後見センターやすらぎ<設立趣意書>

■法人概要
 法人名/特定非営利活動法人 湘南鎌倉後見センターやすらぎ
 認証年月日/2006年4月 代表者氏名/逸見徹 役員・会員数/50名

■設立趣意書
血縁による扶助から地縁による扶助へ
 老いや障害は命の一つの存在のあり様に過ぎません。その尊厳が護られて街の中で市民としての生活が全うされなければならないことは言うまでもありません。そのためには老いや障害による生活のしづらさに支えが必要となります。
 我が国では長い間その支えは家族の中の家長の責務とされ、主婦に看護・介護の実践者としての役割が期待されました。
 このように、高齢者や障害者の問題は、人は家族の一員として生まれ、家族の中で生育し、家族の中で老いを迎え、そして家族に看取られて死んでいくというライフスタイルの枠内で解決されてきていたのです。
 第二次世界大戦後、このライフスタイルが崩壊しました。核家族化と工業化により、過密都市でも過疎地域でも高齢者の1人暮らしが増え、高齢者の孤独死や詐欺被害が社会問題となっています。障害を持つ我が子の将来を悲観しての無理心中もあとをたちません。私達は、歴史上、家族の扶助機能が最も弱体化した時代に生きているのです。
 私達の住んでいる鎌倉・逗子・葉山は正面に海を臨み、背後に山を持つ風光明媚の地ですが、高齢者や障害者にとっては道が狭く、谷と丘とが入り組んだ生活するのに不便な地です。
 この地域に、血縁による扶助機能を補完する地縁による扶助システムによって高齢者と障害者の尊厳を護る事業を展開するために「湘南鎌倉後見センターやすらぎ」を設立することにしました。
「やすらぎ」は市民ボランティアが結集した「市民による市民のための法人」として鎌倉・逗子・葉山地区を対象に以下の三事業を行います。
 
①  肉体的能力の衰えた者の尊厳を護る事業
高齢者・障害者の委任に基づいて、介護サービスや施設入所契約等の締結とサービス内容の監視、日常生活や終末期の見守り、それに旅立ち後の処理などの支援活動をすることにより、肉体的能力の衰えた者の尊厳を護ります。
②  精神的能力の衰えた者の尊厳を護る事業
家庭裁判所の選任に基づいて認知症高齢者や知的・精神障害者の成年後見人に法人として就任して後見業務を行う、また関係者の要請に基づいて家庭裁判所に後見開始の申立などを行うことにより判断能力の衰えた者の尊厳を護ります。
③  血縁に頼れない者の尊厳を護る事業
高齢者等が施設に入所したり病院に入院する際に血縁に身元引受人や保証人に就任してくれる者がいない場合、「やすらぎ」自身が身元引受人や保証人に就任することにより、血縁に頼れない者の尊厳を護ります。
 
以上の三つの事業により「やすらぎ」は、血縁による扶助を補完する地縁による扶助機能を果たしていきます。この機能を果たすことにより、やすらぎは命の尊厳を護り、高齢者と障害者の人権擁護に寄与していきます。
 命の尊厳を護るために「やすらぎ」は、経済的な余裕のない人も余裕のある人と全く同じ対応をしますので、経済的に余裕のない人を対象とする事業展開は公的責務を代替する意味合いをもってきます。
 その意味で「やすらぎ」の事業展開は、鎌倉・逗子・葉山の各自治体との協力関係が不可欠となります。
 「やすらぎ」は各自治体と協力関係を築きながら、鎌倉・逗子・葉山地区にゆっくりと堅実に根付いていきます。