まちの魅力・個性を可視化した「しるし」
こんにちは!宇和島市役所 市長公室のシティセールス担当者です。
宇和島市では、ALL宇和島による「まちの魅力化(=シティブランディング)」に向けて、さまざまなことに取り組んでいます。
以前の記事で、「シティブランドとはまちの魅力・個性を可視化したもの」と説明し、宇和島というまちの魅力・個性は、「宇和島に息づく 日常の豊かさ にある」とご紹介しました。
今回は、宇和島というまちの魅力・個性を可視化した「しるし」について触れます。
市では、「うわじま」というまちとわかってもらえる「しるし(=可視化したもの)」として、平成31年度に宇和島市の統一的なロゴマークとキャッチコピーを制作しました。
現在、市が制作・発行するものには、だいたいこのロゴマークやキャッチコピーが入っています。
今回は、この宇和島の「しるし」であるロゴマークとキャッチコピーが制作された経緯をご紹介していきます。
ロゴマークの制作過程
では、まずはロゴマークから。
「宇和島市のブランド」とは、平たくいうと宇和島というまちの魅力や良さを言葉や形にしたものであり、今回の記事でお話しする「ロゴマーク」は、宇和島市の魅力や良さをイラスト(図案)化し、わかりやすく記号化したものです。
みなさんはさきほどご紹介した宇和島市のロゴマークを見て、どんなまちだと連想しますか?
「お城があるんだろうな」とか、「波みたいなものがあるから、海がある街なのかな?」など。
このブランドロゴマークは、平成31(令和元)年度に、市民のみなさんや、市にゆかりの市外在住のみなさんからの声を集めて誕生しました。
まずは宇和島というまちの魅力や良さが何なのか、市民のみなさんや宇和島にゆかりのある市外在住の人たちがどのように感じているのかを探る必要がありました。
そこで、市ではまず「宇和島市に関する都市イメージ」について市内外へのアンケート調査を実施しました。質問した項目は次のとおりです。
これらの質問結果を整理すると、宇和島市が市内外から思われているイメージは次のとおりとなりました。
▷宇和島市のイメージ(都市・郊外・城下町・街・田舎)は
市内外共に、「田舎」>「城下町」
年齢層が上がるにつれて「城下町」を選ぶ傾向
▷宇和島市の印象
市内外共に10位以内に入る言葉は
「歴史的」「ゆったり」「素朴」「おいしい」「あたたかい」
▷宇和島市をイメージする色
青やブルー系の連想が最も多く、次にオレンジ系、緑色という結果
また、一般向けのアンケート調査以外にも、市民ワークショップや東京で開催したイベントなどに参加した方々へのアンケート調査を実施したり、宇和島百景でInstagramに投稿されている宇和島に関する写真の傾向についても分析を行い、「宇和島市と聞いて想起してもらいたいイメージ(=イメージ軸)」として、以下のように整理しました。
さらに機能性(小さなサイズでも視認できるデザインかなど)やシステムに関する基準(デジタル化に対応できるかなど)をそれぞれ設定し、うわじまブランドともいえるロゴマークの候補となる案を作成し、有識者の意見も反映し、候補案の絞り込みを行いました。
そして、最終的にロゴマークは3案に絞り込み、市民投票で選ぶ形を採用しました。
市民投票は、令和元年11月に行われた産業まつりで設置した一般投票と、インターネットによる投票のほか、市内の学校に通う児童・生徒のみなさんにも投票していただきました。
10,534人の方に投票していただいた結果、最多得票となった現在のロゴマークを宇和島市のブランドロゴマークに定めました。
マークの解説
それでは、マークのパーツごとに解説していきます。
ちなみに、ロゴマークは「ロゴ」と「マーク」にわかれ、宇和島市のロゴマークで言えば、「ロゴ」は宇和島の部分(英語表記パターンもあります)で、「マーク」がイラスト部分にあたります。
[天守閣のひらかれた玄関]人々を見守り海を望む天守閣のひらかれた玄関は、先人たちから受け継いだ心穏やかな寛容性と外向的な気質を物語っています。
まず、このマークで一番印象的なのはお城のイラストではないでしょうか。宇和島市内の中心部にあり、宇和島市民のシンボルともいうべき宇和島城の天守をモチーフにしています。
なお、お城の天守に玄関があるのは全国的にもたいへん珍しいそうで、この玄関のあるお城をマークにすることで「宇和島らしさ=オリジナリティ」を表現しています。
[空に描かれた陽の光と波打つ白い線]
空に描かれた陽の光は輝く未来を示し、城山から外へと波打つ白い線は、内から外へ、世界へと発信し、挑戦していく勢いや、外からの縁や人々との交流、ひらかれたまちとしての宇和島を表現しています。
続いて、マーク左上にある太陽と4本の波打つ白い線です。
線が4本ありますが、よく見るとどれもつながっています。これは宇和島市が平成18年10月に1市3町(旧宇和島市・吉田町・三間町・津島町)で合併して誕生したことも関係しています。
[円形]
円形は本市全体が一つの輪でつながっていることを表し、縁を手繰り寄せ一つに結束していく「和」への想いが込められています。
このマークが円形となっているのは、宇「和」島の字面のとおり、宇和島には「和」の文字があること、そして、イメージ軸にあります「平和」や「温厚さ」、そして「人情」といった部分を表現しています。
[ブルー、グリーン、オレンジのグラデーションカラー]
ブルー、グリーン、オレンジのグラデーションカラーは、海・山・空への連なりと、自然の恵みから生まれる人情や産物を表現しています。
このグラデーションカラーの3種類の色(青・緑・オレンジ)は、言うまでもなくアンケート調査で出てきた宇和島らしい色の結果となっています。「青」は宇和島の海や空、「緑」は自然、「オレンジ」はみかんが連想されている色となっています。
宇和島市のブランドロゴマークは、さまざまな方々が宇和島に対して抱いている想いを紡いで、出来上がったものであり、そして宇和島らしさを表現したものとなっています。
キャッチコピーの制作過程
続いて、キャッチコピーの制作過程もお伝えします。
流れはロゴマークと同じで、宇和島市に関する都市イメージから出された結果を踏まえて制作したイメージ軸(ロゴマークの項目で紹介したものと同じもの)をもとに、宇和島らしいキャッチコピーを制作しました。
キャッチコピーとは、ブランドを「言葉」で可視化・表現したものです。
宇和島市のキャッチコピー「ココロまじわうトコロ」にある「ココロ」には、宇和島に関わるさまざまな人たちの心を満たしたいという想いが、そして全体としては人々の交流から次の行動が生まれ、共創する流れを作り出していくという決意を表しています。
なお、「まじわう」とは、「うわじま」をさかさまに読んだ造語です。交流する・交差する・混ざりあうという意味で使っています。宇和島だけの特別な言葉です。
あわせて英語版はこちらです。
そして、市では「うわじまブランド」に込められた想いやコンセプトをメッセージとして簡潔に表現した「ブランドステートメント」もあわせて制作し、キャッチコピーを補完する役割を担っています。
ただし、このようなまちの魅力や個性をブランドとしてロゴマークやキャッチコピーで可視化しただけでは、そこに込められた想いや理想は実現されません。
このロゴマークとキャッチコピーという「しるし」を使って、「うわじま」という「まち」をわかってもらえるように「ブランドに対する認知を高め、体験の機会や接点を増やし、共感や支持、好感度等を継続的に向上させ、ステークホルダーにとっての価値を高める取り組み」が必要です。
ここで注目するのが「ステークホルダー」です。
ステークホルダーとは、「組織が行う活動によって影響を受ける利害関係者」という意味ですが、うわじまシティブランディングにおけるステークホルダーとはいったい誰のことを指すのでしょうか?
うわじまシティブランディングにおけるステークホルダーとは
突然ですが、みなさんは、Gucci(グッチ)と聞いたら何を連想しますか。
グッチは、イタリアのファッションブランドですが、日本はもちろん世界中の多くの人々から認知されているブランドであり、私たち消費者が持っているイメージは、高級であったり、高品質であったり、デザインが洗練されているといったものなどではないかと思います。
こういったイメージを持たれるようになったのは、ブランディングした結果によるものです。グッチの商品は高額なものが多いですが、グッチのもつ世界観(ブランドイメージ)が世界中の人たちを魅了することで、人気を博し、売れています。
それでは、ブランディングしているのは誰か。それはグッチという企業の社員や取引先などの関係者だけでなく、グッチが好きで応援している人たち(=ファン)も含まれますし、このファンが多いほど、ブランドに力が生まれます。
そうすると、それを、宇和島というまちに置き換えるとどうなるか。
宇和島というまちに所属するのは、行政だけでなく、市民や団体、企業なども該当しますし、関係者も「市外在住だけど宇和島に関わりのある人」や「宇和島を応援している人」たちであることがわかります。
つまり、宇和島に関わるすべての人たち(=ALL宇和島)がブランディングしていく主体であり、特に宇和島に関わる人たちを増やすことが力になるとも言えます。
まちに住む人たちや宇和島のまちを応援しようとする人たちが、日々の行動の中でうわじまブランドを育てていこうとする行為を通じて、「住みたくなる、帰りたくなる、連れて行きたくなるまち」を目指すのが、「うわじまシティブランディング」です。
ブランディングにより、まちにはどんな効果が生まれるのでしょうか?
「なぜ、まち全体をブランド化しようとするのか」、それは次回以降にご紹介していきます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?