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Yu34_№10

🇫🇷TEMPURA
AUTOPORTRAITS DE TOKYO

フランスで年4回発行される日本文化を紹介する雑誌“TEMPURA”で連載中のインタビュー記事
“AUTOPORTRAITS DE TOKYO”=”東京に住む人たちのセルフポートレート”を日本語訳したものをnoteに記録しています。

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TEMPURA_№10 / 2022.7

Yu 34
dancer / choreographer

Text : Mathieu Rocher (Interview : Ayaka Shida)
Photo : Ayaka Shida

他の多くの方たちと同じように、私も、外国人ダンサーに会って初めて日本人であることを実感します。私たちの国が特別だということがよくわかるんです。
例えば、私たちはとても忍耐強く、痛みに強い。私は子供の頃、両親から怪我や痛みがあっても泣くなと言われました。ダンスで酷使することもある私の体には、この特質はかなり役に立っている。大人になって初めて、この我慢強さが日本人のマナーやモラルでもあることに気づきました。私にとって日本人は、物事を自然に受け入れ、時に他人にも我慢を強いる人たちだと思います。

日本が私を幸せにしてくれる理由は、愛と平和を感じるからです。
たとえば、空気の重さを感じる場面はたくさんありますよね。そんな時、ちょっとした笑顔や態度によって、周囲にそれを感じさせない。これは日本人が得意な平和的なコミュニケーションです。愛をもって他者と接することが不可欠だと私は思っています。

私にとって幸せとは、人々の喜びを目の当たりにしたとき、愛されていると感じたとき、そしてそのすべてがダンスになったときです。それは輪のように繋がっていく。
私の仕事は、自分の欠点や、なぜ踊るのか、など自分自身について深く考えるきっかけにもなりました。
私は作品を作る時、まずダンサーと観客に喜んでもらいたいと思っています。
次に、私の振付はダンサーに何を要求するべきか?観客は今何を必要としているのか?を考え
作品を通してその答えを見つけることを楽しんでいます。
そして、それらは作品を終えても、宝物のように私の中に残ります。
ワークショップで新しい作品をダンサーに伝えると、その輪は広がり、一般のお客さんともまた輪が広がり、もっともっと幸せな気持ちになります。

東京は常に変化し続ける都市です。毎年その姿は変わり、雰囲気も変わる。
自然災害が頻繁に起こることで、過去との関係も変化する。
自然と新しいビルが混在する都会の交差点では、まるで歴史がなかったかのように見えます。私たちは、過去の記憶の痕跡を残さないことを選ぶと、今日を充実して生きるために新しいものを開発するようになる。
私の仕事も常に斬新なものがあふれていて、新しい形を創造しなければならないので、そのような感性を大切にしています。この街は私に多くの刺激を与えてくれるし、ずっとここにいたい。

私たちの社会には「お天道様が見ている」という伝統的な考え方があります。
日本人なら誰でも知っている言葉だと思う。どんなに隠れて上手に悪いことをしても、太陽や神々に見られてしまうという考え方です。私は無意識のうちに、この感覚を守っている気がします。
最近、この社会で自由でいるためには、冷静でいなければならないことに気づきました。
ダンスの世界では、常にプレッシャーが渦巻いています。おそらく、今の私はそれを受け入れることがようやくできたのだと思います。
このような安定感を感じられるようになったのは最近のことです。
20代の頃は、もっとリスクを冒していた。でも今はあの頃よりも落ち着いています。
10年後くらいには、自分の心と身体でもっと色んなものを感じられるようになっていたい。もちろん、私はまだ踊っているでしょう。それ以外に望むことはないです。



ここから編集後記🐈‍⬛
インタビューに至った経緯や私個人の意見を書いてます。
編集後記と言いながら、ほとんど私の日記みたいになってて公開するのがなんとなく恥ずかしいから
最新号・公開した方がいいなと思うもの以外は最低金額で有料設定にしてます🙃

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第2回目。

もうこれくらいの時期から、Mathieuが文章を組み立てるときに間とか余韻をぜんぶなくすことが嫌になって、直してもらう回数がすごく増えました。

今考えたら、彼は立ち会ってないし日本語じゃないから仕方ないって思えるけど、
優ちゃんは特に、彼女の繊細さでとらえた考えや感じ方をそれぞれ小さな箱に入れて大切にしてるような人で
たとえば普通はまとめてひと言で「きれい」と表すところを、ひとつひとつ違うふうに表現してくれる人だから、記事の中で使う言葉とニュアンスにはとくに気をつけてほしかったのー😠

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そもそも、この連載が始まったのは
私の友人である4人の女性が、東京という街で何を考え、感じ、生きているのかを紹介する単発記事を作ろうとしたことがきっかけでした。
企画を聞いた編集長Emilが、この4人の女性だけではなく、多くの人にそれを聞いていく連載にしようと提案してくれたのです。

だから4回目までの4人の女性は私にとって100%プライベートの、ただのすごく仲の良いお友達です。それと、女性×社会とか、海外に比べて日本はこうだとかの話題が多い。

私自身があんまり人に心を開けないほうで、開いたということは本当に大好きだから、大切なの。そういう4人を、そうじゃないMathieu(←冗談です。半分は。笑 ビジネスパートナーとしては最高だし本人にも言ってるよI dont like youって😈笑)がメディアの好むJapanese womanという型にはめていく感じがして嫌悪感を抱いていたなと思います。

私とMathieuのこのよくない感じはここから1年かけてより深まっていきます😇(今は平和です)

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結局、文字数が〜とか言いながらも、彼は根気強く直してくれて、最終的には優ちゃんのおもしろさ、思慮深さが伝わるような文章にしてくれました。

『西洋うまれのバレエなどは高く飛んでキラキラした美しさを余すことなく見せてくれるけど、日本の舞踏はひざを曲げて音を立てないように摺って歩いたり、地面を這いずりまわるような踊り方をする。建築物の天井の高さの違いも影響してる気がする』って優ちゃんが言ってたんですけど

そうやって寝ても覚めても自分の仕事のことを考えてることを知ってるから、この人を傷つけたくないんだなーと思いました。
私もそういう感覚が強くて、前に人生の全部が写真になってればいいみたいなことを人に話したら、それは疲れちゃうから無理だなって言われたことがあって寂しかったから
(それはそれで、尊敬するところもあるし刺激をもらうからいいんだけど)
感覚が似てる人は話が早いので楽です😇
デメリットは、会話以外のコミュニケーションだけで伝わる気がして、言葉を使う時間が少なくなることかな☺️笑

特に、踊りも写真も言葉とは反対側にあるもの。
何度も撮影させてもらったことあるし、踊りもたくさん見たことあるけど、2人でこんなにちゃんと話すのは初めてだなって新鮮でした😇
優ちゃんといるときいつも思うんだけど、
言葉よりももっと本心を乗せられるものが他にあって、それでむきだしの思いをお互いすでに見せてるのに
こうやって白々しくたくさんの言葉を使うことが、人間のふりしたたぬきになったみたいでなんとなくそわそわするの私だけかなあ🐈笑


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