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しだゆいのノート

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#映画

分かち合いとしての映画――三宅唱『夜明けのすべて』

かつて、友達を亡くしたことがある。この、自分を主語にした言い方にどこか居心地の悪さをぬぐえないまま、それでもたしかに在る傷の座を自分の内側に守り通すためのギリギリのエゴとして、それを選ぶ。彼とは高校で出会い、大学を出て働きはじめてからも定期的に連絡を取りつづけてきた、私にとってはほとんど唯一の相手だった。私だから話せたことも、私だから話せなかったことも彼にはあっただろう。亡くなる一週間前、新宿のロ

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ウィアード・バービーのストライキを夢想する――『バービー』覚書

グレタ・ガーウィグ監督の『バービー』を見てきた。とてもいい映画だった。エンターテインメントとして文句なしに愉しく、かつテクストとしての読み解き応えも十分な、手ごわい作品だったという二重の意味において。

単に「フェミニズム映画です」といって(褒めるにせよ貶すにせよ)済ませられない豊かさにかんしては、さしあたり以下のすぐれたレビュー:
・杉田俊介さんの連投ツイート(https://twitter.c

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