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夏に会い、秋冬過ぎて、春の詩

3月初旬、街を歩けば花は咲き、樹に芽吹き始めていた。冬は去り、春が訪れようとしていた。

詩を書く友人がいる。東京での学生時代、飲み会で話したり、ときたまお茶したり、気まぐれでライブに行ったりした。社会人になってから、勤務地の都合で離れ離れになったが、お互いの近況報告を年1くらいでして、隔年ごとに会っているくらいだった。

そんな彼女と昨夏久しぶりに会うことになった。「お月見をしよう」と河川敷に繰り出し、マスクを外し、お月見バーガーを頬張りながらこの3,4年の近況や心境を語り交わした。

話すうちに、お互い日々のツラさや苦さや、でもその中に喜びや楽しみを作り過ごしていることを知った。

月は仰ぎ見るほど高く昇り、川面を照らす頃、「詩を書いている」のだと彼女は教えてくれた。好きな詩家が選者の応募に投稿したのだという。その詩は有名な企業のWebサイトで読めた。少しダークな、でもそれが心地いい詩だった。

その後も手紙を送り合ったり、DMでのやり取りも続いたりしている。

秋が過ぎ、冬が過ぎ。3月初旬、僕は彼女に詩を依頼することになった。パン屋さんから「春のパン詰め合わせギフトに詩を載せたい」とのことだった。すぐ彼女が思い浮かんだ。

春のいぶきに吹かれながら生まれた彼女の詩は、もうすぐでパン屋さんの商品の中でお披露目となる。

今日はここまで。
おやすみなさい。また明日。

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