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親族と二人三脚で支える

Eさん 女性 逗子市在住
法定後見支援歴5年  
享年93歳
 
長女からの相談  
アルツハイマー認知症の母親。父親は2年前に死去。独身の長女が母親と暮らしてきたが、仕事をしながらの介護に限界を感じ、地域包括支援センターに相談し、やすらぎを紹介された。
他県に住む兄と弟の理解を得るために、長女としては母親の財産管理を第三者に任せたいと思っている。また、施設に入所しても娘として母親の介護にはできるだけ関わっていきたいとのこと。
 
本人の状況
重度の認知症で長女の顔もわからなくなっている。特別養護老人ホームの入所申込をしている。
 
後見開始後の支援
・長女の後見申立でやすらぎが後見人に選任される。
・長女の介護は限界なので、特養に入所できるまで老人健康保険施設(以下「老健」)の入所を検討し、ケアマネの協力を得て進める。
・3か月後、特養に入所できることになり、入所手続き等を行う。
・未了だった亡夫の相続、生命保険金の受領手続きなど、長女の協力を得ながら行う。
・長女が自宅を出て一人暮らしを始め、空き家になったEさんの自宅の維持管理が問題になり、兄妹3人が自宅売却して母親の介護費用に回したいという意向を示したため、家庭裁判所に後見人として不動産処分の申立を行い売却する。
・特養との話し合い、入退院の対応等、支援員と長女が協力して行ってきたが、92歳を過ぎたころから食欲が落ち、長女と支援員が見守る中、特養で息を引き取られた。
 
担当者の想い
 支援開始時、すでに認知症が進行し、面会をしてもEさんの発語に頷き、体調を確認し、穏やかにご一緒する時間を過ごすだけだった。特養の嘱託医から、看取り介護の開始を伝えられると、長女はEさんの部屋に、発症前に活動していたユニフォーム、大会優勝のトロフィー、Eさんが仕上げた刺繍の大作を飾った。ベッド脇には、家族写真、そして仲睦まじいご夫婦の旅行の写真。全てEさんの快活さにあふれていた。Eさんの休んでいる傍らで、長女はひとしきりEさんの思い出話を語った。
 会話も交わすことができなくなってからのEさんとの出会いだったが、出会う以前にEさんは一生懸命に、素晴らしい人生を歩まれていたことを知り、その最期に立ち合わせていただけたことに感謝した。