、他は分散していると考えられるため
・年収1,500万円以上世帯の7割近くは共働き世帯であり保育のニーズも高い。保育園選びは自宅からの距離が制約となり、地域がとても重要であるため
・地域差が、固定費(地代家賃、人件費etc)や売上(学費)に与える影響が高いと考えたため

セグメント分けを行うときのポイントは、
・強弱のギャップが生まれ、経営資源を投入する際のインパクトや影響度がわかりやすくなるようにすること
・バラツキやトレンド、パターンをそのセグメントごとにつかめること
・マーケティングやセールスをかけられる単位になっていること
・MECE(漏れなくダブりなく)になっていること
になります。

STEP5 データを調べて数値を代入していく

十分に数式とセグメントを分解できたら、あとはGoogleでデータを調べて代入していくだけです。数値を代入した後に、仮説が間違えていたら、適切なステップに戻って修正します。

結果の具体的な数値はここでは記載しませんが、獲得可能な広告予算は、複数の計算で数億円の範囲に収まり、意思決定をできる規模感の把握という目的を達成できました。

みなさんも、もし時間があったらチャレンジしてみてください。
これで、いきなりGoogleでやみくもに調べるよりもよい結果が出ること間違いなし!です。


株式会社SHIFT のDAAE推進部

私たち株式会社SHIFTのDAAE推進部は、以下をキーワードに、ビジネスコンサルティング・UXリサーチでビジネスやサービスをデザインし、「お客様を儲けさせる」お手伝いをしています。

Design … デザイン
Agility … 迅速性
Assembly … 組み合わせ
Economic Quqlity … 経済品質

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