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はじめに(note版)

「赤ちゃん抱くって、もっと幸せだと思ったのに」
よく泣く赤ちゃんが生まれた人は、一度は思ったことがあるのではないだろうか?私は思った。一度どころではなく、何度も思った。両手合わせても数えられないくらいに、思った。

しょっぱなから誤解を恐れずに書くならば、「生まなきゃよかった」と思ったことだって、一度ではない。

完全なる産後鬱。

 娘(0歳児)を「そんなにお母さんを苦しめたいか!?(←そんなわけない)」と責め続けた。娘を責めていない時には、「私なんかいないほうがいい」と自分を責めた。娘も自分も責め疲れたら、「なんでもっと家にいてくれないの!?」と旦那を責めた(家計のために働いとるねん)。

 とにかく、いつでも誰か、何かを責めていた。そして、消えてしまいたかった。心の奥底では、「全部自分が悪い」と思っていた。

 引っ越してきたばかりで、車で1時間以内の場所に、友人知人が一人もいない。義母は車で8時間以上離れた場所に住んでいる。実母は…出産予定日の2か月ちょっと前に、亡くなっていた。気軽に相談できる相手はいない。鬱になる条件は色々そろっていた。

 行政機関に相談しても、返ってくるのはいつも「疲れてるんですよ。たまには旦那さんに子供を預けて、一人でお出かけしてはいかがですか?」という言葉。唯一腹を割って相談できる旦那にいくら相談したって(今思えば相談というか、ただの愚痴)、いくら子供見ていてもらったって、いくら当たり散らしたって、私の心は一向に晴れなかった。


 私は小さい頃から、「頭がいい」と言われ続けてきた。地元では珍しい私立中学に進学し、エスカレータで進んだ高校の進学コースでも、成績はトップクラス(トップとは言わない)。某国立大学の理系学部に現役で合格し、修士課程まで行った(ただ、大学は頭良い人の集まりだったので、ここで平均以下を体験した)。いわゆる、「エリートコース」を歩んできた(本人にエリートの自覚は全くないんですが)。

 その後、就職も比較的スムーズに決め、でも、結婚を機に退職。少し別の仕事もしたけれど、妊娠を機に完全に仕事を辞め、明るくて、平凡で、幸せな家庭を築く「はず」だった。

 それまでの人生で挫折がなかったわけではない。大学で研究が全く上手くいかず、本意ではない研究テーマに切り替えたこともある。現実の人間関係につまづき、ネトゲで廃人生活したこともある。就職活動では第一志望の会社に最終試験で落ちた。新卒で働き始めたものの都会生活になじめず、慢性頭痛になって仕事がままならなくなることもあった。

 でも、いつだって、そこには「逃げ道」があった。

 産後鬱には、その「逃げ道」がなかった。研究がうまくいかないなら、別のテーマにすればいい。人間関係うまくいかないなら、他の場所で気の合う人たちに巡り会えばいい。就職試験落ちても、別の企業に挑戦できる。都会生活になじめないなら、田舎にいけばいい。何かしら、「代替」できるものがあるのだから。

 でも、母親に代替は、ない。

 エリート、育児で初の本格的挫折(ありがちな話)。

 追い詰められた私は、「今日は雨だから赤ちゃんが泣き止まないんだ」と遂に空にまで八つ当たりを始めたが、そんな私に空から一筋の希望の光を差し込めてくれたのが、「占い」だった。

 この世は科学が一番素晴らしく、統計的に5%水準で有意でなければ何事も「信じられない」と思っていた屁理屈(偽装)理系女子が、「占い」で救われたのである。

 なぜか。


 これは、元(偽装)理系女子が、それまで「オカルト」で片づけていた「占い」やら「宇宙の声」やら「魂」やら「輪廻転生」やらの話で産後鬱を抜け出し、それだけでなく、「自分らしさ」とやらを取り戻して、楽しく毎日はっちゃけられるようになっていくまでの体験記である。

 興味の出た方は、どうぞ、お付き合いください。


 ちなみに、赤ちゃんの時には、「生まなければ良かった」とまで思ってしまった娘は、これを執筆している今、6歳。かわいくてたまらなくて、チューをしようとするが、そろそろ拒否する年齢になってきて寂しい。今は、「なぜ赤ちゃんの時にもっとチューしなかったのか!?」と思えるほどになった。産後鬱の欠片も今は見られず、どん底の時期の私を知っている旦那には、「こんなに明るくなって…」と泣かれた(近所のおばちゃんかッ)。ついでに、もう一人男の子にも恵まれ、こちらは生まれた時からかわいくてチューしまくった結果、3歳ですでに母親にチューされた跡を拭くようになってしまった。寂しい限りである。とにもかくにも、「平凡」であるかどうかは別として(何せ母親の職業が怪しい)、明るくて幸せな家庭になることができた。

 「生まなければ良かった」なんて言ってしまった娘に、「生まれてきてくれて、ありがとう。あの時はごめんなさい」を伝えるためにも、この本を書きます。支え続けてくれた旦那と私に笑顔を思い出させてくれた息子に感謝を伝えるためにも。


 「見えない世界」のことを無理に信じろとは言いません。確かに怪しいだけの話だってあります。でも、もしお子さんが「空の上からお母さんのことを見てたよ」と言い始めたら、一度耳を傾けてみてください。自分の心の奥底から、「自分は変わりたい!」という衝動が湧き上がってきたら、どうぞその自分の声を聞いてあげてください。これは、私が書きたいから書いただけの本ですが、もしこれで、育児や人生に悩める人が、「こういう考え方もあるんだ」と何かを感じるきっかけになりましたら、無上の喜びです・・・


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note版追記
 当初は「1冊300円」で電子書籍化して、この文章を世に出すつもりでおりました。しかし、なんだかんだ自分の中で葛藤がありまして(詳しい経緯は「あとがき」をご覧ください)、結局「noteでほとんどを無料公開。最後の章の一部だけ、有料化」という形を取りました。これは、「多くの人に読んでもらいたいし、何より全部を有料公開にするのが怖い。でも、とても正直なことを言えば、これからも物書きを続けていくために、『お金』というエネルギーを読んだ方からいただけたら嬉しい」という想いからこうなりました。

もし、気に入っていただけたなら、ぜひ最後の章をご購入ください。投げ銭ももちろん歓迎です。皆さまからいただいたお金は、次なる書き物へのエネルギーになります。何卒、よろしくお願いいたします。


2021年5月21日
全文無料公開にしました。
より幅広い方にお読みいただけたら嬉しいです(でも、これを書いてから3年…今読み返すとあちらこちらが恥ずかしい…)

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