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SHIFT Game Producer Meetup #10 ゲーム品質最後の砦!~グリー審査チームの取り組み事例紹介~

こんにちは★SHIFTエンターテインメント業界ウェビナー担当の高木です!

今回で10回目となる、ウェビナー「SHIFT Game Producer Meetup #10」では、グリー 三枝氏をお招きし、弊社 清水を交え、1LDK 朝岡氏をファシリテーターに対談を行いました。

一部分ではございますが、その様子をぎゅっとまとめてお届けします!

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テーマ「グリー株式会社の審査チームとは」

不当表示のリスクを可視化「結構危ない橋を渡っていたんだな」

グリー 三枝氏(以下、三枝):弊社はゲーム事業とメディア事業、メタバース事業の3本の軸で構成されていますが、ゲームが一番のボリュームゾーンかなと思っています。審査チームでは割と法令全般と言いますか、企画部分や表示だけではない箇所の内容、法的だったり業界ガイドラインだったり、あとはアップルとグーグルのレギュレーションを守れているかの確認を行っている組織になっています。

1LDK 朝岡氏(以下、朝岡):御社以外でも審査チームって存在するんでしょうか?

三枝: 5年前あたりですと、他社さんでは同じような部門を持つ組織って無かったんですよね。ただ最近は、審査とは呼ばないまでもリスクマネジメント的な部署として、ゲームに特化した専任の組織が増えてきているなという印象があるので、世の中的な温度感の高まりを肌で感じていますね。

朝岡:そうですよね。開発難易度自体がそもそも上がってきているところと、ワンミスで大変なことになるという点が両方あるからこそ、そういった風な潮流ができているのかなという風には思いますね。

三枝:はい。コストのロストももちろんリスクではあるんですけども、やっぱり信頼を失ってしまうっていうのが一番リスクかなと思っているので。そこは大きいかなと思います。

朝岡:なるほど。品質やお客様への信頼のところってやはり風向きは大分変わっていますか?SHIFTさん。

SHIFT清水:専任の担当者は置かず、テスト工程の中でなんとか拾えないかっていう形でやっている会社さんもいらっしゃるんですけど、テストをやっているとどうしても仕様書に書いてあることが正義っていう風になりがちで。

朝岡:そうですよね。あとは大体書いてないんですよね。

SHIFT清水:シンプルなバグでも不当表示になるので、そこをどう防いだらいいかっていう観点でのチェックをやっぱりした方が良いよね、という動きが進んでいるなとすごく感じます。

朝岡:グリーさんが新たに不当表示対策を始めていった中で、躓いた点や時間がかかった点ってありましたか? 社内に理解してもらうのが何だか大変そうです。

三枝:躓きっぱなしでした(笑)。ただ「どこまで見ればいいんだろう?」と見ようと思えばいくらでもコストかければ見られるので、何がどこまでリスクあるんだとか、これはアイテム補填で事足りるけどこれは返金にも発展し得るよね、という点を精査するのが結構大変だったかなと。

朝岡:「そこまでやらなきゃいけないの?」と言う方も居そうな気がするんですが、そういう方達っていらっしゃいました?

三枝:いましたね。ですが弊社の場合はトップダウンで「会社としてやるぞ!」となっていましたので。ただその中でも一定の反発はあったかなと思っていて、そこは実際に発生してしまっているリスクをお伝えすることで納得して頂いたのかなと思っています。

朝岡:ある意味、不当表示対策やそういったチームを作る上で、御社は日本トップクラスの難易度が高い会社ですよね。ちなみに不当表示対策ではどのくらいの効果があったんですか?

三枝:一言でいうとかなり減りまして、表示に関する不具合はほぼ無くなったぐらいに減ったのではと思います。どうしても機能的なバグによって表示が切り替わってしまうことは、なくはないのですが、単純に誤認を与える訴求をしてしまったという障害はゼロに近い状態かなと思っています。

朝岡:バナーやお知らせ、プッシュ通知などが文字ベースで表示するものの代表例だと思うんですけど、それを提出して審査チームが全部毎回審査するんでしょうか?

三枝:そうですね。リリース前に表示面のチェックを全て行っています。ちなみに導入時に大変だったのが、すでにQAが走っている中で検証をさらに一つ工程を増やすっていうことがなかなか難しく。QAと同タイミングでチェックすることもありましたし、なるべくQAの後半で見ましょうという感じでやっています。

朝岡:他社さんでも不当表示対策サービスを導入されている所も多いと思うんですけど、効果は劇的に変わったんでしょうか?

SHIFT清水:はい。効果は先ほど三枝さんがおっしゃったように、不当表示のリスクがあるという状況がまず可視化されるんですよね。「結構危ない橋を渡っていたんだな」というのが分かって頂けるのと、不当表示になりえる訴求がどれくらいあったかを定期的に数字で追っていくことで、そのプロジェクト自体のリスクが下がっていったということが分かりますので。明確にそこは変化が出ています。

実は副次的な効果としてもう一点ありまして。修正するのがどうしても残業時間になってしまうということが起きるんですね。そうするとSHIFT ALERTにかかる工数がかさんでいくと。で、工数かさんでいった原因を分析していくことで、そのプロジェクトの上流に実は問題があるんじゃないかと、仕様のフィックスが一段遅いから、ここまでコストがかさんでしまった、ということを可視化をすることで、プロジェクトの全体の流れを清流化できるんです。

「これ炎上するな」ユーザーの声を随時連携できる座組づくり

朝岡:今ってLGBTだったり多様性だったり、宗教だったり色んなものがあると思うんですが「これ炎上するな」というのも、お2人は見てらっしゃるんですか?

SHIFT清水:僕ら、炎上防止っていう観点でも最近はチェックをするようにしておりまして。カスタマーサポートに来たユーザーの声を随時連携できる座組を作っています。プロジェクトごとにユーザーの声を収集して「この表現、結構気にする人いるんだね」というものを拾っていくことで、炎上防止という観点をタイトルごとにカスタマイズして追加していく対応はさせています。

朝岡:これから不当表示対策をしようと思っている参加者様も、本日結構いらっしゃるんじゃないかなという風に思っていて。導入ってどれぐらい大変なんですかね?

SHIFT清水:はい。景品表示法ってそもそも、法律上に「これはダメ、あれはダメ」と明確に書いてあるわけじゃないんですね。消費者庁側で判断するので、過去の指摘された事例や知見を持っていないと指摘ができないんです。そのためこれから新しくやろうとしても、全部知識として蓄えなくちゃいけないとか、タイトル自体の知識もすごく必要になってくると、ゼロからの立ち上げは大変になるんじゃないかなとは思っています。

三枝:はい、ゼロからは相当大変だとは思いますね。

グリーが審査チームを立ち上げる際に、最も重要なポイントは?

-視聴者の方からのご質問

「社内にグリーさんのような審査チームを立ち上げる際に、最も重要なポイントは何でしょうか?」

三枝:やっぱりそれを会社に認めてもらうっていうのが一番大変だと思うんですよね。それこそ業界で起きている返金事例や、社会的に信頼が失墜してしまった結果クローズになってしまった事例を元に、必要性を付議していくことが大事なのかなとは思います。そしてCS、QAの延長でやるとどうしても片手間になってしまう部分があるとは思うので。専門性を持った組織の必要性を説いていくことが重要かと思います。

SHIFT清水:そういった中で弊社にSHIFT ALERTというサービスがありまして。そういった知見を持った専門チームがあります。すぐに導入できるようなパッケージとしてご提供できる体制が整っています。1からお料理を作るんじゃなくて、「電子レンジの中に完成品ありますよ」みたいな状況ではあるので。是非それをお手に取って頂ければと思っております。

朝岡:「こういう会社は、導入した方がいい」というのと、逆に「こういう会社は別に僕らの力が無くてもいいかもしれない」というケースがあるのかなと思うんですけど、どうでしょうか?

SHIFT清水:導入しても意味がないというのは、あまり無いと思っていて。タイトル数が多ければ多いほど、リスクが大きい状況なので。タイトル数が多いが故に、横軸で比較できるプラスの側面もあるんですね。他のタイトルがどんなことをしていて、リスクが少ない体制ができているのかという横展開ができるようにもなりますし。レポートを通して、施策の量とリスクに対して「このタイトル、コスト掛けすぎだよね」「ここはもう少し掛けたほうが良いよね」というバランスも取れるので。

逆に、多くのタイトルを運用していない会社さんに関しては、不当表示一本でリスクがかなり大きい状況なので、そこはしっかりと見ないと、マズイ状況だとは思っているので。SHIFT ALERTを頼めっていう話ではなく、不当表示対策のチームを入れた方がいいと思います。

朝岡:僕があまりイメージ沸いてないんですが、不当表示チームへ「審査お願いします」という感じで送って、見てもらって。「OKです」という形で返してもらう、そういったチームをSHIFTさんにお願いすれば導入してもらえるってことなんですか?

SHIFT清水:はい。おっしゃる通りで、感覚としてはテストを外注する時と同じなんですね。バナーや写真などを僕らにご連絡頂ければ、チェックをして、よくあるQAとBTS、バグトラッキングツールにチケット起票をして、開発の方にお返しするっていう点はテストのスキルと同じなので、違和感なくできるとは思います。問題はQAと、不当表示チームで同じことを起票してしまうというリスクがあるので、そこを事前にどう棲み分けるかを共有をするところがポイントになるかなと思います。

最後に登壇者の皆さんからの一言

SHIFT清水:我々は、作り手の「ちゃんと作ったものをちゃんと届ける」というところに対してお手伝いがしたいという一心でやっています。「こんな時にどうしたら良いんだろう?」 とご相談があれば、気軽にご連絡頂ければと思っています。そして、一緒にこの業界の開発者の方々やプロジェクトの方、全体が幸せになれる世界を作っていきたいと思っているので、一緒にこれからも頑張っていきましょう!

三枝:今ゲーム業界に対する風当たりって決して優しくはないかなと思っておりまして。この品質を守る部門というのは、ノウハウを貯め込んでいてもしょうがないかなと思っております。業界全体で品質を底上げしていって、風当たりを良くしていくのが大事かなと。

「自分の会社だけ品質高ければいいや」ではなくて、業界全体の品質が高くなっていくことが、この業界にとってはWin-Winになれる関係かなと思いますので、是非品質のところにも目を向けて頂ければなと思います。

―ここでトークセッションも終了。

いかがでしたでしょうか?
今後も「SHIFT Game Producer Meetup」を開催してまいります。
ご期待ください!

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執筆者プロフィール:高木 真愛
WEB広告代理店で営業・広告運用を経験し、その後はしばらく接客業にて奮闘。現在はSHIFTにてセミナー運営・集客、バックオフィス業務、人事採用サポート、SHIFTnoteのライターを担当。

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